農家の抱える借金の任意整理や自己破産について

農業は、意外にも非常に初期投資や設備投資、機材などにコストのかかるビジネスです。その上、季節要因や豊作・不作の影響などで利益が想定通りに上がらない場合、借金漬けになってしまう農家の方も珍しくはありません。

農家の仕事はとにかくお金が掛かる?!
ねえねえ、先生ー!
農家の人で借金を抱えてしまって、任意整理などの債務整理手続きが必要になるケースはあるの?
あるだろうね、特に農業ビジネスは特に設備投資や初期コスト、機材のリース料金などが結構かかるから、ちゃんと農作物の売上で利益が出ないと経営が苦しくなることは多い。
ふーん、でも農家の方はJA(農協)バンクの農業融資や、日本金融公庫の農業改良資金、青年就農給付金なんかで、低金利で借り換えが出来たり、給付金を得られる制度が整っていたりするんじゃないのー?
そうだね、他の産業や業種と比較すると有利な条件で融資を得られやすい環境にはあるだろうね。ただそうはいっても、利益率が高い仕事かというとそうでもないから、やっぱり借金に苦しむ農家の方もいるだろうね。

 
農業は、一般的には国の保護などが強く、融資面でも優遇されやすいイメージが強いかもしれません。しかし実態としては、農耕具や設備投資、運転資金で多額のお金が必要になります。業務の効率化を図るためには機材が必要なので、投資コストもそれだけ膨らんでしまいます。

農業の初期投資は500万円以上も掛かるの?!

新規で就農するためには、様々な初期コストが必要になります。公的な機関で農業ビジネスを軌道に乗せるのにどのくらいの初期投資が必要かを尋ねると、最低でも500万程度は必要だといわれることが多いようです。

農業をはじめるには、ジャンルによっても異なりますが以下のような初期投資が必要なケースがあります。

  • 土地代(農地) 借地で最大年間20万円程度(10アール数万円)
  • トラクター、小型耕転機 200~300万円
  • ビニールハウス費用 100~150万円(1坪辺り1~1.5万円)
  • 鍬やその他の道具、種など 合計20万円
  • 保管用の大型業務用冷蔵庫 50万~100万円

 
意外と農地の土地代というのは借地であればそれほど高額にはなりません。相場でいって1a(アール)で数万円ですので、年間で数十万円程度にしかならない場合が多いです。

それよりも高くつくのが、特にビニールハウスの設置費用や保管倉庫などの設備投資や、トラクターや耕転機、噴霧器、田植え機、コンバイン、乾燥機などの機材費用です。

このため新規の就農の初期コストはかなり高額だと言われています。しかし実際には、全ての農家が500万円以上の参入コストを掛けているわけではなく、一部の法人農家が平均を押し上げている可能性もあります。

 

農外から農業に参入した法人アンケート

平成20年8月に全国農業会議所が実施した「農外から農業に参入した法人に対するアンケート調査結果概要」によると、初期投資額は100万円未満が27%、500万円以下が全体の49%とそれほど初期投資コストはかかっていないようです。

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出典:農外から農業に参入した法人に対するアンケート調査結果概要

 
一方で、3000万円以上も初期投資をしている法人が全体の18%も存在します。これが農業ビジネスの初期投資額の平均値が高くなる理由かもしれません。

たしかに最初から必ずしも新品のトラクターは必須ではないですし、別に中古車でかつ軽トラでも十分なケースも多々あります。機材などもリースでも問題ないかもしれません。そうすると初期投資の額は低くおさえられます。

“露地野菜”と”施設野菜”でも大きく違う初期投資額

全国農業会議所が実施している「新規就農者の実態に関するアンケート調査」によると、初期投資の平均額は露地野菜で475万円、施設野菜で777万円ともいわれています。

やはりビニールハウスの設備投資が必要になる施設野菜では、圧倒的に初期投資コストが高くなる傾向があるようです。

借金の返済にどうしようもなく困ったら債務整理

運転資金の調達に走りまわり、何とか自転車操業で廻していくような状態になり、最終的にどうにも借金が返済できなくなった場合には、任意整理や自己破産といった方法によって借金を債務整理することが可能です。

任意整理であれば、返済できなくなった借金の将来利息をカットして、最大36回分割で返済交渉をすることが可能です。また自己破産であれば、一定のデメリットもありますが最終的に借金が全て帳消しになります。

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