特定調停のメリットとデメリット

特定調停を選択することには、やはりメリットもあればデメリットもあります。これは他の任意整理や自己破産、個人再生とすべて同様です。まずは以前の債務整理のデメリットに関する記事を紹介しておきます。

特定調停は、裁判所の調停委員の提案で借金の返済プランを練り直すための手続きです。借金が大きく減ることもありますが、借金が免責(0になる)ということはありません。そのかわり、無職でも申立て可能だったり、自宅や車を売る必要がないといったメリットもあります。

自分の借金額や返済能力に応じて、適切な債務整理の方法を選択することが重要です。

特定調停のメリットとデメリット
ねえねえっ、先生ーっ!
特定調停のメリットって、一体どういうものがあるのーっ?!
うーん、メリットといえば、例えば必ずしも弁護士を依頼しなくてむ手続きを進められる、つまり手続き費用が安いことや、無職でも申し立てられること、調停期間中は借金の返済を停止できることなどがあるだろうね。
ふーん、じゃあ逆にデメリットってどういうものがあるのかなーっ?!
まず(弁護士などに頼らずに)自分1人で進めようと思ったら、やはり手続きは相当煩雑で面倒になるね。必要な書類もたくさんあるし、それらをすべて集めないといけない。それに調停委員を自分の言葉で説得しないと、調停が成立しないことにもなる。
そっかーっ、特定調停はあくまでも民事調停だもんねっ、裁判所が話し合いを手伝ってはくれるけど、あくまでも二者間での合意だから必ず借金が減額されるとは限らないんだねーっ。

 

特定調停のメリットは?

特定調停は任意整理と個人再生の、ちょうど中間のような手続きであることは「特定調停と、個人再生や任意整理の違いは?」でも解説してきました。

そのため特定調停のメリットも、個人再生のメリットと任意整理のメリットの中間になります。すなわち、個人再生ほど大きな借金の減額は見込めないけど、そのかわり社会的な制約や法的な制限も少ない、という点が特徴です。

具体的には以下のようなメリットがあります。

  • 特定調停の通知をすると借金の催促がとまる
  • 親や家族、妻や夫にバレることなく債務整理が可能
  • 比較的、スムーズに手続きが進み2~4カ月で完了する
  • 裁判所への費用が安くて済む
  • 利息制限法やその他の要因から借金の減額が見込める
  • 無職でも申立てが可能
  • 調停委員が客観的な立場から金融業者に交渉してくれる
  • 将来利息はカット、元本のみの分割返済ができる
  • 自宅や車などの手持ち資産を売却処分する必要なし

こう見てみると、物凄くメリットがたくさんあるように見えます(し、実際にあります)が、一番重要なことを理解しておかなければいけません。債務整理のときに一番気になるポイント、それは「一体いくら借金が減るのか、減免されるのか?」ということですよね。

正直いうと、特定調停は利息制限法にもとづく過払い利息が発生していなければ、あまり大きな借金減額の余地はありません。この点は任意整理と全く同じですね。
特定調停は敷居が低い分、借金減額も少ない

借金の減額幅に個人差がある(過去に法律で規定された上限利息を超えて支払っていた過払い利息がないと大きな減額は見込めない)ため、その分、手続きの敷居が低く、個人再生や自己破産のように明確に借金を減らせる手続きと比較するとメリットが多く見えてしまいますが、その点は注意が必要です。

特定調停を通知すると、借金の催促が止まる

特定調停の手続きをすると借金の催促がいったん停止する、というのは明確なメリットだと思います。任意整理でも弁護士から「受任通知」というのが送付して借金の催促をいったん停止して貰う手続きがあることは、以前にも「任意整理の受任通知で借金の取り立てや催促を止める方法」で解説しましたが、これとほぼ同様の効果が特定調停通知でも認められます。

 

特定調停のデメリットは?

特定調停のデメリットは、信用情報機関にブラックリストとして登録される、という点ぐらいではないかと思います。その他に社会的に不利益をおよぼすようなデメリットはほぼありません。

特定調停のデメリットを敢えてまとめると以下のようなものがあります。

  • 借金残高が人によってはあまり減らない可能性がある
  • あくまで民事調停なので、合意案が成立するとは限らない
  • 特定調停が成立しても、信用情報機関に事故情報が登録される

まず特定調停が成立して借金の返済額が確定した場合は、信用情報機関に事故情報として「特定調停をした」という事実が登録されます。(参考:「信用情報機関って何?債務整理でブラックリスト登録される?」)

特定調停の場合は、任意整理と同じく原則、向こう5年間、ブラックリストに登録されます。事故情報が登録されるとこの5年間の間は、新規で借入や借金ができなかったり、ローンを組むことができなかったり、クレジットカードが作れなくなる可能性があります。とはいっても、それで生活ができなくなることはありません。

民事調停なので合意が得られるとは限らない

特定調停は、裁判所が仲裁に入る、というだけであくまで原則は二者間の対話・合意が基本になる「民事調停」です。そのため、例えば他の離婚調停(民事調停の一種)などと同様に、必ずしも合意・和解に至れるとは限らないところがポイントです。

債務者は当然、「返済できないこと」を根拠に借金をなるべく減免してくれるよう要求しますが、利息制限法違反の金利を取っていたわけでもない限り、貸金業者側もそう大きな借金減額には応じません。現実的には、借金がほとんど減らなかった、あるいは貸金業者が提示する返済額ではやはり返済が不可能だ、ということになる可能性も十分にあります。

最近は、民事再生法の派生でできた「個人再生」のほうが人気で、特定調停よりも個人再生を選択する人が増えているね。個人再生であれば、民事再生法の最低弁済額基準に基づいて、確実に一定額以上の大きな借金の免除が得られるところが特徴だよ。

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