自己破産をすると引越しにも許可が必要になる?
自己破産の手続き期間中は引越しができなくなる、というのは割と有名な話です。ですが、実は全ての自己破産者が引越しができなくなるわけではありません。
自己破産を申請すると、破産手続きの期間中は引越しができなくなるって聞いたんだけどっ、本当なのーっ?!
自己破産の手続きには、「破産管財」事件と「同時廃止」事件の2種類があります(参考:「自己破産には同時廃止と破産管財の2種類がある」)。自己破産の事件の9割は「同時廃止」ですが、この同時廃止の場合には住居地に関する制限は付きません。
つまりこの引越しの制限に関する問題は、実は自己破産をするほとんどの人にとって関係がないことになります。
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破産管財事件の場合には引越しに許可が必要
「破産管財」事件の場合には、破産手続きの期間中には勝手に黙って引越しをすることができません。引越しにあたって、裁判所の許可が必要になります。これは破産法の37条「住居に係る制限」に基づくものです。
破産法37条(法令データベース)では、「破産者は、申立てにより裁判所の許可を得なければ居住地を離れることができない」と定められています。ここでいう破産者とは、破産手続き期間中の債務者のことを指します。
「同時廃止」事件の場合は、破産手続き開始の決定と同時に破産手続きが廃止されますので、この「住居に係る制限」を受けることがありませんが、破産管財事件の場合には、手続きに時間が掛かること、資産の換価処分などの関係で住所が無断で変わってしまうと手続きが煩雑になること、などから一定の制限を受けることになります。
破産管財の場合には、転居にあたって裁判所の許可が必要になりますが、これは裁判所で準備されている「住所変更の届出」を住民表に添付して提出するだけです。(参考:「自己破産申立てについて|裁判所ホームページ」)
基本的に許可がおりないというケースはほとんどありませんので、それほど深刻に考える必要はありません。以前に「自己破産のデメリットは実は結構少ない」の記事でも言っていますが、デメリットというほどのデメリットでもないのが実際のところです。
破産管財事件であっても、住居地の制限を受けるのはあくまで破産手続きの期間中だけの話です。破産手続きで免責が確定すると、全ての権利が復権し法律上の「破産者」ではなくなりますので、上記の「住居に係る制限」も適用されなくなります。
たまに自己破産をするとずっと引越しができなくなる(裁判所の許可が必要になる)と誤解されている方がいますが、当然、そんなはずはありません。
破産管時は少額管財の場合でも手続きに半年程度はかかりますが、その手続き期間が過ぎれば、その後の引越しは自由です。