自己破産で免責が不許可になった具体的な事例とは?
以前に「自己破産の免責不許可事由って?免責が降りないケース」という記事で、免責不許可事由について解説しました。 自己破産は免責を目当てに申請するケースが大半なので、免責不許可になってしまっては何の意味もありません。
免責不許可になると、借金や債務はそのまま残ってしまい、ただ単に破産者になっただけになってしまいます。驚くほど意味のない話なので、この免責不許可にならないかどうか、免責不許可に自分が該当しないかどうか、を心配される方は非常に多いです。
破産法375条の過怠破産罪は、債務者が浪費や賭博、投機行為、その他の射幸行為によって著しく財産を減らし、債権者に不利益をもたらす行為のこと。この場合には免責不許可にあたる、とされる。
債務整理であなたの借金がいくら減るのか無料診断してみよう
上記のように、実際には少々の賭博や遊興費、射幸行為による借金があったとしても、多少は大目に見てくれるケースも多いです。破産法252条(免責許可の決定の要件等)の4項では、以下のように条文が定められています。
浪費又は賭博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したこと。
ここでポイントになるのは、「著しく」財産を減少させ、又は「過大な」債務を負担したかどうか、という点になります。過大であったかどうかを実際に判断するのは裁判官です。
多少の投機行為やギャンブルによる借金があったとしても、その他、生活苦による借金もあわせて考慮された場合には、「過大には当たらない」として免責を許可して貰えるケースもあります(神戸地方裁判所の事例)
またもし破産法252条の免責不許可事由に該当するような要件があったとしても、直ちにそれで免責不許可が決定するわけではありません。なぜなら破産法252条2項には以下のように記載されているからです。
前項の規定にかかわらず、同項各号に掲げる事由のいずれかに該当する場合であっても、裁判所は、破産手続開始の決定に至った経緯その他一切の事情を考慮して免責を許可することが相当であると認めるときは、免責許可の決定をすることができる。
裁判官は、債務者がどのように借金を増やしていったか、どうして自己破産をするに至ってしまったか、の経緯を聞いて、総合的に判断します。すべての事情を考慮した上で、裁判官が免責決定するのが適当だと判断した場合には、例え免責不許可に該当する要件があったとしても、免責決定を得ることができます。
逆に免責許可が本当におりなかった事例というのも存在します。実際にすべての自己破産の申請のうち、およそ90%は免責許可がおりますが、10%程度の申請では免責不許可になっていますので、免責不許可になる可能性もある程度、意識する必要があります。