家賃の滞納分は任意整理や自己破産で整理できる?!
家賃の滞納は任意整理や自己破産など、債務整理の対象とできるのでしょうか? 家賃の大家さんも法律的には債権者ですから債務整理の対象とすることは可能なはずです。
家賃を滞納してしまっている分があるんだけどっ、この滞納家賃は任意整理で減額したり自己破産で免除することはできるのかなーっ?!
そ、それは困る! 立ち退きせずに住み続けるにはどうすればいいのー?
- 滞納家賃も借金なので債務整理で減額または免除することは可能
- 債務整理を通知すると、大家から立ち退きを命じられる場合もある
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家賃の滞納分を任意整理することは出来る?!
借金や債務は法律上、非免責債権にあたるもの以外はすべて債務整理の対象とすることができます。非免責債権は自己破産をしても債務が免除されない借金のことで、例えば悪意や重過失の損害賠償、税金や社会保険料、法律上の罰金、従業員への給与などがそれにあたります。
非免責債権とは法律上、例え自己破産しても免除されることのない債務のことをいいます。自己破産までしても免除されない債務(借金)なので、支払い義務が相当に重い債務になります。有名なものとしては、社会保険料や税金などが非免責債権にあたります。
家賃の滞納分の料金(債務)は、ここでいう非免責債権にはあたりませんので、法律上は任意整理や自己破産・個人再生の対象とすることができます。つまり、家賃の支払いが困難になって滞納してしまった場合に、債務整理をすることでその滞納額の減額、または免除が可能だということになります。
ちなみに補足情報になりますが、非免責債権には以下のようなものがあります。税金などの租税公課だけでなく、社会的に支払いの義務がある債務もそれにあたります。
家賃滞納分を債務整理すると、立ち退きを命じられることも
家賃はまず3カ月以上滞納すると、立ち退きを命じられる可能性が高くなります。法律上の見解でも、大体3カ月以上家賃を滞納してしまうと、大家や不動産会社側の「強制立ち退き命令」(建物明渡請求)が裁判所に認められやすくなります。
賃貸物件は、家賃を滞納したからといって大家の権利ですぐに追い出せるわけではありません。法律的に強制立ち退きの要求が認められるためには、大家はまず裁判所に建物明渡請求の申立てをおこなう必要があります。その後、裁判所の判決が確定してはじめて強制執行を申立てることができます。
債務整理の場合、一番早い任意整理でも最低2-3カ月はかかる可能性が高く(参考記事:任意整理にかかる期間はどのくらい?)、個人再生や自己破産の場合はさらに時間がかかりますので、これらの通知をおこなった時点で立ち退きや住居の明け渡しを請求されることは十分に考えられます。
ここで賃貸物件の立ち退き請求までの流れを大まかに把握しておきましょう。前述のように裁判所の判決がない限り、例え家賃の滞納があったとしても大家は強制的に居住者を立ち退かせることはできません。立ち退きまでの手順は以下のようになります。
- 3カ月以上の滞納が続き、電話や郵便物による催告が続く
- 大家(貸主)が裁判所に「建物明渡請求」を申立てる
- 裁判所から建物明渡の判決が出て、立ち退きの催告がある
- 大家(貸主)が裁判所に「強制執行」を申立てる
- 期限日までに立ち退かない場合、執行官による強制執行が実施される
このように立ち退き請求をもし仮に拒み続けた場合、段階的に強制執行に至るまでには最短でも数カ月はかかります。しかし最終的には、家賃を滞納している以上、立ち退かざるを得なくなります。
任意整理では、整理する借金の対象を自由に選択することができます(参考記事:任意整理なら特定の債権者を選んで交渉できる?)ので、なんとか家賃だけは支払っていけそうなのであれば、任意整理を選択して他の借金を整理・減額し、家賃は滞納分も含めて、そのまま支払い続ける、ということも可能です。
自己破産が認められれば滞納家賃が免除になる可能性がありますが、それでも住居立ち退きを請求された場合に(家賃が支払えない以上)それを拒むことは難しいので、そのデメリットは考慮に入れた上で債務整理を検討しなければいけません。このあたりは、詳しく弁護士と打ち合わせが必要です。
滞納家賃を支払っても、自己破産の免責不許可事由には当たらない
自己破産では必ず借金がすべて免除(免責)されるわけではなく、一部のケースでは免責が認められないことがあります。これを「免責不許可自由」といいますが、一般的には自己破産などの申し立て前後に、ある特定の債権者だけに借金の返済をおこなうこともこの免責不許可事由にあたります。
三 特定の債権者に対する債務について、当該債権者に特別の利益を与える目的又は他の債権者を害する目的で、担保の供与又は債務の消滅に関する行為であって、債務者の義務に属せず、又はその方法若しくは時期が債務者の義務に属しないものをしたこと。
参考文献:破産法 – 条文データベース
このため、債務整理前後には特定の債権者だけに借金の支払いをしないよう、注意を促す弁護士も多いので、自己破産申し立て後に自宅の家賃を支払ってもいいのかどうか、迷われている方も多いようです。
しかしこれは結論からいうと、家賃(滞納家賃を含む)を支払ったとしても破産法でいう免責不許可事由にはあたりません。家賃は例外として見なされるので、自己破産後も今の賃貸住宅に住み続けたいのであれば、家賃はなるべく支払っておく必要があります。
滞納家賃は債務整理すると立ち退きを命じられる可能性があるのかーっ、厳しいなーっ!
少しでも長く今の部屋に住み続けたいのであれば、なるべく頑張って家賃は支払うようにしたいところだね。
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