自己破産のスケジュールと期間、手続きの流れを説明
自己破産の手続きは、まず弁護士や司法書士に依頼してから裁判所に申立てるまでに、およそ3カ月程度かかります。裁判所に申立てた後は、1週間~1カ月で開始決定がなされ、同時廃止 ※ の場合はそこから2カ月程度で免責決定となります。少額管財 ※ の場合は、開始決定後、3~6カ月程度かかることが多いです。それぞれの手続きの流れとスケジュールを説明します。
自己破産の手続きって、弁護士の先生に自己破産をお願いしてから実際に借金が無くなるまで(免責確定まで)にどのくらいの時間がかかるのー?
裁判所に申立てた後は、開始決定までに1週間~1カ月かかる。ただし東京地裁の場合だと、即日面接制度(※)を利用すれば、最短で申立日の午後5時に開始決定される場合もある。
じゃあ弁護士に相談 → 自己破産の申立て → 自己破産の開始決定までで、約3~4カ月位ってことね。自己破産の開始決定後、免責決定まではどのくらいかかるの?
それで免責が下りるかどうか決まるわけでしょ? 緊張するなあ・・・ゴクリ。裁判官には、じっくり根ほり葉ほり、破産に至った事情を聴かれたりするのかな?
で、免責審尋期日で特に問題がなかったら、1週間程度で免責決定が下りるんだよね。 じゃあもし同時廃止じゃなくて、管財事件(※)になった場合はどうなのー?
自己破産の手続きで意外と見落としがちなのが、申立てまでの準備期間です。自己破産は弁護士に依頼してすぐに裁判所に申立てができるわけではありません。準備に3カ月~半年以上かかることもあります。差押えを受けそうな方は(自己破産が開始するまで差押えは中断できませんので)早い段階で弁護士に相談することが重要です。
参考 → 自己破産におすすめの法律事務所を探す
- 自己破産を弁護士に相談してから裁判所に申立てるまでに3カ月はかかる
- 裁判所によっては申立て~開始決定までに裁判官との面接(審尋)がある
- 東京地裁の即日面接では、最短で申立てたその日のうちに開始決定される
- 同時廃止の場合は、開始決定の1~2カ月後に免責審尋期日が指定される
- 少額管財の場合は、開始決定の2~3カ月後に債権者集会が開かれる
自己破産の同時廃止のスケジュールについて解説
同時廃止というのは、破産者に特に売却できるような財産がなく、かつ免責不許可事由の心配もない場合に、裁判所が、破産手続きの開始決定と同時に破産を終結させる手続きです。
この場合、破産手続きそのものは開始と同時に終結しますので、申立て → 開始決定 + 同時に終結 → 免責審尋 → 免責決定 → 免責確定 という流れで手続きが進行します。
同時廃止のスケジュール
手続きの流れ | 内容 | 日付例 |
---|---|---|
初回相談 | まずは弁護士・司法書士事務所に相談にいきます。相談は無料の事務所が多いです。相談の時点では「自己破産する」と決めつけずに、色々な選択肢を相談してみてください。 | 8月2日 |
依頼 | 自己破産をその法律事務所にお願いすることを決めたら、法律事務所との間で委任契約を締結します。 | 8月10日 |
受任通知 | 委任契約の締結後、すぐに法律事務所から債権者に宛てに受任通知が送付され、債権者からの請求がストップします。これより後は、個別に債権者に返済してはいけません。偏頗弁済(※)をすると、最悪、免責不許可事由にもなります。 | 8月12日 |
準備期間 | 弁護士(司法書士)と連携を取りながら、必要書類を準備します。裁判所に提出する2カ月分の家計簿をつけたり、資産明細目録を作成したり、預金通帳や給与明細などを用意します。また弁護士費用の着手金を先に分割で支払います。 | 11月10日 |
申立て | 必要書類が揃って、着手金の支払いも目途がついた段階で、自己破産を裁判所に申立てます。東京地裁で即日面接を利用した場合は、その日のうち(17時)に開始決定されます。 | 11月10日 |
破産審尋 | (即日面接以外の場合) 通常は、申立て~開始決定までの間に、裁判官と代理人弁護士・債務者の3人で面接(審尋)が行われます。裁判官が資産や負債額、借金ができた経緯などの事情を聴き、同時廃止にするかどうかを検討します。ただし本人面接は省略されることもあります。 |
11月24日 |
開始決定 |
(即日面接以外の場合) 破産審尋の後、数日~1週間程度で、自己破産の開始と同時廃止が決定されます。開始決定・同時廃止の旨は、裁判所から各債権者に通知されます。また官報に公告が掲載されます。この2カ月後を目安に、免責審尋期日が指定されます。 |
11月28日 |
意見申述期間 | 自己破産の開始決定から2カ月程度、債権者からの意見申述期間が設けられます。債権者に異議がある場合は、この期間に裁判所に申述します。 | 1月28日 |
免責審尋日 | 裁判所に出頭して裁判官と面接します。東京地裁では法廷での集団面接となり1人辺りの審尋は30秒程度で終わることも多いです。債権者から異議が出ていたり、破産者の人数の少ない地方の裁判所では、個室で個別面接になることもあります。 | 1月28日 |
免責許可決定 | 特に問題がなければ、免責審尋から1週間程度で免責許可が決定されます。免責許可決定がされると再度、2週間ほどの期間で官報に公告が掲載されます。 | 2月4日 |
免責確定 | 官報に公告が掲載されてから2週間で免責許可が確定します。つまり免責許可決定から約1カ月で免責が確定することになります。職業制限がある場合は、この確定日をもって復権(※)します。 | 2月28日 |
初回相談 | |
---|---|
日付例 | 8月2日 |
内容 | まずは弁護士・司法書士事務所に相談にいきます。相談は無料の事務所が多いです。相談の時点では「自己破産する」と決めつけずに、色々な選択肢を相談してみてください。 |
依頼 | |
日付例 | 8月10日 |
内容 | 自己破産をその法律事務所にお願いすることを決めたら、法律事務所との間で委任契約を締結します。 |
受任通知 | |
日付例 | 8月12日 |
内容 | 委任契約の締結後、すぐに法律事務所から債権者に宛てに受任通知が送付され、債権者からの請求がストップします。これより後は、個別に債権者に返済してはいけません。偏頗弁済(※)をすると、最悪、免責不許可事由にもなります。 |
準備期間 | |
日付例 | 11月10日 |
内容 | 弁護士(司法書士)と連携を取りながら、必要書類を準備します。裁判所に提出する2カ月分の家計簿をつけたり、資産明細目録を作成したり、預金通帳や給与明細などを用意します。また弁護士費用の着手金を先に分割で支払います。 |
申立て | |
日付例 | 11月10日 |
内容 | 必要書類が揃って、着手金の支払いも目途がついた段階で、自己破産を裁判所に申立てます。東京地裁で即日面接を利用した場合は、その日のうち(17時)に開始決定されます。 |
破産審尋 | |
日付例 | 11月24日 |
内容 | (即日面接以外の場合) 通常は、申立て~開始決定までの間に、裁判官と代理人弁護士・債務者の3人で面接(審尋)が行われます。裁判官が資産や負債額、借金ができた経緯などの事情を聴き、同時廃止にするかどうかを検討します。ただし本人面接は省略されることもあります。 |
開始決定 | |
日付例 | 11月28日 |
内容 | (即日面接以外の場合) 破産審尋の後、数日~1週間程度で、自己破産の開始と同時廃止が決定されます。開始決定・同時廃止の旨は、裁判所から各債権者に通知されます。また官報に公告が掲載されます。この2カ月後を目安に、免責審尋期日が指定されます。 |
意見申述期間 | |
日付例 | 1月28日 |
内容 | 自己破産の開始決定から2カ月程度、債権者からの意見申述期間が設けられます。債権者に異議がある場合は、この期間に裁判所に申述します。 |
免責審尋日 | |
日付例 | 1月28日 |
内容 | 裁判所に出頭して裁判官と面接します。東京地裁では法廷での集団面接となり1人辺りの審尋は30秒程度で終わることも多いです。債権者から異議が出ていたり、破産者の人数の少ない地方の裁判所では、個室で個別面接になることもあります。 |
免責許可決定 | |
日付例 | 2月4日 |
内容 | 特に問題がなければ、免責審尋から1週間程度で免責許可が決定されます。免責許可決定がされると再度、2週間ほどの期間で官報に公告が掲載されます。 |
免責確定 | |
日付例 | 2月28日 |
内容 | 官報に公告が掲載されてから2週間で免責許可が確定します。つまり免責許可決定から約1カ月で免責が確定することになります。職業制限がある場合は、この確定日をもって復権(※)します。 |
同時廃止の場合は、上記のように概ね、申立て~免責決定までは3カ月程度となっています。
平成27年の司法統計によると、同時廃止の場合、全体の96.4%(全41685件のうち40198件)が3カ月以内に終結しているようです。
以下、同時廃止のスケジュールに関して、よくある質問を掲載しておきます。
よくある質問
少額管財(管財事件)のスケジュールについて解説
自己破産で管財事件になった場合、手続きにかかる期間は一概に言えません。
例えば、持ち家(住宅)などの資産がある場合、競売または任意売却をして各債権者への配当表を作成するまでは、破産手続きが終結できません。そのため、破産手続きに半年~1年以上かかることもあります。
一方、管財事件になったものの配当する財産が無く、途中で異時廃止 ※ となった場合や、ギャンブルなどの免責不許可事由があることが理由で、免責観察型 ※ の少額管財になった場合は、通常は1回の債権者集会で破産手続きが終結します。
この場合は、開始決定からおよそ3~4カ月で免責決定となりますので、それほど同時廃止の場合と差はありません。以下、申立後のスケジュールで説明します。
少額管財のスケジュール
手続きの流れ | 内容 | 日付例 |
---|---|---|
申立て | 裁判所に少額管財で自己破産を申立てます。東京地裁で即日面接を利用する場合、少額管財のケースだと翌週の水曜日17時に破産が開始決定されます。 | 11月10日 |
管財人面接 | 東京地裁で少額管財となる場合は、通常、開始決定の前に、管財人候補となる弁護士の方と一度打ち合わせをおこないます。代理人弁護士・管財人弁護士(候補)・債務者本人の3者で、管財人弁護士の事務所に出向いて打ち合わせするのが一般的です。 | 11月14日 |
開始決定 | 管財人との打ち合わせ後、数日以内に自己破産が開始決定されて、正式に破産管財人が選任されます。破産管財人はすぐに破産財団用の口座を開設します。ここに予納金を振り込みます。 | 11月16日 |
引継予納金 | 少額管財で破産管財人が選任される場合は、20万円~の引継予納金の支払いが必要になります。一括で支払うのが原則ですが、東京地裁では最大4カ月での分割納付が認められます(参考記事) | 11月26日 |
債権者集会 | 自己破産の開始決定から、およそ2~3カ月後に債権者集会の期日が指定されます。この日は本人も裁判所に出頭しなければなりません。破産管財人が、裁判官と破産者・代理人弁護士の前で、財産/負債の状況を説明したり、免責についての意見を述べます。 | 2月10日 |
免責許可決定 | 特に問題がなければ債権者集会は1回で終結し、そこから1週間程度で、免責許可決定が通知されます。少額管財の場合は、債権者集会の中で合わせて免責審尋も行われますので、別途、免責審尋期日というのはありません。 | 2月17日 |
免責確定 | 免責許可決定後、2週間ほどで官報公告が掲載されます。官報公告から2週間以内に、債権者からの不服申し立てがなければ、さらに2週間の経過で免責許可が確定します。 | 3月17日 |
申立て | |
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日付例 | 11月10日 |
内容 | 裁判所に少額管財で自己破産を申立てます。東京地裁で即日面接を利用する場合、少額管財のケースだと翌週の水曜日17時に破産が開始決定されます。 |
管財人面接 | |
日付例 | 11月14日 |
内容 | 東京地裁で少額管財となる場合は、通常、開始決定の前に、管財人候補となる弁護士の方と一度打ち合わせをおこないます。代理人弁護士・管財人弁護士(候補)・債務者本人の3者で、管財人弁護士の事務所に出向いて打ち合わせするのが一般的です。 |
開始決定 | |
日付例 | 11月16日 |
内容 | 管財人との打ち合わせ後、数日以内に自己破産が開始決定されて、正式に破産管財人が選任されます。破産管財人はすぐに破産財団用の口座を開設します。ここに予納金を振り込みます。 |
引継予納金 | |
日付例 | 11月26日 |
内容 | 少額管財で破産管財人が選任される場合は、20万円~の引継予納金の支払いが必要になります。一括で支払うのが原則ですが、東京地裁では最大4カ月での分割納付が認められます(参考記事) |
債権者集会 | |
日付例 | 3月10日 |
内容 | 自己破産の開始決定から、およそ2~3カ月後に債権者集会の期日が指定されます。この日は本人も裁判所に出頭しなければなりません。破産管財人が、裁判官と破産者・代理人弁護士の前で、財産/負債の状況を説明したり、免責についての意見を述べます。 |
免責許可決定 | |
日付例 | 3月17日 |
内容 | 特に問題がなければ債権者集会は1回で終結し、そこから1週間程度で、免責許可決定が通知されます。少額管財の場合は、債権者集会の中で合わせて免責審尋も行われますので、別途、免責審尋期日というのはありません。 |
免責確定 | |
日付例 | 4月17日 |
内容 | 免責許可決定後、2週間ほどで官報公告が掲載されます。官報公告から2週間以内に、債権者からの不服申し立てがなければ、さらに2週間の経過で免責許可が確定します。 |
上記のスケジュールは、債権者集会が1回で終わった場合を例にしています。
もし住宅売却の買い手が付かなかったり、資産調査に時間が掛かるような場合には、そのまま第2回債権者集会、第3回債権者集会が開かれます。債権者集会はおよそ3カ月置きに開催されます。
また引継予納金の分割払いに時間がかかる場合は、その分、債権者集会の期日が後ろにズレますので、手続きが遅延することになります。
以下、少額管財のスケジュールに関してよくある質問です。
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