任意整理の利息引き直し計算のExcelシミュレーション

任意整理で実際にどのくらいの借金が減るのでしょうか? 任意整理の計算方法を大まかに理解しておくことで、弁護士の先生などに相談する前にあらかじめ自分で返済額をシミュレーションすることが可能です。 この記事では簡単な任意整理の計算方法を紹介します。

利息引き直し計算って自分で実践できるの?!

2007年以前から借金の返済や借入をおこなっている場合には、利息制限法を超過する違法な金利を取られていた可能性があります。この払い過ぎた金利は、借金の残高の返済に充当することができます。

例えば、以下のようなケースをシミュレーションしてみます。

引き直し計算の方法

トラ子さんは、2007年4月に40万円を29%の金利で借入れ、毎月2万円ずつ返済することにしました。5月-9月までの5カ月間は正常に入金をおこない、借入可能枠が増えたため、9月にまた追加で20万円を利息29%で借り入れました。

その後も、正常に2万円ずつ入金を続けました。また2008年の8月に別の金融業者Bから30万円を利息18%で借入し、毎月18000円ずつ返済することになりました。同様に2009年2月に金利18%で貸金業者Cから30万円を借り入れました。 また2009年3月には、A社から改定後の金利17%で10万円を追加で借入ます。

 

その後も、A社、B社、C社の3社を中心にかわるがわる返済しながら借金を繰り返していき、現時点でも3社合計で260万円の借金を抱えています。こうやって文章で見るとワケがわからなくなってきそうなので、一度、表で整理してみます。すると以下のようになりました。

貸金A社 貸金B社 信販C社 月々返済額 金利
2007年4月 40万円 20000円 29%
2007年9月 20万円 29%
2008年8月 30万円 18000円 18%
2009年2月 30万円 20000円 18%
2009年3月 10万円 17%
2010年6月 20万円 17%
2010年9月 20万円 18%
以下略 以下略 以下略 以下略 18%

 
利息引き直し計算とは、利息制限法に違反する高すぎる利息分を引き直して計算することです。そのため、この場合だと注目するべきなのは、2007年4月に金利29%で借り入れた40万円と、2007年9月に金利29%で借り入れた20万円、この2つの取引だけです。

この2つの取引に関しては、既に現在では完済しており過払い利息が発生しているからです。

利息引き直し計算の実施

利息引き直し計算をするためには、まずいくらの利息を実際に支払ったのかを計算する必要があります。 今回は貸金業者Aに対しては、毎月2万円ずつ返済するという元利均等返済という方式により返済をおこなっています。

元利均等返済方式
月々○万円というように、毎月決められた一定額を返済し続ける方式です。毎月の返済額が一定なので家計の管理がしやすく、安定した返済がしやすいというメリットがあります。一方で、返済当初ほど利息負担の割合が多く、元本返済にあてる割合が少なくなるので、返済期間が少し長引くデメリットがあります。

 
この元利均等返済と元金均等返済の細かい違いはこの記事では説明しません。今回は「毎月決められた一定額だけ返済する方式のことを”元利均等返済”っていうんだ」ということだけ理解しておいていただければ大丈夫です。

元利均等返済には、利息額を計算するための公式があります。それが以下です。

毎月の返済額=借入金額×利率×(1+利率)^返済回数 / (1+利率)^返済回数―1

 

式の意味はここではあまり深く考える必要はありませんので、Excelに打ち込んで計算してみてください。ちなみに、Excelでは乗数計算は「^」で可能です。例えば、2の3乗であれば、「2^3」と打てば「8」と計算されます。

金利29%の場合と、金利18%の場合の比較

上記の利息計算式をもとに、まず借金の元本40万円に対して実際に支払った金利の額を計算してみると、約15万5千円であることがわかります。一方で、利息制限法に基づく借金40万円の上限金利は18%ですので、18%で再計算してみます。すると、本来支払うべき利息は7万9千円で良いことがわかります。

これが利息引き直し計算です。

金利 借入元本 支払利息 返済期間
年利29%の場合 40万円 15.51万円 28カ月
年利18%の場合 40万円 7.92万円 24カ月

 
このように、毎月2万円ずつを固定で返済していた場合、利息制限法の上限金利である年利18%で再計算すると、「15.51万円 – 7.92万円」で7.59万円も利息負担が軽減されることがわかります。これが「過払い利息」です。

同様に、2007年9月に借り入れた20万円についても過払い利息を計算してみます。

金利 借入元本 支払利息 返済期間
年利29%の場合 20万円 3.27万円 12カ月
年利18%の場合 20万円 1.84万円 11カ月

 
こちらのケースでも、1.43万円程度の過払い金が発生していることがわかりました。つまり、貸金業者Aからは合計で約9万円の過払い金が発生しており、この額は現在の借金残高から減額することが可能です。

今回は取引期間も2年と短く、また借入額も短かったため、利息引き直し計算でもあまり大きな減額にはなりませんでしたが、取引期間(違法利息での返済期間)がさらに長かったり、借入額が大きい場合、それだけ減額幅も大きくなる可能性が高いです。

 

この方法はあくまでも簡易計算なので注意!

こちらの計算はあくまでも自分で簡易的に利息引き直し計算を行うための方法で、目安程度の意味合いが強いです。正確な額を知りたい場合には、専門家に依頼して計算をお願いするようにしてください。

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