任意整理での早期返済や繰り上げ返済はできる?
任意整理での和解成立後に、資金に余裕ができた場合、早期返済や繰り上げによる一括返済をしても問題ないのでしょうか? こちらは相手方の債権者次第ではありますが、基本的には問題ないはずです。
例えば、退職金が出たり親の遺産を相続したりで、いきなりまとまった資金が準備できた場合に、任意整理での借金を早期返済することは問題ないのかなー?!
任意整理の場合は、法律上決められた取り決めではないため、相手方の合意さえあればどのような返済方式で問題ありません。 早期返済したい、一括返済したい、という申し出を嫌がる金融業者はあまりいないでしょうから、任意整理での早期返済は問題ない可能性が高いです。
任意整理を早期返済する上での注意点は?!
敢えて注意点を挙げるとすれば、以前に特定調停の章で書いた「特定調停の繰り上げは返済できる?」とも似ていますが、そもそも早期返済や一括返済そのものに本当に必要があるのか、という問題はあります。
少し難しい話ですが、金銭消費貸借契約や、あるいは任意整理の和解契約で定められた返済計画というのは、逆にいえば「返済期日が来るまでは借金を返済しなくてもいい権利」でもあります。これを期限の利益といいます。
期限の利益とは、返済期日が来るまでは、例え債権者から「やっぱり予定より早く借金を返済してくれ!」と言われたとしても、(期限が来るまでは)返済しなくてもいい権利のことです。 任意整理でいえば、3年かけて返済するという和解契約を結んだのであれば、それを2年で完済しなくてもいい権利、という意味です。
任意整理での借金の返済には利息が付きませんので、原則として、任意整理での早期返済は金融業者にとってのメリットしかなく、あなたにとってのメリットはありません。
しかしそれを承知の上で、「早く借金を返済してスッキリしたい」「手元に置いておくと使ってしまいそうだから、まとめて早期返済したい」という場合であれば、それも1つの個人メリットだと思いますので、早期返済をしても問題ないと思います。
ただし、一括返済で完済できる場合でなければ、早期返済や繰り上げ返済というのはあまりお勧めできません。というのも、(相手方との交渉にもよりますが)今月、早期返済をしたとしても、来月の支払い負担が減るわけではないからです。
任意整理の場合は、特定調停とは違い、和解契約は債務名義にはなりません。仮に将来的に返済が滞ったとしても、即座に強制執行による差押えをされる心配はありません。 その意味では、特定調停での早期返済に比べると、任意整理の早期返済はそれほどリスクがあるわけではありませんが、それでも本当に早期返済すべきなのかは検討が必要だと思います。
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