任意整理は役員や取締役でもできるの?!

任意整理は現在、株式会社の役員や取締役に就任している方が行っても問題ないか?という相談を受けることがあります。 任意整理の場合は、特に法律上の制限は何もないため、役員や取締役の方がおこなっても特に問題ありません。

役員や取締役の任意整理
ねえねえ、先生ー!
企業の役員や取締役を務めている方が、任意整理をするときに何か注意すべきポイントとかってあるのかなー?!
いや、任意整理の場合は特に法律上の制限とかはないから大丈夫じゃないかな。自己破産とは違って、一度解任されたりする心配もないから問題ないだろう。
ふーん、そうなんだー。
でも金融機関からの融資や、取引先との関係で影響がでることはないのー?! 例えば、今後の融資が借りられなくなったりとか・・・
もちろん個人信用情報機関には登録されるから、代表取締役の場合には融資に影響する可能性はあるよね。ただ代表取締役が他にいて、一役員である場合には特に問題はないだろう。

 
任意整理の場合には、法律上の資格制限や職業制限を受けることもありませんし、官報などに債務整理の情報が掲載されることもありません。そのため、取締役や役員に就任していたとしても、任意整理をしたからといって直接的に職務への影響はありません。

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自己破産の場合は役員解任?! 破産と任意整理の違い

任意整理の場合は影響ありません、と敢えて記載したのは、全ての債務整理について影響がないわけではないからです。債務整理に方法によっては、役員を継続することができなくなる場合があります。

例えば自己破産の場合は一度、取締役が解任になってしまいます。これはコチラの記事でも解説していますが、自己破産が委任契約における終了事由になっているからです。

委任契約の終了事由
会社法330条では、取締役は「委任契約である」と定められています。会社法人が個人に取締役を委任している状態ということです。この委任契約というのが厄介で、民法の取り決めにより当事者が破産してしまうと委任契約は無効(終了)になってしまいます。これを委任契約の終了事由といいます。

 
ただしこの場合でも、もう一度会社から役員に選任されれば、再び取締役に就任することに法的な問題はありません。つまり手続き上の問題だけで、一度、委任契約は終了するものの再度、契約を交わせば問題ないということです。

任意整理には一切の資格制限は存在しない

一方で任意整理の良いところは、法律上の一切の資格制限が存在しないところです。法人の代表取締役だろうと、役員だろうと、監査役であろうと弁護士であろうと会計士であろうと、一切の制限や制約を受けることはありません。

今の職業の地位や資格に影響を及ぼすことのないので、いま仕事でゴタゴタをおこせない立場にある方でも、比較的、安心して借金を整理することができる方法なのです。

取締役の法律上の欠格事由って何なの?!

ちなみに、ここで気になっている方も多いと思いますので取締役の欠格事由について確認しておきましょう。これを押さえておけば、少なくとも任意整理が取締役に影響しないことはわかると思います。

以下は、会社法331条で定められた取締役の欠格事由です。

  • 法人は取締役にはなれない(自然人のみ)
  • 成年被後見人や被保佐人は取締役になれない
  • 会社法、証券取引法、破産法に違反し罪をおかした者
  • 上記以外で禁錮刑以上の刑に処されて執行中

今後の融資や取引への影響はある?!

法律上の資格制限という意味では問題ありませんが、任意整理をすると、個人信用情報機関に事故情報が登録されることになります。(参考記事

銀行や金融機関、クレジットカード会社などは必ず融資にあたって、KSC(全国銀行個人信用情報センター)やJICCなどの、指定信用情報機関を参照しますので、あなたが法人の代表取締役である場合には企業の融資に影響する可能性があります。

企業融資の与信判断
企業への融資や与信判断の際に、代表取締役の方の個人の信用情報を照会することはよくあります。特に中小企業や一人役員の企業などは必ず照会されることになり、そこに任意整理の事故情報があると審査が通らなくなる可能性があります。

 
一方で、他に代表取締役がいる場合など、一役員の立場で個人的に任意整理するだけであれば、企業の融資への影響はあまりないでしょう。一般的に複数の役員のいる会社で、代表取締役以外の役員の信用情報まで細かく確認することはあまりありません。

金融機関以外の取引先との関係に影響は?!

これは任意整理の場合は、ほぼ全くないと考えて問題ありません。任意整理は個人再生や自己破産とは異なり、官報などの機関誌に情報が掲載されることはありませんので、自分から言わない限り取引先にバレる可能性は低いです

信用情報機関の情報は、正式に加盟した金融業者だけが、与信判断を行う目的でのみ閲覧することができます。金融業者以外の一般的な企業が、上記の信用情報を閲覧したり照会することはできませんのでご安心ください。

 

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