破産管財人の役割や権限とその驚きの報酬額は?

自己破産で債務者に換価可能な財産(20万円以上の価値のある資産、または99万円以上の現金)がある場合は、その財産は処分・売却され、各債権者に平等に配当されます。

この財産の査定や処分、売却を担当するのが破産管財人です。この破産管財人は、裁判所によって弁護士資格を有する者のなかから選任されます。今回はこの破産管財人について、より詳しく解説します。

破産管財人の仕事って?
ねえねえっ、先生ーっ!
前回までの記事で、破産管財人が財産を売却したり処分する人っていうのはわかったんだけどーっ、この破産管財人って一体どういう人なのーっ?! もっと詳しく知りたいなーっ!
破産管財人は簡単にいうと、破産財団の管理や処分を裁判所から任されている人のことだね。一般的には、弁護士の有資格者や弁護士法人から選任されるんだ。
ふーんっ、司法書士の人は破産管財人にはなれないのーっ?!
司法書士でも、司法書士法施行規則31条の「司法書士法人の業務の範囲」の1号に「管財人」が含まれているから、法律上、なることは問題ないはずだね。でも実際のところ、実務上、ほとんどが弁護士みたいだよ。
破産管財人
破産管財人は、破産法の第1節 第74条~(参考外部リンク)で定められている、破産債務者の破産財団を管理・処分する権限を有する者のことです。破産手続き開始決定と同時に、裁判所により選任されます。
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破産管財人は、破産債務者に処分可能な財産がある場合に、その財産の処分・売却を裁判所から一任された人物(弁護士)のことです。破産手続きには、同時廃止と破産管財の2種類があることはこちらの記事「同時廃止と破産管財について」でも解説しましたが、この破産管財では必ず破産管財人が選任されます。

 

破産管財人の役割と権限

破産管財人は破産財団(債務者の財産のうち、処分可能な価値のある財産)の管理・処分が主な仕事になります。以前にこちらの記事「自己破産で処分される破産財団と、処分されない自由財産」で解説したように、資産価値が20万円を超える預貯金や車、99万円以上の現金、などは自己破産では全て「破産財団」として処分対象になります。

より細かくみると、その他にもいろいろと破産管財人だけに許された役割や仕事があります。破産法に基づく破産管財人の権限には例えば以下のようなものがあります。

  • 不動産や船舶の任意売却
  • 鉱業権や漁業権、特許権、意匠権や商標権、著作権又は著作隣接権の任意売却
  • 破産財団の事業譲渡や、商品の一括売却
  • 債権や有価証券の譲渡、動産の売却
  • 破産者にあてた郵便物または信書便物の閲覧
  • 破産財団に関する帳簿や書類、物件の検査

 
これらは基本的に全て裁判所の許可や指示が必要になりますが、裁判所の許可があれば破産管財人は上記のような役割と権限を有することになります。意外と知られていない点ですが、著作権や特許権なども破産財団となり破産管財人による任意売却の対象となります。

また破産法81条、82条(参考外部リンク)で定めるところにより、破産管財人は(裁判所が必要と認めた場合に)破産者にあてた郵便物を預かり、その中身を開いて見ることができます。これを嘱託回送(ショクタクカイソウ)といいます。

嘱託回送
破産法第81条に基づき、破産管財人は破産者宛に送られてくる郵便物を自身に転送し、中身を閲覧することができます。これは、破産債務者が不正に財産を隠したり、他に別の借金を隠していないかを点検するのが目的になります。

 

破産管財人は過払い金返還請求もする?

破産管財人の調査または破産者の申告の結果、一部の債務について過払い金などが発生している場合には、裁判所の命令によって過払い金の返還請求を破産管財人が代わりに行うことがあります。(参考:「過払い金返還請求って何?」)

過払い金返還請求の権利も、法律上は債権(不当利得返還請求権)であり立派な資産なので、破産財団に属し、破産管財人によって処分・回収される対象となります。

 

破産管財人には協力義務がある?

ここで1つ大事なポイントです。破産管財人は弁護士ですが、破産者の味方ではありません。 むしろ破産債務者の財産をできるだけ高値で換価し債権者に配当するのが仕事ですから、どちらかといえば債権者の味方になります。

破産債務者が代理人として依頼する弁護士とは全く立場が違う人になりますが、それでも破産債務者はこの破産管財人に全面的に協力する必要があります。これは破産法250条2項に以下のように定められているからです。

(免責についての調査及び報告)
第二百五十条 2  破産者は、前項に規定する事項について裁判所が行う調査又は同項の規定により破産管財人が行う調査に協力しなければならない。

 
また、この破産管財人への協力義務に違反すると、最悪の場合、免責がおりない可能性もあります。これは免責不許可事由として破産法252条で以下のように定められているからです。

(免責許可の決定の要件等)
第二百五十二条  裁判所は、破産者について、次の各号に掲げる事由のいずれにも該当しない場合には、免責許可の決定をする。
九  不正の手段により、破産管財人、保全管理人、破産管財人代理又は保全管理人代理の職務を妨害したこと。
十一  第250条第2項に規定する義務その他この法律に定める義務に違反したこと。

 
免責不許可事由については、こちらの記事「自己破産の免責不許可事由って?免責がおりないケース」もあわせて読んでいただくと、理解が深まると思います。

 

破産管財人に協力することで少額破産管財が受けれる

破産債務者も財産を不正に隠蔽したりするつもりがないのであれば、破産管財人に協力しない理由は何1つないと思います。破産者が依頼する代理人弁護士と協力することで、予納金の安い「少額破産管財」を受けることができますので出来るだけ破産管財人には協力するようにすべきでしょう。(参考:「自己破産の少額破産管財手続きで費用を安くおさえるには?」)

 

破産管財人への報酬額はいくら?

破産管財人への報酬費用は基本的に、破産者が負担することになります。この破産管財人への報酬費用は、裁判所への予納金というかたちで支払われます。

この破産管財人への報酬費用はかなり高額で、少額管財の場合でも20万円程度、一般的な破産管財事件の場合には自然人で50万円~、法人の場合は70万円~というかなり高額な費用がかかります。詳しくは以下の記事でも解説しているので参考にしてください。

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