任意整理は専業主婦でもできる?夫に内緒でも可能?
専業主婦でも任意整理をすることは可能です。ただしその場合は、弁護士費用や任意整理後の返済のお金をどうするのかという問題があります。特に夫に内緒で任意整理したいという場合は、夫の収入をやり繰りしながらバレずに返済を続けられるのか、あるいは親族に頼んで資金を援助して貰えるかどうか、等を検討する必要があります。
私、専業主婦なんだけど、クレジットカードのリボ払いや銀行カードローンで150万円近くの借金があるんだよね…。これって専業主婦でも任意整理できるのかな?
専業主婦ってだけで、法律事務所に受任を断られることは多分ないと思う。もちろん、弁護士費用とか任意整理の和解後の返済を、夫の収入の中で賄えることが前提だけどね。
借金のことはまだ夫に内緒にしてるの…。何とか夫にバレないように、任意整理できないかな? 家計の管理は私がやってるし、今より返済額が下がればコッソリ返済を続けられると思うの。
正論を言わせて貰うと、旦那さんの収入で返済するなら、正直、ちゃんと話し合った方がいいと思う。でもどうしても無理なら、夫にバレずに任意整理することは不可能ではないよ。
今は合計5社から借金をしてて、月々5~6万円ずつ返済してるの。でもこの返済がかなり厳しくて…。任意整理で月々の返済額が3万円くらいまで下がれば嬉しいんだけど、できるかな?
借入額150万円なら、交渉次第だけど、月々の返済額を3万円以下に減らすことは可能だと思う(参考記事)。でも弁護士費用はどうするつもりなの? 債権者が5社なら最低20万円はかかるよ。
でも任意整理の費用は、分割払いにできる法律事務所も多いんだよね? もし半年ぐらいの分割払いが認めて貰えるなら、任意整理で返済がストップしてる間に払えると思う。
債務整理には、「任意整理」「個人再生」「自己破産」の3つの種類がありますが、このうち専業主婦が選択できるのは、任意整理か自己破産のどちらかです(個人再生はできません)。どちらが良いかは、借金の額・月々の返済可能額にもよりますが、夫に内緒にしたいのであれば、一般的には任意整理の方が手続き自体はバレにくいです。詳しくは専門家に相談してください。
参考 → 家族に内緒で相談できる法律事務所はココ!
- 無収入の専業主婦が選択できるのは、任意整理か自己破産のどちらか
- 専業主婦が任意整理しても、夫の住宅(教育)ローンの審査には影響ない
- 夫に内緒でするなら、必要書類の少ない任意整理の方がバレにくい
あなたの借金がいくら減るのか? 無料診断してみよう
夫に内緒で借金をしている専業主婦って結構いるの?
一昔前に比べれば、夫に内緒で多額の借金をしている専業主婦は少なくなりました。これは単純に、法律が厳しくなって専業主婦に貸してくれる業者が減ったからです。
昔は収入のない専業主婦でも、簡単に消費者金融でお金を借りることができました。そのため、2009年の日本貸金業協会のアンケート調査では、なんと「借金をしている専業主婦のうち、約38.0%が夫に借金を内緒にしている」という凄まじい状況でした。(参考データ)
しかしご存知のように、2010年に貸金業法が改正されて以降は、「配偶者貸付 ※」の制度が導入されたため、夫の同意書や収入証明書がなければ、専業主婦はお金を借りることができなくなくなりました。そのため、今では夫に内緒で多額の借金をすること自体が難しくなっています。
しかし現在でも、クレジットカードのショッピング枠を利用したリボ払いや、貸金業法(総量規制)の対象外である銀行カードローンによって、夫に内緒で借金を抱えている専業主婦の方は、意外と多くいらっしゃいます。
また独身時代(収入があった時代)に借りていた借金を、結婚後も引き続き返済している、というケースもよく見かけます。もちろん、婚姻後に生活費が足りずに借金を重ねてしまうケースもかなり多いです。
なぜ秘密にしてしまうのか
専業主婦の家庭の場合、奥さんが夫の通帳もキャッシュカードも預かって全ての家計の管理をし、夫には現金でお小遣いを渡す(あるいはお小遣い専用の口座を持たせる)といった具合で、夫が家庭の収支状況を全く関知していないケースも珍しくありません。
そのため、夫の収入をやり繰りしながら、給料日前に足りない生活費をキャッシングするような生活が常態化してしまい、そのことを夫に言えないまま、ついついギリギリまで借金が膨らんでしまう場合があります。
また専業主婦の方は収入がない分、「もし離婚されたら生活できなくなる」という恐怖感や、「私が任意整理したら、子供の奨学金に影響するのではないか?」「夫の住宅ローンや教育ローンの審査に影響しないか?」といった不安から、現状維持で借金を続けてしまう方も多いようです。
しかし専業主婦の方が任意整理をするデメリットは、実際のところほとんどありません。
以下、よくありがちな誤解などをまとめてみました。
- 夫のクレジットカードの更新等に影響しないか? ⇒ しません
- 夫の職場での社会的な信用力が低下したりしないか? ⇒ しません
- 夫名義のローン審査で不利になったりしないか? ⇒ しません
- 子供が奨学金を借りれなくなったりしないか? ⇒ しません
- 夫を親会員とする家族カードは使えなくなるか? ⇒ なりません
- 借金がバレたら法律上の離婚原因にならないか? ⇒ なりません
信用情報について
任意整理すると、信用情報 ※ には完済から5年間傷が残ります。(参考記事)。しかし実際のところ、もともと収入のない専業主婦の方の信用情報がブラックになったとしても、実生活で困ることはあまりありません。
たまに誤解されていますが、信用情報は個人単位で記録されるもので、かつ本人の同意がなければ開示できません。そのため、専業主婦の方が任意整理をした後でも、夫名義のクレジットカードに影響はありませんし、夫の発行する家族カードもそのまま使い続けることができます。
また夫の教育ローン・住宅ローンなどの審査で、妻の信用情報が照会されることもありません。
特に住宅ローンの場合、審査過程が明らかにされないため、「私の任意整理のせいで夫のローン審査が落ちたのかも…」「私の信用情報を見られてるかも…」と疑心暗鬼になるかもしれません。しかし(連帯保証人として信用情報開示の同意書にサインした場合を除き)、夫名義の住宅ローンで、勝手に妻の信用情報が見られることはありません。
離婚事由について
法律上の離婚原因は、民法770条に規定があります。
法律上の離婚原因とは、もし裁判で訴えた場合に裁判官が離婚を認めてくれる可能性のある原因のことです。「不貞行為」「悪意の遺棄」「強度の精神病」など全部で5つありますが、基本的には、ただ「借金をした」「債務整理をした」というだけでは法律上の離婚原因にはなりません。
専業主婦が夫に内緒で任意整理をすることはできるの?
専業主婦でも任意整理はできます。ただし「弁護士費用」と「任意整理後の返済金」を何とか用意できることが前提です。
弁護士費用の相場は、大体、債権者1社あたり5万円前後です。例えば、債権者が5社であれば25万円くらいが相場になります。また任意整理の後の返済額は、現時点での借入残高を約3~5年で返済すると仮定して計算してみればいいでしょう。
月々の返済額の計算については、以下の記事を読んでください。
専業主婦の方の場合、収入が全くないと仮定すると、これらのお金を夫の収入で賄うか、家族にお願いするなどして用意するしかありません。返済に夫の協力が必要であれば、やはり正直に話した方がいいでしょう。
なお、法テラス(収入の低い家庭のために弁護士費用などを融資してくれる公的機関)は、世帯収入が基準になります。そのため、いくら専業主婦の方が無収入でも、夫に十分な収入がある場合には、法テラスを利用することはできません。
上記のお金の問題をクリアできるのであれば、基本的には、自己破産よりも任意整理の方が夫にはバレにくいです。なぜなら自己破産の場合は、夫の収入証明書や通帳など、夫関係の書類まで裁判所に提出しなければならないからです。
他にも自己破産だと、裁判所に行かなければならなかったり、裁判所からの書類が自宅に届く可能性があったり、官報公告 ※ があったり、色々とバレるリスクは高くなります。(ただし返済義務がなくなるので、任意整理のように返済途中でバレる、という心配はなくなります)
一方、任意整理では、特に夫の書類は必要ないですし、手続きも全て弁護士さんに丸投げするだけなので、弁護士さんとの連絡方法にだけ気を遣っていれば、夫にバレる可能性は低いです。
弁護士事務所から郵便物が自宅に届く可能性はありますが、これはあらかじめ、「差出人を個人名にして送って貰う」「郵便局留めで送って貰う」などのお願いをすれば、対処が可能です。最近は家族に内緒にしたいという事情に配慮してくれる法律事務所も増えました。
これについては、以下の記事で説明しています。
また住宅が共有名義になっている場合も、自己破産は避けたほうがいいです。
例えば、住宅ローンの返済が夫でも、頭金の一部を奥さんが支出しているなどの理由で、住宅の所有権が夫婦の共有持分になっている場合には、自己破産をすると、住宅を売却しなければならなくなる可能性があります。
閉じる
銀行カードやクレカの借金を減額できる法務事務所はこちら