任意売却とは?競売と任意売却の違い

住宅ローンの返済で悩んでいる方のなかには、任意売却という言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか? 任意売却とは、住宅ローンの返済が不能に陥った場合に、住宅を市場で売却することでその売買代金を住宅ローンの返済に充てる手続きのことです。

任意売却って何?
ねえねえっ、先生ーっ!
住宅ローンの返済が不可能になった場合ってどうすればいいの? やっぱり自己破産しかないのかなー?
いや、まずは自己破産の前に、任意売却などの手続きを検討するべきだね。
任意売却は、金融機関の許可を得て住宅を市場で売却し、その売買代金をローン返済に充当する手続きのことだよ。
ふーん、そうなんだー。でも、それだと住宅はもう住めなくなっちゃうわけだよねーっ?
それって競売とは一体何が違うのーっ?
競売は、金融機関が抵当権を行使して、裁判所に依頼して住宅を売却処分(換価)する手続きのことだね。
競売は特殊な物件扱いされてしまうため、任意売却で市場で売却するよりも2~3割安い値段がついてしまう、という問題があるんだ。
なるほど。安い値段でしか売れないということは、その分、ローンの残債が多く残ってしまう、ってことだね。

任意売却は自分の家を市場で売却する手続き

裁判所が住宅を処分するのが”競売”

以前に書いた「自己破産すると住宅や住宅ローンはどうなるの?」の記事でも記載していますが、まだローン債務が残っている住宅には、銀行の抵当権が設定されているため、ローンの返済が滞った場合には銀行は住宅を売却処分して返済に充てる権利があります。
これを競売といいます。

競売(けいばい)
競売とは、裁判所の権限で住宅をオークション形式で売却処分する手続きのことです。住宅に抵当権を設定している銀行などの債権者の依頼により、裁判所がその住宅の最低売却価格を決定し、一般公募で買い手を募って住宅を売却する。

 

自らが市場で住宅を売却するのが”任意売却”

しかしこの競売手続きだと一般の市場売却価格の7~8割の値段が付いてしまい、あまり高く売れないため、銀行もあなたも損をしてしまうことになります。そのため、競売手続きに進む前に、自主的に銀行の許可を貰って、債務者が住宅を市場で売却してその代金を返済に充てる方法があります。これが任意売却です。

任意売却
裁判所に住宅を処分させる競売とは異なり、銀行の許可を得て、自分で主体的に住宅を市場で売却する手続きのこと。一般的に競売よりも高い価格で売却できるため、その分多くの金額をローン返済に充当することができ、残債務を減らすことができます。

競売で処分される前に任意売却をしないとあなたが損する?!

月々の住宅ローンの返済額が支払えなくなって、滞納が3カ月~半年近く続いてしまうと「もうダメだ・・・」と思いつめて絶望的な気持ちになってしまうものです。しかし、現実を直視する不安から何もする気が起きなくなってしまい、滞納後も銀行にされるがままに放置してしまうのは危険です。

住宅ローンの返済が半年以上滞ると”競売”にかけられる

住宅ローンの返済を半年以上滞納すると、「期限の利益が喪失」することで、保証会社より残債務の一括返済を要求されることになります

期限の利益の喪失
期限の利益とは、債務者が金銭貸借契約で定められた返済期限が到来するまでは返済しなくてもいい権利のことです。つまり約束の日が来るまでは、借金を返さなくてもいい権利です。返済の滞納が続くと、この期限の利益が喪失するため、債権者は残りの全額の一括返済を求めることが可能になります。

 
とはいっても、一括返済できるわけがありません(それが可能なら、そもそも半年も滞納しないでしょう)から、必然的に銀行により抵当権が設定されている住宅が処分されて換価されることになります。

このとき銀行から「競売申立予告通知」が届いたり、裁判所から「担保不動産競売開始決定通知」が届くことになります。この通知をこのまま放置していると、そのまま競売の手続きが進んでしまいます

競売開始決定から期間入札までに任意売却する

前述ように、銀行は1円でも多く回収する必要がありますから、債務者の協力を得られない場合は抵当権を行使して競売にかけるしかありません。しかし、競売にかけてしまうと市場価格の7割程度でしか売れないため、銀行もあなたも損をすることになってしまいます。

住宅が安い価格でしか売れないということは、その分、多くの住宅ローン債務が残ってしまう、ということです。また住宅が競売にかけられると、その情報が新聞やインターネットに掲載されることで、近所に知られてしまうなどのデメリットもあります。

 
そのため、裁判所から競売開始決定手続きが届いたタイミングか、それよりも前に出来れば任意売却の手続きを開始するのがベストです。 

裁判所の競売開始決定から、実際の入札(期間入札)までには半年近くの期間があるため、その間に任意売却を成立させることも十分に可能ですが、できれば「今後、返済が不可能なこと」が明らかになった段階で銀行に相談して任意売却を進めたほうがいいでしょう。

自己破産をする前に任意売却を検討する

住宅ローンの返済に行き詰まり、完全に返済不能に陥ってしまうとまず最初に自己破産を思い浮かべる方は結構多いです。ですが、実際には自己破産をしなくても任意売却だけで解決できるケースも少なくありません

自己破産をすると、やはり抵当権の行使により結局、住宅は競売にかけられて処分されます。また自己破産の申立てをしてから任意売却をすることは出来ません。自己破産には社会的なデメリットも多少ありますので、破産したくない、という方はまず法律、社会的なデメリットのない任意売却を検討してください。





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