住宅ローン返済が苦しい!リスケで返済期間を延長できる?
住宅ローンの返済が厳しいときは、銀行に相談に行くとリスケジュール(リスケ)に応じて貰えることがあります。リスケというのは、返済条件の見直しのことです。簡単にいうと(1)返済期間の延長、(2)一時的な返済猶予の2つの方法があります。例えば、残り15年のローンを10年延長して貰ったり、1年間だけ元金据置で金利だけを返済させて貰うことで、月々の返済負担を減らすことができます。
転職で給料が2割くらい下がって、住宅ローンの返済が苦しくなってきたんだけど・・・。金融機関に相談したら、返済条件の見直しに応じてくれたりするのかなー?
例えば、返済期間を延長する方法がある。一般的な金融機関の場合は35年以上のローンは組めないけど、元々の住宅ローンが25年の契約であれば、最長で5年~10年は延長できる可能性があるね。
例えば、元々25年で住宅ローンを組んで10年返済した時点(残り15年)で、給料が下がって返済が厳しくなったとしたら、返済期間を残り20~25年に延ばして貰える可能性があるってことね?
そもそも返済期間を延長すれば月々の返済額は減るかもしれないけど、その分、利息を支払う期間が長くなるわけだから、返済総額としては増えることになるよね。他に方法はないのー?
例えば、月々の返済が11万円で金利が2万円だとしたら、1年間は月2万円だけ返済して、1年後からは月13万円の返済に増やして追いつく、って感じだね。
この方法なら最終的な返済期間が伸びないから、返済総額も増えない。一時的に働けなくなった場合の減免措置としては有効だね。さっきの期間延長の方法と組み合わせられる場合もあるし。
今借りている金融機関に住宅ローンの延長をお願いするのと、他の金融機関に借り換えるのとだと、どっちが月々の返済額が少なくなるのかなー?
例えば、住宅金融支援機構のフラット35とか、住信SBIネット銀行で借り換えると「35年-経過年数」で住宅ローンを組み直せる。あとは新生銀行とかね。もちろん完済時の年齢制限はあるけど。
カードローンやクレジットカードなどの借金を一緒に抱えている場合は、個人再生がおすすめです。個人再生なら銀行とリスケの交渉が上手くいかない場合でも、裁判所の関与のもとで住宅ローンを残したまま、他の借金だけを1/5程度まで減額できます。同時に裁判所に住宅ローンの返済を一時猶予して貰うことも可能です。
参考記事 → 個人再生で住宅ローンをリスケする方法
- 住宅ローンの返済が厳しいときは、金融機関にリスケの相談をすべし
- リスケの方法には「一時返済猶予」と「返済期間延長」の2つがある
- 一般的な銀行で5~10年、フラット35の場合は最長15年の延長ができる
- フラット35の場合、住宅を手放さずに一時的に賃貸に出すこともできる
- 住宅ローンのリスケをしても信用情報に傷は付かない。ただし延滞はダメ
- 借り換えだと通常は返済期間は伸びない。フラット35など一部は例外
1.金融機関は意外とリスケの相談に応じてくれる?!金融機関にリスケを相談
2.住宅ローンの返済期間を延長するデメリットはあるの?返済期間の延長のデメリット
3.住宅ローンの返済を一時猶予して貰える場合もある返済を一時猶予して貰う
4.リスケを相談するのと、借り換えるのはどちらが得?借り換えとリスケの違い
5.マイホームを一時的に賃貸に出して返済を凌ぐ方法もある一時的に賃貸に出す方法
金融機関は意外とリスケの相談に応じてくれる?!
住宅ローンは「繰り上げ返済はできるけど、返済期間の延長はできない」という認識の方は多いと思います。しかしモラトリアム法案 ※ が制定されて以降は、金融機関も徐々に住宅ローンの延長の相談に応じるようになっています。
もちろん正当な理由がなければ、返済期間の延長はできません。
例えば、リストラに伴う転職で給与が減ったとか、一時的に病気やケガで働けなくなったとか、リスケを相談するにも相応の事情が必要です。
しかし相応の事情があれば、返済期間の延長の相談に応じてくれる金融機関は意外と多いです。
「何年延長できる」という決まったルールはありません。
ですが、一般的にはローンの返済期間が全体で35年を超えない範囲であれば、延長を認めて貰える可能性はあります。
例えば、25年で住宅ローンを組んでいた方であれば、5年~10年で住宅ローンを延長できる可能性があります。30年で住宅ローンを組んでいた方であれば、最長5年は住宅ローンを延長できる可能性があります。
以下、実際にあった住宅ローンの期間延長の例です。
1.元ローン25年、残り8年の時点 → 5年延長
2.元ローン20年、残り15年の時点 → 10年延長
3.元ローン30年、残り21年の時点 → 5年延長
4.元ローン25年、残り15年の時点 → 5年延長
5.元ローン25年、残り20年の時点 → 10年延長
統計によると、住宅ローンは最初の時点で25年前後で組む方が最も多いです。そのため、多くの方は5年~10年の範囲で住宅ローンを延長できる余地があります。(住宅ローンの約定年数は平均25.7年-参考資料)
もちろん、完済時の年齢も考慮されます。
例えば、完済年齢が「75歳まで」と定められている銀行の場合、75歳を超える住宅ローンの延長は認められません。20年で住宅ローンを組んで、現在55歳(残り15年ローン)だとすると、延長できるのは最長で5年です。
完済年齢が何歳に設定されているかは金融機関によって異なります。
一般的には75歳のところが多いですが、70歳に設定している金融機関もあります。逆に住宅金融支援機構(フラット35)の場合は、完済年齢は80歳です。最長で80歳まで延長が認められます。
住宅金融支援機構の場合は、住宅ローンの契約年数に関わらず、最長15年の延長が認められます。
例えば、フラット35で既に30年の住宅ローンを組んでいる方でも、さらに15年の延長(合計45年ローン)が認められる可能性もあります。ただし80歳までに完済することが条件なので、ある程度、年齢の若い方でないと成立しません。
病気やケガ、転勤による収入減などの正当理由があれば、認められます。
例えば、フラット35で25年ローンを組んでいる方の場合、10年以内の住宅ローン延長であれば、一般的な「返済方法の変更」として認められます。ただし手数料5,250円と、追加保証料が発生します。
35年を超える延長の場合
住宅金融支援機構では「特例」という位置付けで認められることがあります。
条件は最初から明確に決まっています。具体的には、
(1)収入倍率(年収/年間返済総額)が4倍以下
(2)収入月額が(世帯人員 × 64,000円)以下
(3)住宅ローンの年間返済総額が年収に対して以下の割合(返済負担率)
年収 | 300万円未満 | 300万円~400万円 | 400万円~700万円 | 700万円以上 |
---|---|---|---|---|
返済負担率 | 30%以上 | 35%以上 | 40%以上 | 45%以上 |
年収 | 返済負担率 |
---|---|
300万円未満 | 30%以上 |
300万円~400万円 | 35%以上 |
400万円~700万円 | 40%以上 |
700万円以上 | 45%以上 |
の場合に、35年ローンを超える延長が認められます。
住宅金融支援機構のフラット35は、上記のように延長を認める要件が明確に決まっているので、良くも悪くもわかりやすいです。
一方、民間の銀行の場合はルールが公開されていないため、何度か銀行に足を運んで事情を説明して、少しずつ担当者と交渉を進めるケースが多いです。
住宅ローンの返済期間を延長する場合、以下のようなデメリットがあります。
返済期間延長のデメリット
- 優遇金利が付いている場合は、優遇金利がなくなる可能性がある
- 変動金利の場合は、金利が0.5~1%引き上げられる可能性がある
- 返済期間が伸びることによって、トータルの返済総額が増える
- 延滞がある場合は、滞納分を解消した後でないとリスケできない
- 再度ローン審査が必要になる。審査に通らなければ延長できない。
- 追加で担保や保証人を求められるケースがある
- 5年の延長だと、そもそも月々の返済額が期待ほど減らない可能性がある。
金利や追加担保は交渉次第ですが、優遇金利はほぼ確実になくなります。
そこまで視野に入れて、住宅ローンのリスケをするかどうかを検討しましょう。
また最後の「そもそも月々の返済額があまり減らない可能性」は、事前にシミュレーションすればわかる話ですから、あらかじめ確認しておきましょう(計算ツール)
例えば、元本残高2000万円、ローン残り20年、元利均等方式、固定金利3%の住宅ローンで、5年間の延長が認められたとします。この場合、金利や返済方式が同じだとすると以下のようになります。
残高2000万円、残り20年、元利均等、固定金利3%
【月々の返済額】 月11万0919円
【総返済額】 約2662万円
【リスケ後】
残高2000万円、残り25年、元利均等、固定金利3%
【月々の返済額】 月9万4842円
【総返済額】 約2845万円
月々の返済額は、11万円 → 9万5000円まで減ることになります。
これで「9万円台まで減るなら、家計がかなり楽になるぞ!」という方なら良いですが、「9万円でも返済できない・・・」という方の場合は、そもそもリスケではあまり助けにならないかもしれません。
逆によく勘違いされるものの、実はリスケのデメリットではないものもあります。
主に以下の2つです。
よく誤解されるデメリット
- リスケで返済期間を延長すると信用情報ブラックになる
- リスケで返済期間を延長すると、団体信用生命保険が効かなくなる
返済期間の見直し(リスケ)を行っても、それが信用情報に載ることはありません。
信用情報でブラック扱いされるのは、あくまで「延滞」「期限の利益喪失 ※」「代位弁済」「債権譲渡(移管)」「債務整理」といった事象が発生した場合だけです。
返済を数カ月に渡って遅延した場合は、それが理由で信用情報上の事故扱いになることはあります。ですが、それとリスケ(返済期間の延長)とは直接の関係はありません。
まだ遅延が発生していない段階でリスケの相談に行けば、少なくとも信用情報ブラックになることはありません。
団体信用生命保険
これは昔、住宅金融支援機構で、「団体信用生命保険の保障は70歳まで」「住宅ローン延長時の完済年齢の上限は80歳まで」と両者にズレがあった時期がありました。
これにより、住宅ローンを延長して70歳を超えてしまった場合に、「団体信用生命保険の対象から外れる」「空白期間が生じる」という時代があったため、それで誤解されている方がいるようです。
現在は、団体信用生命保険の保障期限は80歳までです。
また、住宅金融支援機構では80歳を超えるローンは組めませんので、住宅ローンを延長したとしても、団信の保障から外れることはありません。(もちろん、保証料が嵩むことはあります)
住宅ローンの返済を一時猶予して貰える場合もある
住宅ローンのもう1つのリスケ方法が、「返済の一時猶予」です。
具体的には一定期間、金利だけを支払うことで元本の返済を猶予して貰う方法です。
もちろん一時的な応急処置ですから、将来に収入が復活する(または家計状況が改善する)見込みがある場合のみ、認められます。
例えば、「家族が病気をして今だけ支出が増加している」「リストラされて収入が減ったが、転職すればまた返済できる」といった場合です。
民間銀行の場合、元金据置の期間は長くても6カ月~1年程度しか認められません。
2年も3年も猶予を認めて貰うことは難しいです。ですので、あくまで一時的に資金繰りに困っている場合の応急措置として考えてください。
元金も「猶予期間中は1円も支払わなくていい」ということではなく、「本来11万円のところ、2~3万円の範囲まで減免して貰う」といった交渉になることが多いです。
例えば、月々の約定返済額が11万円(うち金利2万円)であれば、猶予期間中は、返済額を月3万円(うち金利2万円)にして貰うといった具合です。
また一時返済猶予の場合は、返済期間の延長を前提にしませんので、基本的には、後で追い付くことが条件になります。つまり猶予期間が終了した後は、月々の返済額を(猶予前よりも)増やすことになります。最終的な返済期限は変わりません。
もちろん返済期間の延長と合わせて交渉することはできます。
「返済期間を延ばして、さらに今後1年の元本返済を猶予して欲しい」と相談することは可能ですが、その分、交渉のハードルは上がります。
住宅金融支援機構の場合は、最長3年の据置(特例)アリ
住宅金融支援機構(フラット35)の場合は、またもや特例があります。
原則としては、病気やケガ・その他の理由で返済が困難になった場合に、「一定期間の返済を減額して貰う」「その分は期間終了後に、返済額を増額させて追いつく」必要があります。
民間銀行と同じです。
しかし一定の条件を満たした場合には、特例として最長3年の据置期間が設定されます。
(1)収入倍率(年収/年間返済総額)が4倍以下
(2)収入月額が(世帯人員 × 64,000円)以下
(3)収入減少割合が20%以上、または失業中の方
(4)住宅ローンの年間返済総額が年収に対して以下の割合(返済負担率)
年収 | 300万円未満 | 300万円~400万円 | 400万円~700万円 | 700万円以上 |
---|---|---|---|---|
返済負担率 | 30%以上 | 35%以上 | 40%以上 | 45%以上 |
年収 | 返済負担率 |
---|---|
300万円未満 | 30%以上 |
300万円~400万円 | 35%以上 |
400万円~700万円 | 40%以上 |
700万円以上 | 45%以上 |
※ 条件(3)が新しく加わっています
この条件を満たした場合には、なんと以下の3つの条件変更が同時に実施されます。
(1)最長15年の返済期間延長
(2)最長3年の返済猶予(元金の据置期間)の設定
(3)据置期間中の金利の引き下げ
つまり住宅ローンの返済期間が最長15年延長される上、当面の間(最長3年間)は元金の返済を猶予して貰うことができ、利息だけを支払うことができます。さらにその猶予期間中の利息は、約定金利よりも低い金利(マイナス1%程度)が適用されます。
まさに至れり尽くせりの減免措置です。
リスケを相談するのと、借り換えるのはどちらが得?
他の金融機関に住宅ローンを借り換える、という方法もあります。
一般的な金融機関の場合、借り換えは、元々組んでいた住宅ローンの期間の範囲でしかできません。
例えば、前の銀行で25年の住宅ローンを組んで、残り10年であれば、新しい金融機関で借り換えても10年以内のローンしか組めないということです。これが原則です。
つまり、他行に住宅ローンを借り換えたとしても、基本的には「金利が下がった分」についてしか恩恵はありません。借り換えに伴って返済期間を延ばすことはできません。
いま借りている銀行にリスケを相談しに行ったとしても、金利が「下がる」ということは、まずありえません。むしろ変動金利であれば、金利が上がる可能性すらあります。
では「0.1%でも金利が下がるなら借り換えた方がいいのか?」というと、そうでもありません。
住宅ローンの借り換えにあたっては、新しい金融機関での保証料、事務手数料、団体信用生命保険の保険料、抵当権設定の登記費用(登録免許税)、司法書士費用、火災保険料、印紙代などさまざまな諸経費がかかります。
住宅ローンの残高が2000万円だとして、借り換えの諸経費だけで50万円~100万円かかることも珍しくありません。
借り換えの諸経費例
項目 | 費用 |
---|---|
保証料 | 1~2% |
事務手数料 | 1~2% |
団信保険料 | 50万円 |
抵当権設定 | 0.4% |
印紙代 | 2万円 |
司法書士費用 | 10万円 |
火災保険料 | 3万円 |
合計額 | 93万円 |
※住宅ローン残高2000万円の場合
当然ながら、借り換えで金利が下がったとしても、諸経費を上回る経済メリットがない限り、住宅ローンを借り換える意味はありません。
例えば、住宅ローン残高2000万円、固定金利3%で、借り換えによって金利0.5%下がったとしましょう。この場合の返済額は以下になります。
残高2000万円、残り20年、元利均等、金利3%
【月の返済額】 月11万0919円
【総返済額】 約2662万円
【借り換え後】
残高2000万円、残り20年、元利均等、金利2.5%
【月の返済額】 月10万5980円
【返済額】 約2543万円
【諸経費込み】 約2636万円
一応、諸経費込みで考えても総額25万円ほど得することになりますね。
しかし月々の返済額は5000円程度しか下がりませんし、先にまとめて一括で50万円以上の諸経費を支払わなければなりません。
同じケースで金利が0.3%しか下がらないのであれば、借り換えの意味は全くありません。
逆に、金利が1%下がるのであれば、積極的に検討してもいいかもしれません。
一部の金融機関では、借り換えと合わせて住宅ローンを延長できる場合もあります。
有名なのは住宅金融支援機構、住信SBIネット銀行、新生銀行の住宅ローンです。
例えば、住宅金融支援機構の場合、借り換え後の住宅ローンの返済期間は、最長で「35年-経過年数」まで認められます。
つまり民間銀行で25年の住宅ローンを組んで、残り15年(経過年数10年)の時点で住宅金融支援機構のフラット35に借り換えたとします。この場合、住宅金融支援機構では最長25年(35年-10年)のローンを組むことができます。
借り換えで期間延長できる住宅ローン
金融機関 | 借り換え期間の上限 | 完済時年齢の上限 |
---|---|---|
住宅金融支援機構 (フラット35) |
最長で「35年 - 前の住宅ローンの経過年数」 まで設定可能 |
80歳未満 |
住信SBIネット銀行 (ネット専用住宅ローン) |
最長で「30年 - 前の住宅ローンの経過年数」 まで設定可能 |
80歳未満 |
新生銀行 | 最長で35年まで設定可能 | 80歳未満 |
住宅金融支援機構 (フラット35) |
---|
借り換え期間の上限 |
最長で「35年 - 前の住宅ローンの経過年数」まで設定可能 |
完済時年齢の上限 |
80歳未満 |
住信SBIネット銀行 (ネット専用住宅ローン) |
借り換え期間の上限 |
最長で「30年 - 前の住宅ローンの経過年数」まで設定可能 |
完済時年齢の上限 |
80歳未満 |
新生銀行 |
借り換え期間の上限 |
最長で35年まで設定可能 |
完済時年齢の上限 |
80歳未満 |
住宅金融支援機構(借換融資のご利用条件)、住信SBIネット銀行(借入期間について)、新生銀行(よくあるご質問)の調査結果。
もちろん、いずれの金融機関にも「完済時年齢」の制限はあります。
例えば、新生銀行は現在の住宅ローンの年数に関係なく、借り換えによって最大35年のローンを組むことができますが、完済時の年齢で80歳を超えることはできません。
45歳で25年ローンを組んで、20年返済した時点(65歳)で借り換える場合、借り換え後の住宅ローンの返済期間は最長でも15年になります。それでも10年の住宅ローン延長に成功したことになります。
マイホームを一時的に賃貸に出して返済を凌ぐ方法もある
一時的にマイホームを賃貸に出して、その賃料収入を返済に回す、という方法もあります。
例えば、月11万円の住宅ローン返済ができなくなったとします。
この場合に、家族は3年間だけ夫の実家に住まわせて貰い、その間は自宅を賃貸に出します。賃貸で月7万円の賃料収入を得て、それを返済に回し、残りの4万円は自力で返済します。
この方法であれば、返済期間を延長する必要もなく、自宅を売却することもなく、月々の返済額を減らすことができます。もちろん収入が復活すれば、また自宅に戻って住むこともできます。
この方法は、主に住宅金融支援機構のフラット35を利用している方が使える方法です。
一般の民間銀行で借りている場合は、「賃貸に出す」というのは難しいかもしれません。
一般的には、住宅ローンは「自身の居住用の物件」を購入するためのローンなので、本人が継続的に居住することが前提です。ローンの返済中に自宅を賃貸に出すことはできません。
ですが、住宅金融支援機構の場合は、経済状況が悪化して住宅ローンの返済が厳しくなった方を対象に、返済を続けるために自宅を賃貸に出すことを認めています。これも最初に言及した「金融円滑化法 ※」による住宅ローンの債務者保護の取り組みの一環です。
具体的には「住所変更届」という書類を1通提出すれば、それでOKです。
住所変更届の中には、「融資物件にご家族が引き続き居住する」「ご家族も含め、全員が融資物件から転居する」という2つの選択肢がありますので、後者にチェックを入れます。
さらに転居理由の欄に「返済継続のための賃貸利用」という項目がありますので、ココにチェックを入れます。
- 外部リンク
- 転居などで住めなくなったとき(住宅金融支援機構)
マイホームを一時的に賃貸に出すにあたって、おすすめなのがJTI(移住・住みかえ支援機構)の「再起支援借り上げ制度」の利用です。(参考リンク)
JTIという一般社団法人に自宅を借り上げて貰い、JTIが入居者を募集して住宅を転貸するという制度です。入居者の募集や賃貸借契約はすべてJTIが行ってくれます。
転貸賃料は、周辺相場の80~90%に設定されます。
仮に家賃を8万円とした場合、そこから15%を差し引いた残り(6万8000円)が、住宅所持者の手取りです。この6万8000円を住宅ローンの返済に回すことになります。
もし途中で入居者が退去して空家となった場合でも、家賃保証を受けることができます。
(空室時の保証賃料は、査定賃料の下限の85%相当です)
「定期賃貸借」なので好きなタイミングで自宅に戻れる
再起支援借り上げ制度のポイントは、「3年間の定期賃貸借契約」で貸しに出すという点です。
一般的な賃貸借契約の場合、借地借家法の保護がありますので、正当な理由がない限り、賃貸契約の更新を拒絶することはできません。つまり、賃借人が「この家に住み続けたい」といって契約の更新を希望した場合は、契約を更新してあげなければなりません。
いつでも簡単に立ち退いて貰えるわけではありません。
一方、定期賃貸借契約というのは、「更新を前提としない契約」です。
そのため、3年間の定期賃貸借契約で貸しに出した後も、3年後に「そろそろ自宅に戻ろうかな」と思ったら、契約期限が満了したタイミングで自宅に戻ることができます。
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