任意整理をしても借金があまり減らないケース

任意整理をしても借金があまり減らないケースというのはあるのでしょうか? 返済総額が全く減らないというケースはほぼありませんが、それほど大きく減額できないケースというのは存在します。

任意整理では借金の元本そのものが減額できるわけではないため、借金が大きく減るかどうか、に最も影響するのは「利息」になります。以下、詳しく解説しましょう。

任意整理をしても借金が減らないことがある?!
ねえねえ、先生ー!
任意整理をしても、場合によっては借金が減らないケースっていうのもあったりするのかなー?!
全く減らないケースというのはないね。借金の減額幅に最も大きく影響するのは過払い利息があるかどうかだ。2008年以前から同じ業者から借金を続けている場合には、過去に過払い利息が発生している可能性があり、その分を計算して借金残高に充当することができる。
前にこちらの記事で勉強した「利息制限法に基づく引き直し計算」の話だねー! じゃあ、2008年以降に借金をしていて、過払利息が発生していない場合には任意整理をしても借金は減らないんじゃないのー?!
いや、そんなことはないよ。消費者金融のように貸付金利が高い借金の場合は、将来金利をカットできるだけでも借金の支払総額はかなり減る可能性がある。ただし一方で、それほど大きく減額できないケースもあるのは確かだね。

 
2008年以前から、返済と新規借入を繰り返し、同じ貸金業者と6年以上に渡って取引を続けている方の場合は、過去に利息制限法に違反する高い金利を払わされていた可能性が高く、任意整理により大きく借金が減らせる可能性があります。

しかし、2008年以降に借入を行っている場合(過払利息が発生していないケース)で、かつ、貸付金利も低く将来利息のカットによる恩恵があまりない場合には、任意整理をしてもあまり借金が減らないケースがあります。

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2008年以前から借金をしていたら、任意整理の減額が大きい?!

これは任意整理だけでなく、過払い金返還請求についても同じことがいますが、過去に利息制限法に違反する高金利で返済させられていたかどうか、が任意整理ではある意味、最も重要になってきます。当サイトでも何度も扱っていますが、いわゆるグレーゾーン金利問題です。

グレーゾーン金利問題
貸金業法改正前(主に2008年以前)までは、利息制限法では上限金利20%まで可、出資法では上限金利29.2%まで可、という矛盾する2つの法律が存在していました。そのため金利20%~29.2%の間の金利は、グレーゾーン金利といわれ、ほとんどの大手消費者金融やカード信販会社がこのグレー金利で貸付をおこなっていました。

 
その後の最高裁の判決により、過去にこのグレーゾーン金利を支払わされていた人は、その分を過払い金として請求できるようになりました。そのため任意整理をする方でも、過去にこの過払利息が発生している場合には、その分を現在の借金残高から帳消しにできるようになったのです。

ズバリ、いつから取引がある方だと借金が大幅に減る?!

時系列でいうと2006年に最高裁の判決によりグレーゾーン金利や、みなし弁済(利息制限法の例外となる根拠)が否定され、また同時に貸金業法の改正案が第165回臨時国会に提出されました。この貸金業法の改正は2008年頃から段階的におこなわれて、2010年に完全施行となりました。出資法の改正も2010年です。

そのためいつ頃の借金だと大幅に減額できる、というのを説明するのは難しいですが、2008年以降(貸金業法第3次施行)より後で、合法な消費者金融で利息制限法に違反する金利で貸し出している業者はまずありません。 逆に、2008年以前から取引している場合には可能性がありますので、弁護士の方などに相談してみる価値があります。

過払利息がない場合でも、将来利息のカットは大きなメリット

それでは、利息制限法を超過する過払利息が発生していない方は、任意整理をしても借金が減らないのか?というと、そうではありません。任意整理の場合は将来利息をカットできるという大きなメリットがまだあるからです。

「なんだ、ただ利息を免除して貰えるだけか・・」と思われるかもしれませんが、これはとんでもない誤解です。特に、消費者金融などの貸付金利が高い借金の場合、将来の利息があるかないか、で借金の総返済額が大きく変わってくるからです。

任意整理で将来利息をカットした場合のシミュレーション

ここでは、A社、B社、C社の3社からそれぞれ50万円ずつ、合計150万円の借金がある場合をシミュレーションします。 現在の利息制限法の上限金利は、貸付額が50万円以下の場合で18%です。 消費者金融の多くは、この利息制限法の上限ギリギリの金利(17.8%など)で貸し付けることが多いため、今回の金利は17.8%で計算してみましょう。

普通に返済した場合 任意整理をした場合
将来利息 年利17.8% 0%
返済期間 3年間(36回払い) 3年間(36回払い)
借金額 50万円(1社あたり) 50万円(1社あたり)
月々の返済額 18026円(元利均等返済) 13888円
支払総額 648939円 50万円

 
詳しい計算方法は「任意整理の将来利息カットで借金はどのくらい減る?」でも解説していますが、元利均等計算方式の場合で1社あたり15万円近くも借金が減り、月々の返済負担は5000円も軽減されます。

これが3社で150万円の借金であれば、利息を含めると194万円と200万円近い借金が、50万円も圧縮されることになります。月々の返済負担も、約1万5千円も軽くなります。このように、「たかが利息」と侮ってしまいそうになりますが、将来利息のカットだけでも驚くほど借金が減額できるケースもあるのです。

 

任意整理をしても本当にほぼ借金が減らないケース

前述のように、任意整理をすることで借金が減額できるケースが基本的には多いのですが、なかには任意整理をしても「ほとんど借金が減らないケース」というのも存在します。例えば、以下に当て嵌まるようなケースです。

  • 過払利息が発生していない
  • もともと貸付金利がかなり低い(5%以下)
  • 相手業者が将来利息の免除に応じない
  • 遅延損害金なども発生していない

 
任意整理のメリットは、前述のように大きくわけると「過払い利息分の充当」と「将来利息の免除」の2つですから、過払い利息が発生しておらず、また将来利息もあまり発生する予定がない(金利がかなり低い)場合には、任意整理をしても借金はあまり減らないと思います。

また任意整理での交渉は、相手方には法律上、応じる義務はありませんので、取引期間が短い、返済歴が浅いなどの理由で、将来利息の免除を断られるケースもあります。その場合には、当然、任意整理をしても借金が減らないことになります(参考:「任意整理が断られるケース」)

弁護士費用を加味して考慮するのを忘れてはいけない!!

任意整理をするときに、忘れてはいけないのは弁護士費用を加味して考慮することです。 任意整理の場合は、弁護士にしろ司法書士にしろ、専門家に依頼する必要がありますので、その費用も差し引いて考えなければ本当に借金が減るかどうかを判断することができません。

ただしこの際も、将来利息についてもキチンと計算に入れることが重要になります。そうでないと、本当は借金が減って得しているのに額面だけを見るとあまり得していないように見えるケースもあるからです。

例えば以下のケースです。

額面だと借金が減ってないように見えるケース

モー子さんには、消費者金融6社から借入があり、総額360万円の借金残高が発生していました。

任意整理を弁護士に依頼して、各会社と和解案を取り付けることで借金の総額は330万円に減額され、将来利息や遅延損害金も免除され、これを今後3年間に渡って返済することになりました。

弁護士費用は、任意整理の着手金、成功報酬、減額報酬などすべて合わせて60万円相当かかりました。

ここでモー子さんは、「これは、おかしい!」と怒りはじめました。 単純に額面だけみると、借金総額360万円が、(借金330万円 + 弁護士費用 60万円)で減るどころかむしろ増えてしまった(?!)からです。

 

ここまで記事を読んでいただいていれば、上記のケースは何もおかしくないことに気付くはずです。上記の例では、任意整理しなかった場合に元本330万円に対してかかる利息について全く考慮されていないからです。

借金が360万円もあり、もしこれを利息18%近くの金利で借り入れている場合、3年間での返済額は利息だけで100万円以上かかる計算になります。つまり将来利息が免除されて、かつ借金が330万円に圧縮されたということは、実質、130万円の減額に成功しているわけです。

このように将来利息までキチンと計算にいれて考えないと、任意整理で借金がどのくらい減ったのかを正確に把握できない場合があるのです。

 

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