在留外国人でも自己破産はできる?ビザへの影響は?
日本に住んでいる外国人の方でも、日本人と同じように自己破産をすることは可能です。破産法3条では、破産手続きおよび免責の手続きについて、外国人でも「日本人と同一の地位を有する」と定められています。ただし、日本で自己破産をする場合でも、外国(本国)にある預貯金や不動産等の財産は破産財団※となり、差押えや処分の対象となるので注意が必要です。また、自己破産によって在留資格や滞在ビザが剥奪されることはありません。
外国人の方で、在留資格を得て日本に中長期で滞在している人でも、日本の裁判所でフツ-に破産手続きをすることはできるのかなー?
どの国出身の人でも破産できる?
でも、外国の人が日本で自己破産することで、滞在ビザとかに影響が出ることはないのかなー? 在留資格を剥奪されたり、ビザの更新ができなくなったりしない?
あとは外国の方が自己破産する上で、何か気を付けておかないといけないことはあるかなー? 裁判所に提出する住民票とかの書類は、外国の人だと取れないから困るんじゃないの?
- 在留外国人の方でも、日本人と同じように自己破産ができる
- 自己破産をしても、在留資格や滞在ビザの更新等に影響が出ることはない
- 自己破産をすると、外国(本国)にある財産も破産手続きの処分対象になる
- 中長期在留(3カ月以上)の方は、役所で普通に住民票も取得できる
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外国人の方が日本で自己破産をする場合の注意点は?
日本にいる在留外国人の方でも、基本的には日本人と同じように日本の裁判所で自己破産が可能です。これは破産法3条で、以下のように規定されているからです。
外国人または外国法人は、破産手続、第12章第1節の規定による免責手続、および同章第2節の規定による復権の手続きに関し、日本人または日本法人と同一の地位を有する。(破産法3条)
平成12年の破産法改正前までは、日本の破産法では「相互主義」という考え方が採用されていました。
相互主義とは、「相手の国の法律で日本人が外国人と同等の地位が認められている場合のみ、日本の法律でも外国人を日本人と同一の地位として認める」という考え方です。
つまり、外国人が日本で自己破産するためには、その外国人の本国の法律で日本人が外国人と同様に自己破産できることが条件とされており、国籍によっては自己破産ができない可能性がありました。
しかし今では破産法が改正され、(他の国の法律に関わらず)すべての国籍の外国人について日本人と同じように自己破産ができるようになったため、この問題は解消されています。
在留外国人の方は、もちろん日本に戸籍はありませんので戸籍謄本を提出する必要はありません。
昔は、その代わりに「外国人登録原票記載事項証明書」の提出を求められることが多かったのですが、こちらは平成24年7月の入管法改正に伴い廃止されましたので、現在はこちらも使いません。
代わりに、平成24年7月以降は、外国人の方でも住民票が作成されることになりました。そのため、外国人の方でも役所で普通に住民票を取得して提出すれば大丈夫です。
外国人で住民票が取得できる方
- 中長期在留者(在留期間が3カ月を超える方)
- 入管特例法でさだめられた特別永住者
- 出生または日本国籍の喪失から60日以内の方
基本的には「在留カード」の交付対象となる中長期在留者のことだと考えていただければ大丈夫です。旅行や観光を目的とした、いわゆる短期ビザの場合は、住民票を取得することはできません。
また稀に心配される方がいますが、自己破産をしても住民票などに自己破産の履歴が残ることはありません。これは外国人でも日本人でも同じです。また自己破産をすることで、在留資格が取消しになったり、更新に不利になることもありません。
破産法では「債務者が自己破産の開始決定時に保有している財産はすべて破産財団に属する」とさだめられています。これは、財産が日本の国内にあるか、国外にあるかを問いません。
破産者が破産手続き開始の時において有する一切の財産(日本国内にあるかどうかを問わない。)は、破産財団とする。(破産法34条)
そのため、在留外国人の方が日本で自己破産をする場合、外国(本国)で保有している財産も、破産手続きによる換価処分の対象になります。
外国人の方の中には、日本で得た収入の多くを本国の銀行口座等に送金しているケースも多いですが、外国に貯金がある場合には、海外の預金口座の通帳記帳を裁判所に提出する必要があります。
また海外に不動産を保有しているかどうかについては、聞き取り調査だけで済まされることが多いですが、ケースによっては本国で固定資産税の支払いがないことを証明する書類の提出を求められることもあるようです。
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