任意整理で住民税などの税金を整理することはできる?

住民税や市民税などの税金は、一切の免除や減額措置はありません。そのため税金を任意整理の対象とすることはできませんし、自己破産や個人再生などの債務整理手続きも不可能です。

住民税などの税金は任意整理できる?
ねえねえ、先生ー!
多重債務者からすると税金の支払い負担ってかなり厳しいと思うんだけど、住民税みたいな税金って任意整理はできないんだっけー?!
そうだね、税金というのは法律上の非減免債権、非免責債権として位置付けられているから、いかなる債務整理の手続きをもっても税金を減額したり免除することは一切できないんだ。当然、任意整理もできないね。
そうなんだー・・・、税金って厳しいねー。
じゃあ借金の返済が完全に支払不能に陥っていて、とても税金を支払う余裕がない場合にはどうすればいいのー? 放置するしかないのかなー?!
いや、例え支払不能に陥っていても放置や無視だけはしてはいけないよ。税金の催促や督促を放置していると、強制執行による給与や預貯金の差押えになる可能性もあるんだ。まずは管轄の市役所で、分割の相談をするのがいいと思うよ。

 
自己破産の章(参考「自己破産をしても滞納税金は免責されない?」)でも解説しましたが、住民税や市民税などの税金の支払いは法律上、どのような手段を用いても減額・免除されることはありません。

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住民税は任意整理の対象にはできない?!

住民税などの税金は他のあらゆる債権と比較しても、最も法律上の優先度が高い債権として位置付けられています。そのため、例え任意整理しようが破産しようが、税金を減額したり、支払わなくても良しとする方法は存在せず、必ず何らかの方法で税金は支払わなくてはなりません。

国税及び地方税と私債権の調整
国税徴収法26条では、国税と地方税、私債権の優先順位の調整について定められています。それによると、債権の優先順位は、「国税 > 地方税 > 私債権」となっています。そのため、法律上は消費者金融などの私債権よりも税金の債権が優先されます。

 
また地方税法14条の「地方税優先の原則」では、住民税などの地方団体の徴税は、国税を除くすべての債権に先だって徴収が可能だと定められています。

住民税などの税金の支払いを放置するとどうなる?

税金は債権者が国だから、消費者金融などの民間企業よりも取り立てが甘いだろう、と誤解されている方は非常に多いです。しかし税金の取り立てはとても厳しいです。

少し前にテレビ朝日のバラエティ番組「痛快!ビッグダディ」で一躍有名になった林さんが、税金滞納により差押えにあったことがニュースになって話題になりました。

ビッグダディ林さんの税金滞納の差押え

「3月に預金を差し押さえられちゃったんだよ。岩手に家を探しにきていた時に、金がなくなったんで預金をおろそうと思ったら、残金が“0”になっていた。“いくらなんでも、0はねえだろ”と思って記帳したら、カタカナで『サシオサエ』って印字されて出てきたの。初めてみたよ、そんなの…」

出典:http://www.news-postseven.com/archives/20130519_188759.html

 
住民税を滞納したまま放置していると、催告書に続いて督促状が送られてきます。督促状(支払督促)というのは、法律上は債務名義にあたるため、この督促状の段階で放置していまうと、強制執行の対象となってしまいます。

差押予告書が最後のチャンス

ただし実務上はこの督促状の次に、いきなり強制執行になるわけではなく、差押予告書が送付されることが一般的です。この差押予告書が最後のチャンスになります。

差押予告書
電話や職員の訪問による催告、督促状などを全て無視した場合、差押予告書がポストに届き、それでも放置を続けると強制執行による差押えがなされます。差押予告書が届くのはもう最終フェーズなので、この段階で放置をするとほぼ確実に差押えが実行されることになります。

 
まず口座差押がなされた場合、その口座の預貯金は全額差押えの対象になります。また給料の振込についても4分の1に相当する額は差押えの対象になります。

住民税が払えない場合は分割の相談を

このように住民税や市民税などの税金は、無視・放置をすると非常に厳しい措置を取られることになります。しかし事前にキチンと説明し、分割や猶予について相談をすると、事情によっては猶予や分割に応じてくれる場合も多いようです。

住民税などの分割納付の相談
これは各地方自治体や市役所によっても対応が異なるため一概には言えませんが、誠意をもって事情を説明すれば、長期の分割納付や数カ月間の猶予に応じて貰えるケースがあるようです。

 
ネット上の書き込みなどを見ていると、月々5000円ずつの分割納付に応じて貰えた、という事例や、親身に相談に乗って貰い、無利息での猶予に応じて貰えた、というケースも見られます。

滞納や放置よりは、絶対に事前相談の方がいい

もちろん全てがこのように上手くいくケースばかりではありませんが、少なくとも放置や無視よりは遥かに良い結果が得られます。住民税などの租税公課は任意整理はできませんので、少しでも早く役所に支払い方法について相談してください。

 

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