個人再生をすると官報に個人情報が掲載されるって本当?
個人再生手続きをすると、開始決定時と書面決議の時、再生計画の認可決定時の3回、「官報」という国の発行する公告紙に、氏名や住所などの個人情報が掲載されます。この官報は、休日を除き毎日発行されているもので、他にも法律や条例の公布、会社の決算公告や国からの報告、破産者情報など様々な情報が掲載されています。
個人再生をすると、官報に名前や住所などの個人情報が掲載されるって聞いたんだけど、それって本当なのー?
周りに借金のことがバレたら困っちゃうんだけど!
じゃあ官報に掲載されることで、それをご近所の人が読んだり、職場や家族、親戚の人が見たりして、個人再生したことがバレることはないのかな・・・?
たしかに私も官報なんて聞いたことなかったし。新聞とか本屋の雑誌に載るわけじゃないもんね。
そもそも官報ってどこでどうやって見るの?
- 個人再生では開始決定、書面決議、認可決定時の3回、官報に公告が載る
- 掲載される個人情報は氏名、住所のみ。借入先や借金額などは載らない。
- 官報は休日を除いて毎日発行されるが、一般の人が見ることはほぼない
- インターネットでは過去30日分のアーカイブが無料で閲覧できる
官報に個人情報が掲載されると実際どうなるの?
個人再生を選ぶデメリットとして、官報に個人情報が掲載されてしまうことを挙げる書籍や意見も多いですし、当サイトでも一応デメリットとして紹介しています。しかし実際のところ、官報に掲載されることで何か不利益があるかというと、ほとんどの場合、特にないでしょう。
まず一般の方が官報を閲覧する可能性はほとんどありません。
つまり一般的な民間企業の同僚や上司、ご近所の方や親戚、家族などが官報を通じて、「民事再生した」という事実を知る可能性はほぼありませんので、借金バレを心配している方は安心して大丈夫です。
そもそも官報は毎日発行されますので、掲載情報も毎日変わります。また各号で何十人もの破産申請者や個人再生債務者の名前が記載されています。金融業や役所の関連部署、信用情報機関の人間でもない限り、官報を毎日チェックしている方はまずいないでしょう。
そもそも「官報って何?」という方や、債務整理について調べていてはじめて官報の存在を知った方も多いのではないでしょうか? まして、「官報はどうやって閲覧するのか?」までは知らない方が大半だと思います。
官報は独立行政法人である国立印刷局が発行をおこなっている「国の広報誌」です。再生債務者や破産者情報はむしろオマケのように取り扱っているだけで、メインは法律や政令、条約の公布、あるいは会社の決算公告などの掲載になります。
官報を実際に自分で閲覧する方法について
官報は、全国の官報販売所で発売や購読の申し込みが可能です(官報販売所等一覧)し、各市立図書館なんかにも過去1年分程度のバックナンバーであれば保存されている場合があります。
ただ一般の方が現実的に一番閲覧する可能性が高いのはインターネット版「官報」の掲載情報でしょう。本誌の内容と全く同じものが、当日を含む過去30日間のものに限り、官報公式ページにインターネット版「官報」として公開されています。以下のようなページです。
参考外部リンク:インターネット版「官報」
官報は、「本誌」「号外」「政府調達」から構成されていますが、再生事件などの情報は本誌に掲載されています。左側のサイドバーに直近30日間の官報のリストがありますので、閲覧したい日付けの「本誌」をクリックします。
本誌をクリックすると、官報目次のページに飛びます。政令や省令、告示、人事異動、官庁報告などの情報が下に続いており、官報目次をずっと下までスクロールしていくと、一番下の方に公告の裁判所の項目があります。「相続、公示催告、失踪、破産、特別清算、再生関係」などと記されている部分ですね。ここをクリックします。
これで官報の実際のページ画面(PDF)にアクセスすることができます。
最初の方は相続、失踪、破産、と続きますが、20ページほど進めていくと個人再生手続きの情報が閲覧できます。
以下は開始決定時の公告の掲載フォーマットになります。個人が特定される可能性のある情報は、名前と住所だけです。当然ですが借入の金額や、借入先の債権者名などが掲載されることはありません。
平成○○年 (再イ)第○号
住所、名前
1.決定年月日時
2.主文 再生債務者について小規模個人再生による再生手続きを開始する。
3.再生債権の届出期間 平成○年○月○日まで
4.一般異議申述期間 平成○年○月○日から平成○年○月○日まで
▼実際の官報の掲載例▼
まずヤフーやグーグルといった検索サービスで、名前を検索したときに官報の情報が出てきてしまうのではないか?という疑問があるかと思いますが、これについては問題ありません。
官報の公式ページは、目次リストまでは検索ページにインデックスされているようですが、中身のページはすべて本誌をスキャンしてPDFで取りこんでいるだけのようなので、すべて画像です。つまり、名前や住所を文字情報として公開しているわけではないので、偶然、ネットで名前を検索していて、官報の破産や再生情報がヒットすることはありません。
ただしそういった検索エンジンとは別に、官報専用の検索サービスが2つほどあります。こちらのサービス内で名前を検索すると該当ページが出てくる可能性があります。
【URL】:https://search.npb.go.jp/kanpou/
創刊(昭和22年5月3日)から当日までの過去すべての官報の記事検索が可能な、公式の検索サービスです。ただしこちらは有料で、(官報の定期購読をしてない場合)1000~2000円の利用料が掛かります。業務などの特殊な用途以外で利用する方は少ないでしょう。
官報検索無料
【URL】:http://kanpoo.jp/
こちらは民間企業が提供している検索サービスでしょうか。検索は無料で出来ますが、範囲は過去30日間に公開されたもの限定です。仕組みはわかりませんが、文字情報として拾うことができない以上、おそらく名前で検索しても破産者や再生債務者は出てこないと思います。
個人再生で官報に掲載されるタイミングって?!
基本的には、前述のように開始決定時、書面決議または意見聴取時、認可決定時の3回ですが、それ以外にも、再生手続きが途中で取消しになった場合や、廃止になった場合も掲載されます。
実際に掲載される場合には、小規模個人再生、給与所得者等再生、それぞれ以下のような見出しで官報に載ります。
・小規模個人再生による再生手続き開始
・小規模個人再生による書面決議に付する決定
・小規模個人再生による再生計画認可
・小規模個人再生による再生計画取消し
・小規模個人再生による再生手続き廃止
給与所得者等再生の場合
・給与所得者等再生による再生手続き開始
・給与所得者等再生による再生計画案についての意見聴取
・給与所得者等再生による再生計画認可
・給与所得者等再生による再生計画取消し
・給与所得者等再生による再生手続き廃止