携帯会社の滞納料金を任意整理に含めるメリットはある?
携帯会社に未払いの滞納料金や機種代の残金がある場合、任意整理であれば、それらを手続きに含めることもできますし、含めないこともできます(参考記事)。携帯電話の利用を続けたいのであれば任意整理の対象から外すべきですが、すでに強制解約をされている場合や、滞納料金が高額な場合は、携帯代も任意整理に含めるメリットがあります。
携帯電話の料金が支払えなくて強制解約されちゃったんだけど…。
まだ未払いの携帯料金と機種代が合計20万円ほど残ってるんだよね。これも他の借金と一緒に任意整理できる?
もちろん、弁護士さんが受けてくれるかどうか?と、相手の携帯会社が交渉にどれだけ応じてくれるか?という問題はあるけど、任意整理の交渉をするのは自由だからね。
任意整理って、てっきりクレジットカードやカードローンの借金しかダメなのかと思ってた。携帯料金も任意整理に含めることはできるのね。どういうメリットがあるの?
それが無くなるってことだね。
でもそれって、携帯会社から催告の電話が来たときに、自分で「一括では支払えないので、月1万円ずつ返済させてください」ってお願いするのと何が違うの?
ただ本人が自分で交渉すると、分割払いを認めて貰えなかったり、すごく厳しい条件(分割は3回までしか認めない等)を提示されることも多いんだ。もちろん利息は免除されないし。
じゃあ弁護士が間に入ることで、できるだけ有利な条件で分割払いの交渉をしてくれて、かつ、今後の延滞利息も払わなくて良くなる可能性が高いってことだ。
携帯電話の強制解約後に未払料金を放置していると、債権回収を代行する法律事務所から電話やハガキで督促の請求が来ます。このとき一括で支払えない場合は、自分で分割払いの交渉をしても構いません。ただし他の借金を任意整理する予定があれば、ついでに携帯の滞納料金も手続きに含めた方が、自分で交渉するより有利な条件で和解できる可能性は高いです。まずは弁護士に相談しましょう。
参考 → 任意整理におすすめの法律事務所を探す
- 大手携帯会社の多くは、強制解約後の債権回収を法律事務所に委託している
- 未払金をずっと放置していると、裁判や差押えになる可能性もあるので注意
- 分割払いの交渉は自分でもできるが、厳しい条件を提示されることが多い
- 任意整理の手続きに含めると、将来の延滞利息や遅延損害金が免除される
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未払の携帯料金や機種代を任意整理に含めるメリット
任意整理というと、消費者金融やクレジットカードのような高金利の借金を整理する手続きというイメージがあると思います。そのため、「携帯料金を任意整理する」といっても、あまりピンと来ない方も多いかもしれません。
しかし携帯料金を任意整理することは、以下のようなメリットがあります。
- 未払料金にかかる延滞利息(年利約14.5%)をカットできる
- 未払の端末代にかかる遅延損害金(年利約6%)をカットできる
- 既に発生している遅延損害金も免除して貰える可能性がある
- 本来なら一括払いで請求されるところ、分割払いを認めて貰える
- 本人が交渉するよりも、長期の分割払いで和解できる可能性がある
- すぐに裁判に持ち込まれることを回避できる
契約解除後の携帯の未払い料金は、端末代も含めて一括で請求されます。
厳密にいうと、通信契約が解除されたからといって、端末の分割払いも当然に出来なくなるわけではありませんが、通常は片方だけを滞納することはできませんので、どちらも同じタイミングで一括払いになります。(詳細は以下をご覧ください)
残金を一括で支払うことができない場合、その間はずっと遅延金が発生します。
利用料金の未払いについては年利14.5%の延滞利息が発生し、端末代の残金については年6%(商事法定利率)の遅延損害金が発生します。これは当サイト調査では、3社とも共通でした。
延滞利息や遅延損害金
ドコモ | ソフトバンク | KDDI(AU) | |
---|---|---|---|
利用料金の延滞利息 | 年利14.5% | 年利14.5% | 年利14.5% |
端末代の遅延損害金 | 年利6% | 年利6% | 年利6% |
利用料金の延滞利息 | |
---|---|
ドコモ | 年利14.5% |
ソフトバンク | 年利14.5% |
KDDI(AU) | 年利14.5% |
端末代の遅延損害金 | |
ドコモ | 年利6% |
ソフトバンク | 年利6% |
KDDI(AU) | 年利6% |
※ 2017年5月時点での各社の通信サービス契約と個品割賦契約を調査
弁護士等に任意整理を依頼すれば、原則としてこれらの延滞利息や遅延損害金は免除して貰う方向で交渉を進めてくれます。
ただし、利息の免除はあくまで目標です。
弁護士や司法書士は、任意整理の交渉をするにあたって「それまでの遅延損害金や将来の延滞利息を付けない方向で和解を目指す」ということが、統一基準として決まっています。しかし相手の債権者が応じてくれるかどうかは交渉次第です。
強制解約になると携帯会社は多くの場合、その後の債権回収を専門の法律事務所に委託します。
そのため、未払金を放置していると、突然、法律事務所から「今すぐ一括で支払ってください」という電話やハガキが届きます。
一般の方は、日常生活で法律事務所から連絡がくることはまずありませんので、ビックリする方も多いようです。
携帯会社が法律事務所に債権回収を委託するのには理由があるのですが、これについては長くなるので省きます。興味がある方は、以下の記事を読んでください。
ともかく法律事務所から「期日までに一括で支払ってください」「支払われない場合は法的措置を取ります」といった連絡が来ます。
さらにこれを放置していると、次に本当に簡易裁判所から 支払督促 ※ が届いたり、通常訴訟の訴状が届くこともあります。世間的にはあまりイメージがないかもしれませんが、携帯会社が未払い料金の回収のために、簡易裁判所で訴訟をすることはそれほど珍しくありません。
任意整理で裁判を回避できる
弁護士等に任意整理を依頼すれば、すぐに裁判沙汰になることは回避できます。
弁護士が間に入って和解交渉をしているのに、債権者が強行に裁判に踏み切ってくることは稀です。できないわけではないですが、費用をかけて裁判をしても、どっちみち裁判官に「裁判上の和解 ※ 」を勧められる可能性が高く、あまりメリットがないからです。
また無事、任意整理の和解交渉が成立して分割払いが認められれば、その後は(また滞納しない限り)一括払いの督促を受ける心配はありません。
よくある質問
しかし一般的には、携帯電話の滞納料金はそれほど高額ではない(多くてもせいぜい数十万円)でしょうし、あまりに長期での分割返済は認められません。最低でも月1~2万円の返済で、1年程度を目安に完済するような内容でなければ、和解が成立しない可能性があります。
携帯会社が、既に訴訟費用を払って法的手続きを進めている場合は、相手にとって裁判外で和解するメリットはあまりありません。そのため、たとえ弁護士が介入していても、任意整理等の私的交渉には応じて貰えない可能性があります。ただし自己破産などの法的手続きであれば、訴訟を中断できます。
契約解除後の分割払いの相談は、本人が電話で交渉しても大丈夫です。
交渉するのはタダなので、「どうしても一括払いでは支払えないので、月×万円の分割払いにさせてください」と言うだけ言ってみても損はありません。
では、弁護士に任意整理を依頼する場合と何が違うのでしょうか?
簡単にポイントを箇条書きにしてみます。
- 本人の交渉だと簡単に突っぱねられる可能性がある
(一括払いしか認められないと言われる) - 分割払いを認めて貰える場合でも、かなり厳しい条件を提示されることが多い
(3回払いしか認めない等) - 遅延損害金や延滞利息の免除まで要求することは不可能
(利息を無くすためには、新たに契約書を結び直さなければならない)
本人が分割払いをお願いする場合でも、数回程度の分割払いなら認めてくれる可能性は十分あります。しかし、それ以上の要求(長期での分割払いや利息の免除の交渉)をするとなると、本人では限界があります。
本人との交渉では、法的な契約書を交わしなおすことが難しいからです。
また、そもそも信用のない滞納者に対して、口約束のような形で分割払いを認めても、本当にそれを実行してくれるかどうかの担保が何もないため、携帯会社側にもメリットがありません。
勝手に分割払いをすることは可能
もちろん「今月はこれだけしか支払えないので許してください」と、なし崩し的に分割払いを実現することはできます。つまり相手に「一括払いしかダメ」と言われても、勝手に分割払いで支払える分だけ振り込めば、事実上の分割払いは可能です。
しかしこれは、法的には非常に不安定な状態です。
新しく和解契約を結び直さない限り、契約違反の状態が続くことになるので、携帯会社はいつでも法的措置を取ることができます。また元々の契約約款に従って遅延損害金も膨らんでいきます。
3~4カ月の分割払いならそれでもいいかもしれません。
しかし、きちんと長期の分割払いを認めて貰うためには、やはり「和解契約」を締結し直す必要があります。そのためには通常は、弁護士等に依頼しなければなりません。
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