特定調停の調停委員会って何なの?

特定調停の手続きを申立てると、裁判官1人と調停委員2人から構成される調停委員会が発足します。この調停員会に対して、特定調停を申し立てた債務者は借金ができた原因や借金の内容について報告・説明する必要があります。

調停委員とは、40歳以上で弁護士資格を持つ人のなかから最高裁判所が選任します。通常、任意整理や個人再生を行う際に弁護士を個人で依頼する必要がありますが、特定調停の場合にはこの裁判所選任の調停委員が和解に向けての提案をしてくれるため、個人で任意整理をする予算がない人でも債務整理が可能です。

調停委員会は何ができるの?

調停委員会は、債務者と債権者の両方から借金ができた原因や理由、経緯についての事実を明らかにするよう求めることができます。これは意外に思われるかもしれませんが、債務者だけでなく、貸金業者側も調停委員会に求められれば、それに応じて借金の契約書や取引履歴を開示しなければいけない義務があるのです。

これについては特定調停法の第10条が根拠となっています。

特定調停法10条 当事者の債務

特定調停法の第10条では、「特定調停においては、当事者は、調停委員会に対し、債権又は債務の発生原因及び内容、弁済等による債権又は債務の内容の変更及び担保関係の変更等に関する事実を明らかにしなければならない。」と定められています。

ここでいう当事者とは、特定調停を申し立てた債務者だけでなく、貸金業者である債権者も含みます。債権者も借金の詳細の情報について開示する義務があるのです。

取引履歴を開示してくれない金融業者に対しては、調停委員会に開示請求の依頼をすることが有効です。調停委員会の提出命令があっても尚、取引を開示しない場合には特定調停法24条により過料の制裁を科すことが出来ます。

 

特定調停法12条 文書の提出命令の権限

調停委員会はその他にも、特定調停のために必要な場合には、債務者や債権者に対して事件に関係のある文書の提出を求めることができます。こちらも同じく特定調停法12条が根拠になります。

債務者と債権者の双方に文書提出を求める権限のあることが、特定調停において調停委員会がスムーズに協議をすすめる際の1つのポイントになります。

 

特定調停法7条 強制執行の停止

借金の滞納が深刻化すると、貸金業者によっては強制執行の基づく給与の差押えなど、いわゆる民事執行手続きに踏み切ってくることがあります。この強制執行によって給与額の一部が差押えられてしまうと、ますます生活も困窮し経済的な再生から遠のいてしまう可能性があります。

そのため調停委員会は、その委員会の権限において必要と認める場合には、業者の強制執行などの民事執行手続きを停止する命令を下すことができます。強制執行や民事執行手続きのせいで特定調停のスムーズな進行に支障をきたす場合には、調停委員会の判断で強制執行の停止命令を下すことが多いです。

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