特定調停で生活保護受給者でも借金を減らせる?
生活保護を申請している方や受給している方で、借金を抱えている人は少なくありません。そこで気になるのが、生活保護の受給者でも特定調停で借金を減らすことはできるのか?という問題です。
特定調停は、生活保護を受けている人とかでも申立てをおこなうことはできるのかなーっ?!
特定調停は、「返済能力がある」「返済する意思がある」ことが大前提で、その上で実現可能な返済プランを裁判所の仲介のもとで貸金業者と協議する、という調停制度です。
そのため、そもそも返済能力のない生活保護受給者が、特定調停の申立てをしても却下される可能性が高く現実的ではありません。生活保護受給者で債務整理をする場合は、自己破産など、借金の返済そのものが免責される制度を検討するおが一般的です。
生活保護受給者は借金の返済が禁止されている?!
あわせて確認しておきたいことでもありますが、返済の意思があるかどうかに関わらず、原則として「生活保護受給者の借金の返済は禁止」されています。
生活保護は、憲法の生存権にもとづいて、食費や光熱費など国民として最低限の生活を営むために支給されるお金であるから、それを借金の返済などの用途で使うべきではない、とする考え方のことです。
誤解のないようにしっかり説明しておかなければいけませんが、ここでいう禁止というのは、法律上、禁止されている、という意味ではありません。
支給された生活保護の用途について規定する法律というのはありません。生活保護に関する法律は、生活保護法(参考:法令データべース)で定められています。たまにここに「借金の返済禁止」が明記されていると誤解されている方がいますが、特に法律で借金の返済が禁止されているわけではありません。
ただし、生活保護は「生活に困窮した者が最低限の生活を営むために活用する」目的で支給されるものですから、一般的な信義則で考えてもやはり生活保護を借金の返済にあてるのは適切ではありません。
稀に借金を抱えたまま生活保護を受給されている方もいます。これは、生活保護の申請時に借金があることを言わなかったケースもありますし、福祉事務者の担当者によっては、「借金は当事者間の問題なので」と関与しないケースもあるようです。