任意整理をした後に起業することはできるのか?
任意整理をしてその返済期間中、または任意整理後に借金の完済を経てから起業することは可能なのでしょうか? またその場合、どのような問題点が考えられるのでしょうか? 今回の記事ではこちらについて、考えてみたいと思います。
人生を再起するために、いまの借金を任意整理をした後、会社をおこして起業することはできるのかなー?
任意整理をして借金にケジメをつけた後で、心機一転、起業をしたい、という希望をお持ちの方もいると思います。任意整理は、自己破産等と異なり、職業上の資格制限もないため、法律上、起業することは全く問題ありません。
任意整理後の5年間は起業しても融資が降りない?!
任意整理後に起業することは、法律上、前述のように全く問題ありません。しかし任意整理後には、信用情報機関という各金融業者の情報交換ネットワークにその情報が登録されるため、5年間は新たな融資を期待することは難しくなります。
任意整理をしてから5年間は、JICCやCICなどの信用情報機関に事故登録されるため、これらに加盟する全ての銀行、消費者金融、信販会社等からの借入ができなくなります。起業するときの代表者が別の方であれば大丈夫ですが、任意整理を行った本人が社長となる場合には、法人であってもやはり借入は難しいでしょう。
5年以降が経過すれば、信用情報機関からは事故情報が抹消されます。そのため、任意整理の直接の対象となった金融業者以外の業者からであれば、5年目以降は融資や借入が可能になります。しかし直接対象となった業者は、任意整理の情報を社内で保有し続けているケースが多いため、今後も融資は難しいかもしれません。
任意整理を行ったのであれば、金融業者からの融資や借入に頼らずに、最初のうちは自己資金で乗り切るしかありません。しかし任意整理をおこなったばかりの立場にある人が、豊富な自己資金があるとは思えません。
現実的なところでいえば、元手があまり必要のないビジネスをはじめるか、任意整理の返済期間中は就職やアルバイトで働いて、同時に少しずつ貯金を積み立てるなど数年間に渡って準備期間を設けてから起業する、というのが現実的なのかもしれません。
政策金融公庫からの借入はできないのか?
起業や創業時の開業資金を調達する方法として、銀行などの金融機関から融資を受ける他に、日本政策金融公庫から借り入れる方も多いはずです。日本政策金融公庫とは、小規模事業者や創業起業に事業用資金の貸付をおこなってくれる政府筋の公的機関です。
日本政策金融公庫法に基づき、財務省の所轄で運営される特殊会社です。小口の事業資金の融資や、創業支援、中小企業への長期事業資金の融資など、地域密着型の融資業務をおこなっています。(公式ホームページはこちら)
起業をする際に、この日本政策金融公庫からの借入を期待している方も多いかもしれませんが、こちらも残念ながら任意整理などの債務整理を行っている方の場合には難しい可能性があります。というのも、日本政策金融公庫も信用情報機関に登録をおこなっているからです。
こちらの政策金融公庫のプライバシーポリシーのページにあるように、政策金融公庫は信用情報機関であるCICに加盟しています。CICへの個人情報の利用の目的として、以下のように記載されています。
- 返済能力の調査、与信取引上の判断のための個人情報の参照
- 公庫が加盟する個人信用情報機関への情報の登録
なお、政策金融公庫は全国銀行個人信用情報センター(JBA)へも加盟していますが、こちらは教育貸付制度を利用する場合にのみ参照されるようで、事業用の融資目的では参照されないようです。
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