詐欺破産って?!自己破産で絶対やってはいけないこと
自己破産は、破産者の全ての債務(非免責債権を除く)を免除する、という強力な救済制度であるため、なかにはこの自己破産制度を悪用しようとする人もいます。
特に以下に当て嵌まるようなケースだと、免責不許可事由に該当してしまったり、詐欺破産として詐欺罪に問われてしまう可能性もあるため、絶対にしないように注意しなければいけません。
- 自己破産前に財産を他人名義に書き換える
- 自己破産前に財産を不当に処分すること
- 自己破産のための費用を借金で調達する
- 返済履歴がほとんどない借金を自己破産すること
詐欺破産って言葉を聞いたことがあるんだけどっ、これってどういう意味?
財産の処分を免れるために、不正に悪意をもって財産を隠蔽するのは論外ですが、なかにはそうではないケースもあります。例えば、稀にあるのが破産管財事件として扱われるのを避けるために、自己破産手続き前に財産を処分してしまう、あるいは名義を書き換えてしまう、という例です。
以前に「自己破産には同時廃止と破産管財の2種類がある」でも解説したように、破産管財事件として破産管財人が選任されると、最低でも20万円以上の裁判所への予納金が必要になります。これが同時廃止事件であれば、1~2万円で済みます。
同時廃止事件か、破産管財事件か、は目ぼしい資産価値の財産を持っているかどうかで決まります。そのため、稀に自己破産費用を少しでも安くするために自己破産手続き前に財産を処分して、「同時廃止事件」として扱われるよう細工しようとする方がいますが、これは上記の詐欺破産罪にあたるので注意が必要です。
またもう1つの詐欺破産のパターンとして「返すつもりのない借金をすること」があります。これは上記の破産法で定められた詐欺破産罪ではなく、刑法246条での「詐欺罪」にあたります。
よく例として挙がるケースですが、自己破産のための弁護士費用や裁判所への予納金の調達のために、新規で借入を行う行為はこの詐欺罪にあたります。自己破産をするつもりで借りるということは、最初から返済の意志がない、と判断されるからです。
ここでポイントになるのは、例え本人にそのつもりがなくても「そう見なされる」場合は自己破産ができない可能性がある、ということです。
例えば1度も過去に返済を行っていない貸金業者がある場合には、その状態で自己破産をすることは詐欺破産と見なされる可能性があります。また病気やうつ病などを患って、そのことを申告せずに借入を行った場合も、返済期間が短すぎる場合には詐欺破産と見なされます。
これらを解消するためには、最低でも半年から1年以上の期間、または借入額の半分程度は返済をおこなっている必要があります。
これらの詐欺破産にあたる可能性が高い場合には、事前に弁護士からその旨の説明があったり、自己破産の依頼を断られる可能性があります。
上記のように過去に1度も返済を行っていない業者等がある場合には、最低半年程度、まずは返済をおこなってから再度、自己破産を試みる必要があるかもしれません。また、これらか自己破産を検討されている場合には、くれぐれも新規で借入を行わないように注意してください。