任意整理や過払い金請求をしても官報には掲載されない
個人再生や自己破産のデメリットとしてよく挙げられるのが、個人情報の官報への掲載ですが、任意整理や過払い金請求の場合はこの官報への掲載はありません。そのため、どうしても官報に個人情報が掲載されるのが嫌、という方は任意整理がおすすめです。
債務整理をすると、名前や住所などの個人情報が、官報という機関紙に掲載されて、全国に公開されてしまうって聞いたんだけど、本当なのー?
どうして任意整理だと官報に掲載されなくて、個人再生や自己破産なら官報に掲載されるのかなー?
任意整理や過払い金請求は、法律上の制度とは関係がなく、あくまで金融業者との二者間での交渉・取引です。そのため、国の管轄の独立行政法人が発行する「官報」に掲載される心配はありません。
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そもそも官報に個人情報が掲載されるのは何故?!
そもそも自己破産や個人再生をしたときに、官報になぜ、個人情報が掲載されてしまうのでしょうか? 破産という非常にプライベートな情報をわざわざ国が機関誌で全国に公表するのは、もちろん嫌がらせではありません。債権者保護という目的があるからです。
個人再生や自己破産は、法律上認められた裁判所を介する公的な手続きです。法律上認められた制度によって借金を減額・免除するからには、全ての債権者の借金が平等に扱われなければ不公平です。
例えば、自己破産の制度に乗っ取って、ある業者Aの借金は自己破産でチャラにしたのに、ある業者Bの借金は返済する、というのでは業者Aは一方的に損をすることになります。そのため、個人再生や自己破産では「債権者平等の原則」が定められています。
特定の債権者だけに返済し、他の債権者のみ減免・免責される、といった不公平がおきないよう、個人再生や自己破産では、すべての債権者を裁判所に申告して、債権額に応じて平等に扱うよう定められています。
個人再生や自己破産の手続き開始時には、裁判所に「債権者一覧表」を提出して、消費者金融やカード会社だけでなく、職場や親戚からの借金にいたるまで、すべての債権者の借金を包み隠さず申告する義務があるのです。
破産者・民事再生者には全ての借金を裁判所に申告する義務があります。故意に隠していることが発覚すると、免責不許可事由に該当する可能性もあります。しかし、故意ではなくても、債権者が一覧から記入漏れすることはおこりえます。
特に多重債務者の場合、あちこちの貸金業者から少しずつ借金を摘まんでいることも珍しくないため、本人もどこから幾ら借りているのかわからない状態になっているケースもあります。
官報の目的は、全国の債権者への”公告”でもある
私たち一般人が官報をチェックする、ということはほとんどありません。では官報をチェックしているのは一体誰か、というと、金融機関や貸金業者、およびその情報ネットワークである信用情報機関などです。(参考:「信用情報期間って何?」)
破産手続きや個人再生手続きは、裁判所の開始決定と同時にその情報が官報に公示されます。債権者はもちろん、裁判所から個別に通知を受け取るのですが、万が一、債務者の提出する債権者一覧表に記入漏れがあって通知が届かなかったとしても、官報の公示により破産の事実を知ることができます。
ここまでお読みいただければ、任意整理や過払い金請求が官報に掲載されない理由は分かったと思います。任意整理や過払い金請求は、そもそも特定の債権者だけを選んで借金整理をするのが前提のため、債権者平等の原則が当て嵌まりません。
単に任意整理や過払い金請求が、裁判所を介する手続きではないから、という理由もありますが、一番大きな理由はやはり債権者保護の必要がなく、全国的に公示する必要がないから、ということになります。
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