任意整理の依頼で面談なしの弁護士事務所が危険な理由
日弁連の規定では、任意整理やその他、債務整理の際には弁護士との個別面談が必須とされています。個別面談は、担当弁護士自らがおこなう義務があるため、面談なしで任意整理を受任している弁護士事務所は危険です。
面談なしで、電話相談やメールだけで任意整理の依頼を引き受けてくれる弁護士さんがいて、便利は便利そうなんだけど、それって大丈夫なのかなー?!
依頼者が遠方の田舎とかに住んでいて、住所地が遠いような場合でもやっぱり面談は必須なのー?!
一昔前の過払い金返還訴訟ブームに沸いていた時代には、一人一人の債務者と面談をしたり詳しく事情を聞いたりすることなく、とにかく大量に依頼を受任して、事務所で抱える事務員に過払い金返還請求をさせる、といった徹底的な業務の効率化で莫大な利益を上げる弁護士事務所が増加して社会問題になりました。
弁護士とはいえ仕事ですから、金儲けに走ることが一概に間違っているとは言えません。しかし、法律に携わる資格を利用した独占士業である以上、最低限、一般市民の目線にたった職業倫理とモラルが問われるべきなのは間違いありません。
そのため、日弁連では平成23年2月に「債務整理事件処理の規律を定める規定」を定め、弁護士が任意整理や過払い金請求を受ける際の「規律」を制定することとなりました。
弁護士の自ら面談義務って一体なに?!
上記の日弁連規律で定められた項目はたくさんありますが、なかでも弁護士の業務形態に大きく影響を与えたのが、「弁護士の自ら面談義務」です。
弁護士が債務整理の案件を受任するためには、自らが依頼者と直接、個別面談をして事情を聴取しなければなりません。他の弁護士や事務員に面談を代行させたり、依頼主と会うことなく債務整理を受任したり、説明会などの集団面談で仕事を受任してはいけません。
(債務整理事件処理の規律を定める規定3条)
この規律が定められる前には、とにかく報酬を得る目的でメールや電話のみで大量に任意整理や過払い金請求を受任して、事務員に全て処理させる、という弁護士もいましたが、この個別面談の義務化によりそういったケースは見られなくなりました。
またその他、弁護士が面談をする際には、債務者保護のために、以下の規律が求められるようになりました。
- 依頼主にとって不利益となる事項もキチンと説明する
- 直接、事件処理をしない弁護士の面談も禁止
- 住所地が遠距離であることは面談をしない理由にならない
- 報酬体系をできるだけ明瞭にし、わかりやすく説明する
ただでさえ一般市民からすると、弁護士報酬の支払い形態というのは不明瞭でわかりにくい部分があります。
特に、過払い金や任意整理の場合は、そもそも現時点での借金がいくらなのか、いくら減額できるのか、和解額はいくらなのか、などの情報を弁護士が一方的に握ってしまうため、規律や規範がないと、不当に高い手数料を請求する弁護士が増えてしまいがちです。
そのため報酬体系なども、面談時に出来る限りわかりやすく、過去の事例やモデルなどをだして説明することが義務付けられているのです。
面談をしない弁護士は日弁連規律の違反?!
このような日弁連の規律があるにも関わらず、面談をせずに任意整理などの依頼を受任してしまう弁護士は危険です。それが直ちに弁護士法などの法律に抵触するわけではありませんが、少なくともやむをえない事情がある場合を除けば、倫理やモラル的な部分で問題があると言わざるを得ないと思います。
面談をしない弁護士事務所の全てが、悪徳弁護士や詐欺である、という訳ではありません。しかし、まともに誠実に営業しているほとんどの弁護士事務所が日弁連の規律を遵守している以上、そうしない弁護士事務所には何か怪しいことがあるのではないかと疑いたくなります。
少なくとも依頼者の立場にたって依頼者の利益保護や経済的な再建を一番に考えてくれる弁護士だとは思えませんので、そういった弁護士には任意整理を依頼しない方が無難でしょう。
弁護士との面談に必要な物には何があるのでしょうか? これは各弁護士事務所によっても異なりますし、電話相談の段階で細かい指示があるでしょう。一般的には以下のようなものの持参がもとめられます。
- クレジットカードや金銭貸借契約書、サラ金の請求書や領収書
- どの業者から幾らの借金があるかをまとめた債権者一覧表
- 給与証明書や所得証明書、源泉徴収書など
- 預金通帳、口座通帳
- 身分証明書、印鑑(認め印)
預金通帳や給与証明などは面談の段階では特に求められないこともあります。また印鑑は、委任契約を交わす場合に必要なため、持参を求められることが多いです。
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