自己破産すると生命保険外交員を辞めないといけない?!

現役で保険外交員の仕事に就いている方は、自己破産をすると資格制限により保険外交員(保険募集人)の仕事に就くことができなくなる可能性があります。 この制限は、免責が確定して復権するまでの間続きます。

自己破産をすると保険外交員の仕事に就けなくなる?
ねえねえ、先生ー!
自己破産をすると、資格制限により生命保険外交員(生命保険募集人)の仕事には就けなくなるっていう噂を聞いたんだけど、本当なのー?!
その可能性はあるね。「可能性はある」という言い方をしているのは、警備員や弁護士の資格とは異なり、保険募集人の場合は必ずしも資格が失効するわけではないからなんだ。
必ずしもって・・・一体どういうことー?!
自己破産が法律上の欠格事由にあたって資格が停止になる、というお決まりのパターンじゃないのー?!
いや、保険募集人の方で既に生命保険協会などに登録されている方の場合、後述になるけど資格が取り消しになるかどうは内閣総理大臣の「任意」とされているんだ。つまり絶対に取消になる、と言うわけではないんだね。

 
自己破産をすると、生命保険外交員の仕事を解雇される、直ちに職を失う、という書き込みや意見をよく見かけますがこれは間違いです。既に登録済の生命保険募集人の場合は、資格が取り消されるかどうかは「任意」であり、必ず取り消されるというわけではありません。

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保険募集人が自己破産すると、どうなるの?!

保険募集人と自己破産の関係について説明するときには、以下の2つは明確に区別しなければなりません。

  • これから保険募集人の資格を受験するのか
  • 既に保険募集人の資格登録をしているのか

 
前者の方はこちらの「自己破産すると、保険募集人の資格を受験できない?!」の記事を参考にしてください。本記事では、既に保険募集人として登録されている方の処遇を前提として話を進めます。

既に保険募集人として登録されている場合

既に保険募集人としての登録がされている場合は、前述のように資格が取り消しになるかどうかは、内閣総理大臣の「任意」です。これを「任意取り消し」といいます。

保険募集人資格の任意取り消し
保険業法307条では、「破産者でかつ復権を得ない者(保険業法279条1)」に該当する者に対し、内閣総理大臣は、保険募集人の資格登録を取り消し、または6カ月以内の業務停止を命じるができる、と定めています。 これを任意取り消しといいます。

 
ここでのポイントは、「~取り消しを命じなければならない」ではなく、「~取り消しを命じることができる」と記載されている点です。 保険業法297条の登録拒否事由で「~登録を拒否しなければならない」という言い回しを使っていることと比較すると、かなり穏やかな表現です。

実際に、保険募集人が自己破産をしても、資格登録の取り消しを受けないケースというのも報告されており、少なくとも「自己破産をすると保険募集人の資格が必ず失効する」という風説は間違っていることがわかります。

個人の保険募集人は自己破産しても、申告の義務はない?!

もう1つよく議論になるのが、個人の保険外交員が自己破産した場合に、それを内閣総理大臣に届け出る必要があるのかどうか、という問題です。

たしかに保険業法280条4項では、(変更等の届出等)として以下のような定めがあります。

変更等の届出義務
保険業法280条1-4によると、変更の届出義務に「特定保健募集人である法人について破産手続き開始の決定があったとき。その破産管財人。」と記載されており、破産手続きの開始決定時には遅滞なくその旨を内閣総理大臣に届け出なければならない、とされています。

 
しかしここで注目してほしいのは、「法人について」という部分の記述です。自己破産した個人の保険募集人についての言及は特にないため、保険業法上は、個人の保険外交員が自己破産をしても特にそれを届け出る必要はないと解釈できます。

自己破産後に、保険募集人の資格が取り消される可能性

自己破産後に保険募集人の資格が取り消される可能性がどの程度あるのか、についてですが、残念ながらこれについては正確なデータがなく、サンプルとなる母数も少ないため一般論としては何ともいえないところです。

任意とはいえ、「取り消すことができる」と記載されている以上、登録を取り消される可能性はあると思っておいた方がいいでしょう。また不安な点、疑問な点がある場合には、自己破産前に必ず法律の専門家にしっかり相談することが必要です。

もし登録の取り消しを受けたら、3年間は再登録できない

さらに怖いのが、保険業法279条4項で定められている「登録の拒否」です。この項目では、前述の保険業法307条の「任意取り消し」により、保険募集人の登録を取り消された場合、その日から3年以内は再登録ができないと定められています。

保険募集人の登録拒否
保険業法279条では、保険募集人の新規登録を拒否するケースについて定められています。これを「登録拒否事由」といいますが、この登録拒否事由のなかに「保険業法307条の規定により登録を取り消され、その取り消しの日から3年を経過しない者」という取り決めがあるのです。

 
これらのリスクを踏まえると、できれば自己破産ではなく、個人再生や任意整理といった他の債務整理の手段を検討することもお勧めしたいです。個人再生や任意整理であれば、そもそも保険業法上の任意取り消しの対象になることはありませんので、保険外交員の仕事を続けることができます。

保険会社の就業規則に抵触する場合もあり?!

ここまでは法律的な観点から見てきました。前述のように、法律上は、保険外交員が自己破産をしたとしても登録を取り消されるとは限りません

また警備員などのケースと同様で、免責許可さえ降りてしまえば復権され、法律上の破産者ではなくなりますので、破産者に該当する期間というのは実質、数カ月~半年程度しかありません。

ただし、法律とは別に保険会社には職務規定や就業規則というものがあります。

就業規則で「破産」した場合は解雇、を定めているケースも?!

生命保険会社によっては、「自己破産をした場合には解雇する」ということを就業規則で定めているケースもあるようです。

一般的には、自己破産を理由とする解雇は、「不当解雇」にあたり、労働基準法違反に問われる可能性がありますが、保険会社の場合は業務の性質上、正当性があると言えなくもなく、際どいところがあります。

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