自己破産の用語集

同時廃止と破産管財の違い
同時廃止とは破産者が特に目ぼしい財産を持っていない場合に、裁判所の判断で「破産手続きの開始決定と同時に、手続きを終了すること」です。財産を差押えられたり換価されたりすることもないので、手続きは簡単で早くおわります。
逆にある程度の財産(99万円以上の現金や、20万円以上の評価額の自動車、預金など)を持っている場合は、換価処分して債権者に配当する手続きが必要になります。これは「管財事件」(少額管財)と呼ばれます。

【参考】自己破産での同時廃止と管財事件の違い

管財事件とは
管財事件(少額管財)とは、破産者に一定以上の財産(通常20万円以上)がある場合の破産手続きのことです。もし破産者がほとんど財産を持っていなければ、特に清算手続きをする必要がないので、自己破産は開始と同時に終了します。これを「同時廃止」といいます。一方、一定額以上の財産を持っている場合には、それを現金に清算して、債権者に分配する手続きが必要になります。これを「管財事件」といいます。
ただしめぼしい財産がなくても、免責不許可事由がある場合は、その調査のために管財事件となることがあります。(参考記事
債務整理の報酬指針
一部の債務整理の事件に関しては、弁護士・司法書士ともに報酬指針があり、報酬の上限額が定められています。例えば、任意整理であれば減額報酬(減額に成功した金額の一部を報酬とするもの)は、税別で10%までしか認められません。過払い金請求であれば、成功報酬は税別で20%(訴訟が必要な場合は25%)までが上限になります。

弁護士費用に関しては日弁連の平成23年2月9日の「債務整理事件処理の規律を定める規程」、司法書士費用に関しては司法書士会の平成23年5月26日の「債務整理事件における報酬に関する指針」で定められています。

少額管財とは
少額管財は、東京地裁、名古屋地裁、大阪地裁など多くの地方裁判所でおこなわれている手続きです。破産者に弁護士がついていることを条件に、通常の破産管財事件よりも手続きを簡略化し、手続きにかかる期間や費用(予納金)を減らすことを目的とした制度です。
従来の管財事件では、何度も債権者集会が開かれたり、裁判所への予納金も最低50万円~と高額でしたが、少額管財の場合は、予納金は最低20万円~(東京地裁)と低く、債権者集会も原則1回で終了します。

【参考】自己破産の少額管財で裁判所への予納金が安くなる?

予納金とは
予納金とは、裁判所に納める自己破産(または個人再生等)のための手続き費用のことをいいます。自己破産手続きの場合、同時廃止事件(特に換価するような財産がないため、債権者への配当がおこなわれず、破産手続きが開始と同時に終了する手続き)の予納金は1万5000円ですが、管財事件(換価する財産があり、配当手続きがおこなわれる場合の破産手続き)の場合は、20~50万円もの予納金が必要になります。

【参考】自己破産で裁判所に支払う予納金などの費用は?

免責不許可事由とは
免責不許可事由とは、破産法252条で規定されている「借金を免責にできない事由」のことです。例えば、自己破産前に財産をこっそり隠したり、親族に無償で譲渡したり、他人から自己破産することを隠してお金を借りたり、過度なギャンブルや浪費で借金を作った場合は、免責不許可事由になります。ただし裁判所の運用上は、免責不許可事由があっても、裁判官の判断(裁量)で免責になる場合があります。

【参考】自己破産の免責不許可事由って?免責が下りないケース

裁量免責とは
裁量免責とは、破産者に免責不許可事由がある場合でも、誠実さ、反省の態度、協力の姿勢、などが見られる場合には、裁判官の裁量でその破産者を免責にできる仕組みのことをいいます。破産法252条2項では、裁判所は、免責不許可事由の有無にかかわらず、「破産手続き開始決定に至った経緯やその他、一切の事情を考慮」して免責許可をすることができる、と定められています。実務上は、例えば、ギャンブルや浪費で借金を作るなどの免責不許可事由があっても、その大半が裁量で免責されています。

【参考】裁量免責でギャンブルや浪費による自己破産でも免責になる?

破産管財人とは
破産管財人とは、自己破産手続きにあたって、破産者の財産を清算する役割の人です。破産者の財産を現金化して債権者への弁済にあてる(配当する)のが仕事です。例えば、破産者が家や車を持っていれば、それを競売等で売却して現金に換えて債権者に公平に分配します。また特に破産者に財産がない場合でも、免責不許可事由がある場合には、その調査のために破産管財人が選任されることがあります。
破産管財人は裁判所が選任します。弁護士の資格のある人が選ばれますが、破産者が依頼する代理人弁護士とは別の人です。
破産財団とは
破産財団とは、破産手続きにおいて破産管財人(裁判所)によって換価処分される財産のことをいいます。原則、自己破産手続きの開始決定時に破産者が所有している財産はすべて破産財団です。破産財団に属する財産は、破産手続きで処分されますので手元に残すことはできません。一方、自己破産手続きで「処分されない財産」のことは、自由財産といいます。

【参考】自己破産でも処分されない財産(自由財産)とは?

自由財産とは
自由財産とは、自己破産手続きをしても「処分されない財産」のことです。99万円以下の現金や、民事執行法上の差押禁止財産のことをいいます。差押禁止財産には、例えば、冷蔵庫やテレビ、パソコンなどの家電、衣類やタンスなどの日用家具、給与債権の4分の3相当の金額、年金や生活保護の受給権の全額、などがあります。(参考:「自己破産でも処分されない自由財産とは?」)

自由財産の拡張とは
自由財産の拡張とは、裁判所の決定により「自由財産」(自己破産手続きにおいて処分されない財産)の範囲を拡大して貰う手続きのことです。例えば、通常、自由財産として認められる(保有し続けることができる)のは、現金99万円までですが、自由財産の拡張が認められれば、預金口座、自動車、退職金、など一部の財産について、一定の金額までであれば自由財産として保持が認められます。細かい運用は裁判所によっても異なりますが、目安として合計99万円までであれば、現金以外にも一部財産について拡張が認められています。(参考記事「現金だけじゃない?自由財産の拡張が認められるもの」)

新得財産とは
新得財産とは、自己破産手続きの開始決定よりも後に、新しく取得した財産のことをいいます。例えば、自己破産の開始決定日よりも後に口座に振り込まれた給与や年金、自己破産の開始決定後に(自由財産として所有を認められた)現金で購入した車なども新得財産になります。この新得財産は、自己破産手続きにより処分されたり没収されることはありません。

所有権留保条項とは
所有権留保条項とは、自動車ローン等によくある担保の特約です。自動車ローンは信販会社からお金を借りて車を購入する仕組みですが、この自動車ローンを完済するまでの間は、車の所有権は信販会社に残ります。つまりローンが残っている間は、まだその車の所有名義は信販会社にあり、購入者は「使わせて貰ってる状態」に過ぎません。この状態を「所有権留保」といいます。もしローンの返済ができなくなった場合、車は信販会社に返却しなければならなくなります。

求償権とは
求償権とは、保証人や利害関係者が誰かの債務(借金)を肩代わりして返済したときに、その肩代わりした分の金額を元の債務者に請求できる権利のことです。例えば、あなたが友達の保証人として借金50万円を代わりに返済した場合、あなたには友達に50万円を請求する権利が発生します。これが求償権です。

復権とは
復権とは、法律上の扱いが「破産者」ではなくなり、さまざまな資格や職業上の制限が解除されることをいいます。自己破産を申し立てて破産者になると、一時的には、警備員の仕事に就けなくなったり、弁護士や税理士、宅地建物取引士などの資格で免許や登録を受けることができなくなりますが、復権すればまたこれらの仕事に就くことも可能です。復権のタイミングは免責許可が確定したときです。免責が確定して自己破産手続きが終結すれば、何もしなくても自動的に復権します。

【参考】自己破産の復権とは?復権の手続きについて

官報とは

官報とは、国(独立行政法人)が発行する機関誌のことです。自己破産をした方は、原則として破産手続きの開始決定時、免責決定がされた時、の2回、官報に名前と住所が公示されることになります。この官報は、一般の書店に置いてあるようなものではないので、官報に掲載されても一般の方が目にすることはありません。ただし、一部の金融機関や信用情報機関等は、官報の情報を「信用情報」として収集している場合があります。

偏頗弁済とは
偏頗弁済(へんぱべんさい)とは、自己破産の直前に特定の債権者だけに優先的に返済する行為のことをいいますが、これは破産法違反です。弁護士の先生に自己破産を依頼した後は、自己破産手続きを粛々と進めなければならず、裁判所を介さずに誰かに個別に返済をしてはいけません
これは債権者間の公平を保つための破産法のルールです。弁護士の介入後は、破産者の財産はすべて破産財団であり、債権者間で公平に分配されるものです。勝手に特定の債権者だけに返済をすると、全員で平等に分配する財産が減ってしまうことになり、他の債権者に迷惑がかかります。このような返済行為は、悪質な場合、免責不許可事由になって借金の免責が下りない可能性もあります。

債権者平等の原則とは
債権者平等の原則とは、「一般の破産債権者はすべて破産手続き上、平等に扱われなければならない」という原則です。自己破産というのは、法律を持ちだして裁判所が強制的に他人の債権を「免責」にしてしまうという、債権者の立場からすると少し理不尽な手続きです。だからこそ、「あの人の借金は踏み倒すけど、あの人の借金はちゃんと返済する」ということは許されません。全ての債権者を破産手続きに含めなければならず、裁判所の配当以外の方法で(例えば、債務者から個別に)弁済を受けることはできません。

詐欺破産罪とは
詐欺破産罪とは、財産を差押えや没収から逃そうとする目的(債権者を害する目的)で、財産を隠したり譲渡して、その結果、不正に裁判所から免責決定を受けた破産者に適用される刑事罰のことです。例えば、高額な財産を自己破産の直前に、親族に名義変更したり、無償で譲渡したり、相場よりも遥かに安い価格で低廉売却する行為が代表的です。他にも、偽装離婚による財産分与や、相続放棄によりいったん財産を破棄して、破産手続き後に譲渡等で回復する行為もこれにあたります。詐欺破産罪が確定すると、免責決定は取消しになり、10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金が科せられます。

否認権行使とは
否認権とは、自己破産手続きの開始後に、破産管財人が、破産前にした破産者の行為を取り消すことのできる権利をいいます。主には、(1)自己破産前にされた財産の譲渡や売却行為の否認、(2)自己破産の直前(または後)にされた特定の債権者だけへの優先返済の否認、の2つがあります。例えば、自己破産の前に、もし破産者が家や車などの高額な財産を勝手に身内の誰かに譲渡した場合や、個人的な付き合いのある友人だけに多額の返済をおこなった場合は、否認権行使の対象となります。
受任通知とは
受任通知とは、弁護士(司法書士)事務所から貸金業者、金融機関にむけて「債務整理をします」という旨を連絡するための通知です。通常、弁護士と正式に委任契約を交わした1~2日後に送付されます。この受任通知を送付した後は、貸金業者は一切、本人に取立てや催告をすることが法律上できなくなります(貸金業法21条9項)。また一時的に請求もストップするため、債務者の家計も楽になります。

【参考】受任通知で借金の取立てや催促を止める方法

非免責債権とは

非免責債権とは、自己破産手続きで免責許可がおりても「免除されない債務」のことです。例えば、一番代表的なものは税金です。税金は自己破産をしても免責になりません。他にも、「破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償」「破産者が故意または重過失で加えた、人の生命や身体を害する不法行為による損害賠償」、養育費、罰金、婚姻費用の分担義務、未払いの給与、わざと債権者名簿に記載しなかった債権、なども非免責債権になります。

【参考】自己破産しても免除されない非免責債権って何?

財団債権とは
財団債権とは、破産手続きによらずに優先的に随時、破産財団から支払いを受けることのできる債権です。例えば、直近1年以内の税金や、3カ月以内の未払い給与、破産管財人への報酬、破産手続き費用、破産手続きの申立日の属する月の電気代やガス代などの公共料金、などは財団債権となります。財団債権は、そもそも免責されませんので、破産手続き後にも支払義務が残ります。

【参考】自己破産での「財団債権」「先取特権」の優先順位は?

有用の資とは

有用の資とは、例えば、自己破産のための申立て費用、やむをえない最低限の生活費の支出、税金の支払い、病気の医療費や通院費用など「どうしても必要な支出」のことを指します。自己破産の直前に財産を現金化した場合でも、この有用の資にあたる費用の支出分は、差押え対象の財産から除外されます。(参考:「直前現金化でも有用の資の金額分は控除できる」)

按分弁済とは

按分弁済とは、債権者の債権額に応じて公平にお金を分配することです。例えば、債権者Aに50万円、債権者Bに25万円、債権者Cに25万円の借金があり、配当する財産が40万円ある場合は、債権者A、B、Cそれぞれに20万円、10万円、10万円ずつ返済することをいいます。

別除権とは

別除権とは、自己破産手続きに関係なく行使できる権利のことをいいます(破産法2条9項)。例えば、住宅などの抵当権や、車の所有権留保(担保権)、商事留置権などです。これらの担保権を持つ債権者は、自己破産手続きによる配当を待つ必要がなく、自分の担保権を行使して残債を回収することができます。

【参考】自己破産に関係なく、金融機関は抵当権を行使できる

法テラスとは

法テラス(正式名:日本司法支援センター)は、国が総合法律支援法に基づいて設立した独立行政法人です。主な業務には「民事法律扶助」があり、経済的に貧しい人、困窮している人を対象とした法律支援をおこなっています。具体的には、弁護士に相談するお金がない人に対して、無料で弁護士の法律相談の機会を提供したり、弁護士費用の立替を無利息でおこないます。法テラスは誰でも利用できるわけではなく、「収入が一定基準以下である」などの条件が必要です。

相互主義とは
相互主義とは、「相手の国の法律で日本人が外国人と同等の地位が認められている場合のみ、日本の法律でも外国人を日本人と同一の地位として認める」という考え方です。平成12年の破産法の改正前までは、日本の破産法でも相互主義が採用されており、外国人の方が日本人と同じ条件で自己破産できるのは、その方の本国の法律で、日本人が外国人と同じ条件で自己破産できる場合に限られていました。

身分証明書とは
身分証明書とは、その人が「破産者ではないこと」「成年被後見人ではないこと」「被保佐人ではないこと」を国が証明する公的な書類です。一般的には、身分証明書というとパスポートや運転免許証等の意味で用いられますが、役所が発行する身分証明書というと、こちらの「破産者ではないことを証明する書類」の意味で用いられることが多いです。
供託所とは
供託所は法務局が設ける出張所で、金銭等の管理や引渡しをおこなう場所です。お金を誰かに確実に渡したいときに、そのお金の管理と引渡しを国家機関に委ねることを「供託」といいますが、この供託をしたいときに出向く場所が「供託所」です。例えば、給与差押えなどの強制執行が実施された場合、差押命令を出された会社側は、差押額を供託所に預けて裁判所に配当を委ねることができます。
詐害行為とは
詐害行為とは、破産者が自分の責任財産を減らす行為のことをいいます。主に、自分の財産を他人に譲渡したり、安く売却する行為のことだと考えてください。例えば、自己破産の前に、1000万円の不動産を他人に500万円で廉価売却したり、無償で贈与したりする行為は、典型的な詐害行為になります。
原則として「債権者を害することを知っていたこと」が条件とされていますが、無償での贈与の場合は、債権者を害する意思があったかどうかに関係なく、破産手続き(支払停止時期)の6カ月前にさかのぼって否認されます。

【参考】自己破産でよく聞く「詐害行為」って一体何がダメなの?

債権者一覧表とは
債権者一覧表とは、自己破産の申立てをするにあたって、債務者が自分で把握している債権者・保証人の名前(会社名)と住所をすべて記載したリストのことです。自己破産の申立てのときに、裁判所に提出しなければなりません。もし債権者一覧表に記載し忘れた場合、記載し忘れた債権については破産後も支払義務が残ってしまう可能性があるので注意が必要です。また、故意に一部の債権者を記載しなかった場合は、免責不許可事由にもなります。

【参考】自己破産で債権者一覧表に漏れがあると免責されない?

当事者適格とは
当事者適格とは、訴訟の当事者として訴訟を追行できる地位のことをいいます。例えば、「AさんがBさんにお金を貸したが、Bさんがお金を返してくれない」という場合、Aさんは貸金返還請求訴訟をおこすことができますが、関係のないCさんが訴訟をおこすことはできません。当事者ではないからです。
もう少し現実的な例でいうと、訴訟をしている途中で当事者の一方が自己破産をした場合、その者は当事者適格を失います。

手続外債権とは
手続外債権とは、自己破産の手続き外で行使できる債権のことです。要は「自己破産の影響を受けない」「自己破産に関係なく行使できる」債権です。例えば、抵当権付きの住宅ローンは「別除権」といわれる手続外債権なので、銀行は、自己破産に関係なく住宅の競売を進めて(手続き外で)自分の債権を取立てることができます。同じく、自己破産の開始決定後に支払日の到来する養育費や婚姻費用も、手続き外債権なので、破産手続きに関係なく請求することができます。

破産債権とは
破産債権とは、定義でいうと「破産者に対し、破産手続開始前の原因に基づいて生じた財産上の請求権で、財団債権に該当しないもの」をいいます。要するに、破産開始決定時より前の原因によって生じた債権は、ほとんど全て破産債権になります。破産債権は、破産手続きの中でしか回収することが許されず、破産の開始後は、本人に対して直接請求することはできません。また免責決定が下りれば、破産債権は(税金などの一部の非免責債権を除き)すべて免責されます。

破産者名簿とは
破産者名簿とは、本籍地の市役所が管理している名簿のことで「破産者で復権を得ない者」のリストが記録されています。具体的には、裁判所の破産開始決定を受けて、その後、免責許可決定を受けていない者のリストのことです。ただしこの名簿は一般公開されているものではないので、勤め先の会社や親族などが本人の許可なく勝手に閲覧することはできません。本人は「身分証明書」という公文書を発行して貰うかたちで、この情報を取得することができます。

【参考】破産者名簿って何?自己破産すると破産者名簿に載る?

異時廃止とは
異時廃止とは、破産管財人が選任されて管財事件となったものの、配当するほどの財産が見つからず、最終的に配当が行われずに破産手続きが終結することをいいます。最初から明らかに破産者に財産がない場合は、同時廃止(破産手続きの開始と同時に、破産手続きが終結すること)になりますが、換価できる財産が見つかる可能性があり、一応管財人が選ばれたものの「調べてみたらやっぱり財産はなかった」という場合に異時廃止になります。ちなみに個人破産の場合は、ほとんどが同時廃止か異時廃止となり、配当が出ないまま終結します。
即日面接とは
即日面接とは、自己破産を申し立てたその日(または2~3日以内)に、代理人弁護士と裁判官が面接を行い、自己破産の開始を決定する手続きです。同時廃止の場合は面接をした日の午後17時に、少額管財の場合は翌週の水曜日の午後17時に、自己破産の開始決定がなされます。通常の破産手続きだと、申立てから開始決定までに2週間~1カ月かかるところが、1日~1週間程度まで短縮されます。

【参考】自己破産の期間が1カ月短縮できる?即日面接制度とは

債権者集会とは
債権者集会とは、破産手続きが管財事件(少額管財)になった場合に、裁判所で行われる債権者への説明会です。破産管財人が、破産者の財産や負債の内容、破産者が破産に至った経緯、生活の状況、配当金額の説明、免責についての意見申述、などを行います。出席者は、(1)裁判官、(2)破産管財人、(3)破産者本人、(4)代理人弁護士、(5)債権者の5者ですが、債権者(特に銀行や消費者金融)は欠席することが多いです。

免責観察型とは
免責観察型(免責調査型)とは、破産者に免責不許可事由がある場合に、「破産者が誠実な人間かどうか」「真面目に経済的に更生する気があるか」を調査するために破産管財人が選任されるという、管財事件(少額管財)の1つのパターンです。例えば、ギャンブルなどで借金を作ってしまった場合に、裁判官が裁量免責にするかどうかを決める判断材料として、一定期間、破産者に家計簿を付けさせます。その生活状況を破産管財人が監督・指導し、問題がなければ最終的に免責が下ります。
免責審尋期日とは
免責審尋期日とは、破産者を免責にするかどうか決めるために裁判官が破産者と面談するための期日です。通常は裁判所まで出頭する必要があります。ただし免責審尋を行うかどうかは各裁判所の任意なので、地方の裁判所では書面審理だけで、免責審尋を行わないところもあります。また東京地裁では、集団方式といって10~20人の破産者をまとめて法廷に集め、簡易的に審尋を行っています。この場合、特に問題がなければ、氏名、住所等を確認されるだけで、1人あたり数十秒程度で終わることもあります。

【参考】免責審尋の期日って何?集団審尋と個別審尋の違いは?

破産審尋期日とは
破産審尋とは、自己破産の開始前にあらかじめ裁判所が当事者の事情を聞くための手続きです。ほとんどの裁判所では、書面の提出のみで審査をおこなう書面審尋が中心です。しかし免責不許可事由がある場合など一部のケースでは、裁判所への出頭を命じられて、債務者・代理人弁護士・裁判官の3人で面接を行う場合もあります。なお、東京地裁では破産審尋ではなく、代理人弁護士と裁判官の2人だけで面接を行う「即日面接」制度が採用されています。

【参考】自己破産の期間が短縮できる?!即日面接制度とは

意見書とは
破産手続きには、必ず2~3カ月の意見申述期間が設けられています。債権者はこの期間中に裁判所に対して「免責についての意見書」を提出することができます。簡単にいうと『破産者を免責にしないでください』と裁判所に意見書を送ることができるわけです。ただし債権者が免責に反対する意見を述べたとしても、破産法上の免責不許可事由がない限りは免責されます。

【参考】債権者の意見書の提出(意見申述)で免責不許可になる?

債権届出とは
債権届出とは、債権者が裁判所に対して自身の債権を申告する届出のことです。
破産手続きが開始されると、裁判所から各債権者に開始決定通知が送られます。このとき、同時に「債権届出書の記載方法」という書類が同封され、指定の期日までに債権届を裁判所まで提出するよう求められます。期間内に債権届出をしなければ、債権者は配当を受け取ることができません。
未払賃金立替払制度とは
未払賃金立替払い制度とは、勤務先の会社がある日突然、倒産(破産)した場合に、独立行政法人の「労働者健康安全機構」が代わりに未払分の賃金を立替て支払ってくれる公的制度です。退職日前の6カ月分の未払の給料と退職金を合わせた総額のうち、最大80%までを立替えて支払って貰うことができます(ただし年齢による上限額があります)。

【参考】会社が破産しても元従業員の未払給料や退職金は貰える?

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