福祉協議会の緊急小口資金なら任意整理後でも借りれる?

任意整理の返済期間中は、民間のカードローンでお金を借りることはできません(参考記事)。しかしどうしても生活に困窮している場合は、国などの公的機関からお金を借りられる可能性はあります。例えば、社会福祉協議会の「緊急小口資金」や「総合支援資金」は、無利子で生活費を借りれる制度です。条件を満たせば、債務整理後の方でも対象になります。

任意整理後に生活福祉資金でお金を借りる
ねえねえ、先生ー!
任意整理した後って、金融ブラックになるから、5年間はどこからもお金を借りれないんでしょ? もし病気やリストラで一時的にお金に困ったら、どうすればいいの?
銀行やカード会社から借りるのは無理だね。
でも公的機関なら貸してくれるかもしれない。例えば、社会福祉協議会に「緊急小口資金」の申請をすれば、とり急ぎの生活費として10万円までを無利子で借りることができるよ。
緊急小口資金かぁ…。
聞いたことはあるけど…、市役所の窓口で申請するやつでしょ?
でもあーゆうのって、色々と貸付の条件が厳しくて、結局、ほとんどの人は借りれないんじゃないの?
まあ、たしかに手続きは面倒だね。
提出書類も多いし、申込みの条件も色々と細かい。例えば、低収入じゃないと利用できないし、しかも一時的な生活困窮者でないと対象にならない。今後もずっと生活が困窮しそうな人は対象外なんだ。
※ 具体的な収入の基準、対象者の要件、利用目的などは後ほど説明します
へー、そうなんだ…。
「借金があると生活福祉資金は借りれない」「債務整理してると借りれない」って噂も聞くんだけど、そこはどうなの?
任意整理の返済期間中でも申請できるかな?
借金があっても対象にはなるよ。
ただし緊急小口資金は、あくまで一時的に支出が増えて困ってる人に「生活費」を貸す制度だからね。借金の返済目的では利用できないそれに借金が多すぎる場合は、断られる可能性が高いね。
なるほど…。
じゃあ、一時的じゃない場合はどうすればいいの? 例えば、任意整理の返済中だけどリストラで失業してて、次の仕事を探すまでの間、生活費に困ってる場合とか。
その場合は「総合支援資金」という貸付制度があるね。
こっちは離職・失業者が主な対象だけど、ハローワークで求職活動をすること、自立相談支援機関に相談することを条件に、次の仕事が見るかるまでの生活費を借りることができる。
【 補足 】

任意整理の返済期間中でも、社会福祉協議会からお金を借りることは可能です。ただしお役所的な手続きなので、申込から振込までに緊急小口資金で最短5営業日、総合支援資金だと1カ月かかります。また借金の返済を目的に借りることはできません。任意整理の返済そのものが苦しい方は、個人再生や自己破産を検討した方がいいでしょう。

参考 → 債務整理におすすめの法律事務所を探す

  • 任意整理の返済期間中でも公的機関ならお金を借りれる可能性がある
  • 社会福祉協議会の「緊急小口資金」「総合支援資金」などを検討すべし
  • どちらも生活費を借りる制度なので、借金の返済目的では借りれない
月々の借金の返済が苦しい方へ。
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任意整理後でも”生活福祉資金”なら借入ができる?!

社会福祉協議会というのは、行政が関与する福祉団体(非営利組織)です。
各市区町村単位で窓口があり、生活が苦しい人のために「生活福祉資金」という貸付制度が用意されています。

生活福祉資金の種類

種類 説明・条件
総合支援資金 生活支援費 生活再建のためにハローワーク等で求職活動をしながら、3~6カ月の間の生活費を借りる制度。単身世帯だと月15万円以内、家族世帯だと月20万円以内まで。
住宅入居費 引越し、住居探しに伴う敷金・礼金・保証料などを借りるための制度。なお、家賃の援助自体は「住居確保給付金」制度を利用する。詳しい記事はこちら
一時生活再建費 公共料金(電気ガス水道、家賃等)の滞納により、生活再建で一時的に不足する日常生活費を借りるための制度。債務整理の費用も借りれる。60万円以内。
福祉資金 緊急小口資金 緊急かつ一時的に生活の維持ができなくなった場合に、10万円以内の金額を無利子で借りれる制度。最短5営業日以内の振込で、返済期限は1年。
総合支援資金
生活支援費 生活再建のためにハローワーク等で求職活動をしながら、3~6カ月の間の生活費を借りる制度。単身世帯だと月15万円以内、家族世帯だと月20万円以内まで。
住宅入居費 引越し、住居探しに伴う敷金・礼金・保証料などを借りるための制度。なお、家賃の援助自体は「住居確保給付金」制度を利用する。詳しい記事はこちら
一時生活再建費 公共料金(電気ガス水道、家賃等)の滞納により、生活再建で一時的に不足する日常生活費を借りるための制度。債務整理の費用も借りれる。60万円以内。
福祉資金
緊急小口資金 緊急かつ一時的に生活の維持ができなくなった場合に、10万円以内の金額を無利子で借りれる制度。最短5営業日以内の振込で、返済期限は1年。

 
生活福祉資金も、もちろん借りるにあたって審査があります。
ですが、銀行のような営利組織ではなく福祉資金なので、いわゆる債務整理ブラックの方でも、条件を満たせばお金を借りることができます。

この記事では、上記の中でも有名な「緊急小口資金」「一時生活再建費」を取り上げます。

緊急小口資金を借りるための条件

緊急小口資金を借りるための条件は、一般的には、1)低収入であること2)緊急かつ一時的な生活困難であること3)今後1年以内で返済できる見通しが立つことの3つです。

低収入の基準っていくら?

この基準は、各都道府県の社会福祉協議会によって異なります。
例えば、東京都の社会福祉協議会では、平成29年度で以下の基準になっています。
(基準は毎年改定されるようです)

世帯人数 月額収入
1人 191,000円
2人 272,000円
3人 335,000円
4人 385,000円
5人 425,000円

※ 家賃、住宅ローン返済、仕送りや医療費等が一部控除されます

ただし東京都は生活費が高いので、基準額も少し高いかもしれません。
一般的な市区町村では、大体、「市民税・県民税が非課税になるレベル」「住民税の均等割のみ課税になるレベル」の収入を基準としているようです。

これは単身世帯であれば、年収100万円以下くらいが目安になります。

住民税非課税レベルは、単身世帯で年収100万円以下が目安。家族世帯だともう少し上。

ご自身のお住まいの都道府県の基準がわからない場合は、各市区町村の社会福祉協議会の窓口に電話をして聞いてください。「市町村名 + 社会福祉協議会」で検索すれば、すぐに窓口の電話番号を探すことができます。

緊急かつ一時的な困窮であること

緊急小口資金は、給付ではなく貸付なので返済義務があります。
つまり生活困窮の原因があくまで一時的な支出増(または収入減)によるもので、将来的には、生活収支が改善して返済できる見通しが立っていなければなりません。

具体的な対象理由として、東京都の社会福祉協議会は以下を挙げています。

【 対象理由 】

  • 医療費または介護費の支出で、臨時の生活費が必要
  • 火災や被災、給料盗難等によって生活費が必要
  • 年金、保険、公的給付が開始するまでの生活費のつなぎ
  • 会社からの解雇、または休業で収入が減った
  • 滞納していた税金や保険料を払って生活費が不足
  • 事故等で損害を受けたことによる支出の増加
  • 就職先が決まり、初回の給与を貰うまでの生活費のつなぎ

 
逆に、緊急小口資金を利用できない世帯として、「収入が少ないために恒常的に生活全般に困窮している世帯」「多額な借金があって返済が滞っている世帯」「債務整理の予定がある、債務整理中である世帯」と記載されています。

参考リンク
緊急小口資金のご案内

 
要するに、収入が少なくて常に生活に困っている方、今後も食べていけない方は、生活保護や他の福祉資金を検討してください、ということです。

緊急小口資金は、あくまで一時的なトラブルや資金繰りで、直近の生活費のみ不足している人が対象です。根本的に生活が破綻している人は、後述する総合支援資金を申請するか、先に債務整理をするか、生活保護を申請する(参考記事)、などの選択肢を検討することになります。

あくまで一時的な事情による生活困窮でないと緊急小口資金の貸付対象にはならない。

緊急小口資金の貸付条件

項目 内容
上限額 10万円以内
利息 無利子
貸付時期 申込みから最短5営業日
返済期間 12カ月以内
据置期間 2カ月
保証人 不要
任意整理の返済中でも緊急小口資金は借りれるか?

前述のように、根本的に生活が破綻している場合はダメですが、そうでなければ、単に「借金がある」「任意整理の返済中である」というだけで即審査落ちになることはありません。

例えば、任意整理の返済額が多すぎて生活に困窮している、という場合は対象外です。
ですが、しばらくの間だけ家族の医療費を支払っていたので一時的に生活に困窮している、というケースであれば、任意整理の返済中であっても貸付対象にはなるでしょう。

信用情報の開示の有無

生活福祉資金の貸付けにあたって、「信用情報が開示されるか?」を心配される方も多いようですが、2017年8月現時点では、どの社会福祉協議会も、信用情報機関(CIC・JICC)には加盟していません。

ただし通常は申請時に、借入額や月々の返済額がわかる書類や通帳等の提出を求められます。月々の返済額が大きい場合は、審査に不利になる可能性があります。

一時生活再建費などの”総合支援資金”は借りられるか?

総合支援資金とは、主に離職・減収・失業した人を対象に、「再就職を支援しながら生活費を貸してくれる制度」です。

こちらは緊急小口資金とは異なり、「すぐに返済できる目途」がなくても借りられます。ただし再就職した後の給与で返済しなければならないので、病気やケガで働けない人は対象になりません。自立支援機関に相談して就職活動をすることが、お金を借りる条件になります。

一時生活再建費の貸付条件は?

一時生活再建費は、いま現在、日常的に生活に困窮している方が、再就職を目指すまでの間の生活費を借りることのできる制度です。借金を抱えている方や、任意整理の返済中の方でも、借りられる可能性はあります。

貸付条件

項目 内容
上限額 60万円以内
貸付方法 口座振込/一括支給
貸付時期 申込みから1カ月程度
返済期間 10年以内
据置期間 6カ月
保証人 原則必要
利息 無利子

保証人を用意できない場合は年利1.5%の有利子で貸付可能

貸付の対象理由

具体的な貸付の対象理由としては、

・住居のない人が住居確保給付金を使って入居する際の、家電家具などの調達費
・現在、入居している物件の家賃の更新料
・現在、入居している物件の公共料金(ガス/水道/電気/家賃)等の滞納による生活困窮
・債務整理のための費用

などが挙げられています。
(債務整理の費用は、都道府県の社協によっては対象外なので事前に確認してください)

任意整理の返済中でも一時生活再建費は借りられるのか?

こちらも、銀行ローンのように「債務整理歴があると即アウト」というものではありません。任意整理の返済中であっても、生活福祉資金によって生活再建の見込みがあると判断されれば、お金を借りることは可能です。

例えば、東京都の総合支援資金の案内には、必要書類として以下の記載があります。

【 必要書類の一部 】

  • 債務の総額・返済額・返済状況がわかる書類
  • 債務整理後の現在の状況がわかる書類

 
※参考リンク 「総合支援資金のご案内

この必要書類の項目からも、「借金がある」「債務整理歴がある」というだけで審査の対象外とはしていないことがわかります。

ただし、もちろん審査はありますので、明らかに現状の返済額に無理があったり、生活の再建が困難である(就職後の給与で返済できる見込みがない)と判断されれば、貸付は不可となるでしょう。借金そのものが生活困窮の原因である場合は、やはり債務整理を先にするしかありません。

なお、一度、任意整理をした後でも、個人再生や自己破産を検討することは可能です。

【最後に】重要なことまとめ

生活福祉資金は、債務整理ブラックの方、任意整理の返済中の方でも借りることのできる数少ない借入金の1つです。

しかし税金による公的融資なので、返済可能かどうかの審査はかなり厳格です。提出書類も多いので、必要な書類を揃えるだけでも一苦労です。さらに振り込まれるまでのスピードも遅く、緊急小口資金ですら書類準備も含めれば1週間以上、総合支援資金に至っては1カ月以上かかると思った方がいいです。

つまり「明日の生活費が足りない」というギリギリの状態で役所などに駆け込んでも、すぐには助けて貰えないということです。家計が行き詰まりそうな場合には、なるべく早く動いて福祉協議会の窓口などに相談してください。
 

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