特定調停成立後に支払いを滞納・延滞すると強制執行される

特定調停の成立後は「絶対に支払いを遅延しない」という覚悟をもって返済にあたる必要があります。というのも、特定調停の場合は、調停成立後、2回以上に渡って支払いの遅延や滞納があると直ちに強制執行をされる恐れがあるからです。
特定調停の成立後に、軽い気持ちで「数回くらい遅延しても大丈夫だろう」などと考えていると大変な目にあうかもしれません。

特定調停の成立後に滞納するとヤバい?
ねえねえっ、先生ーっ!
特定調停の成立後に、決められた毎月の支払いを滞納したりすると、いきなり強制執行される可能性があるっていう怖い話を聞いたんだけどっ、本当なのーっ?!
うん、本当だよ。特定調停の成立で裁判所より公布される「調停調書」は、「債務名義」といわれる公的な証明文書にあたるんだ。
この債務名義を発行されている貸金業者は、債務者に滞納があった場合にはいつでも強制執行ができるんだよ。
ひえーっ! それじゃあ当たり前だけど、特定調停後の借金の延滞は絶対にNGだねー・・・。気をつけないと。
そうだね。滞納や延滞などがおこらないようにするためにも、調停の段階でキチンと自分が月々支払い可能な現実的な額を提示して交渉することが重要になってくるね。

 

債務名義
債務名義とは、裁判所が発行する「債権の存在を証明する公的証書」(公正証書)のことで、この債務名義を保有している債権者は強制執行を行う権利を有する。特定調停による調停調書のほかにも、仮執行宣言の付いた支払督促や、債権の確定判決なども債務名義にあたる。

調停成立で発行される調停調書とは?

特定調停が無事に成立すると、裁判所より債務者と債権者の双方に「調停調書」が発行されます。この調停調書は「和解内容について裁判所が確認・保証しますよ」というような性質のものなのですが、この調停調書は法律上、極めて強力な効果を持っています。

調停調書があれば、訴訟なしでいきなり強制執行できる

以前にこちらの「借金の強制執行で給与が差押えられる?」の記事でも詳しく解説しましたが、通常、強制執行をおこすためには訴訟をおこしたり、裁判所に仮執行宣言付きの支払い督促を発布して貰うよう申立てるなどの手続きが必要になります。

しかし調停調書があれば、相手方の貸金業者は、これらの訴訟手続きなどをすっ飛ばしていきなり強制執行を実行することができます。これは前述のように、調停調書が「債務名義」にあたり、法律的にも非常に強力な公正証書になるからです。

強制執行ではまず給与が差押えられる

強制執行というと家具や家財などを没収されるイメージが強いかもしれませんが、現実的に一番多いのは「給与の差押え」です。

もちろん家や土地、一定額以上の有価証券、口座預金などがあれば、それも差押えの対象になりますが、強制執行にまで至るような多重債務者の場合、大抵は目ぼしい財産は保有していないため、毎月振り込まれる給与が標的になるケースが多いのです。

延滞の心配のない返済プランを建てることが大事

せっかく特定調停で借金を整理したのに、その後の滞納により再び強制執行などの泥沼化は何としても避けたいところです。そのためには、調停の段階でキチンと自分の返済可能な現実的なプランを提出・交渉することが非常に重要です。

返済可能な金額を妥協せずにキチンと交渉する

もちろん債権者は少しでも多く返済するよう要求してくるでしょうし、調停委員も「もう少し節約すれば、毎月○万円は返済できるんじゃないの?」という提案を行うこともあると思います。その雰囲気に呑まれてしまいそうになるかもしれませんが、最終的に返済していくのはあなたです。一度、調停が成立すれば、その後の返済について他の方が守ってくれることはありません

「この金額は正直厳しいなぁ」「無理なんじゃないかなぁ」と思うような金額で無理やり和解しても、その後の返済ができなければ結局、最終的には自己破産などを検討することになってしまいます。

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