破産管財人との面談の内容や回数は?管財人は怖い人?
自己破産の手続きが少額管財 ※ になった場合は、開始決定後すぐに破産管財人との面談の日時が設定されます。代理人の弁護士も同行して3者で面談をするのが慣例ですが、債務者の方が1人で管財人弁護士の事務所に呼ばれるパターンもあります。時間は通常20~40分程度です。面談回数は1回の場合もありますが、免責調査型などのケースでは月1の面談が合計4回ほど実施されます。
やっと破産手続きの申立てが終わって、無事、裁判所から開始決定を貰うことができたんだけど…。今度は、破産管財人(※)との面談があるから、管財人の事務所まで来いって言われたの。
破産管財人が選任された場合には、引き継ぎのために速やかに、代理人の弁護士・破産者・管財人の弁護士の3者で面談をすることになってる。通常は、管財人の事務所で面談をすることが多いね。
うちの代理人弁護士さんは、「同行はしないので1人で行って貰うことになります」って言ってるの…。すごく不安なんだけど。代理人弁護士が同行しないパターンもあるの?
3者打合せは慣習であって、法律上の決まりではないからね。3者だと面談日時の調整が難しい場合とか、特に大きな問題がない場合だと、破産者1人で管財人事務所に面談に行くこともあるね。
でも面談日までに、ある程度の内容は、管財人の弁護士さんにも伝わってるのかな? 何を聞かれるのかわからなくて不安だし、どこまで情報が共有されてるのかもよくわからないし。
破産管財人の候補が内定したら、代理人弁護士は、すぐに申立書の副本や、裁判官と打ち合わせした内容のメモを管財人に送って、情報を共有することになってるからね。
ってことは、どういう事情で自己破産に至ったのか、とかは一応、管財人さんも事前に知ってるのね。じゃあ、わざわざ管財人さんが破産者と面談する目的は何なの?
ただ、代理人弁護士からの「引継ぎ」の目的もある。例えば、通帳・車の鍵・保険証書のような貴重品を弁護士に預けてる場合は、それを3者打合せのときに管財人に引き継ぐことも多い。
じゃあ、特に引き継ぐような財産がなかったり、破産者に同行して一緒に説明するような複雑なケースでなければ、わざわざ代理人弁護士さんが同行しない場合もあるってことか。
自己破産の手続きで破産管財人が選任された場合は、開始決定後すぐに管財人との面談日時が設定されます(東京地裁では、開始決定前に管財人との面談が実施されます)。主な目的は、開始決定後すぐに管財人が円滑に業務に取りかかるための「引継ぎ」です。そのため、通常は代理人弁護士や司法書士も同行しますが、引継ぎに支障がなければわざわざ弁護士が同行しないケースもあります。
- 管財事件では、開始決定後すぐに管財人の事務所で3者面談が実施される
- 主な目的は、代理人弁護士からの引継ぎと、破産者からの事情の聞き取り
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管財人との面談では具体的にどのようなことを聞かれるの? 申立書や陳述書、反省文とか裁判所に提出した書類はすでに共有されてるって話だったけど…。
基本的には、申立書に記載した内容を突っ込んで聞かれることが多いね。「この期間でこんなに借金が膨らんだのはなぜ?」とか、「この×月×日のこの支出は何なの?」とか。
でも昔のことだから、私もあんまり詳しく覚えてないんだよね。正直自信ないなぁ…。ちゃんと答えられなかったら、免責許可に影響があったりするのかな?
覚えている範囲でありのまま、誠実に正直に答えればいい。「嘘や隠し事がないか?」「反省の態度が見られるか?」を調べるために、敢えて厳しく突っ込んで反応を探る場合もあるからね。
ってことは、管財人弁護士さんってやっぱ怖い人なのかな? 浪費について厳しく叱責されたり、圧迫面接のような感じで対応されることはあるの? すっごく不安で緊張するよ…。
まあ、少なくとも代理人弁護士さんは事前に接触して挨拶してるわけだから、代理人弁護士さんに聞けば、どういう性格の人なのか教えて貰える可能性もあるよね。
免責不許可事由がある場合、管財人は裁判所に「免責についての意見書」を提出します。裁判官は事実上、その意見書を元に免責の判断を下しますので、管財人の心証は非常に重要になります。面談時には、「説明義務」「財産開示義務」「協力義務」などがあることをしっかり認識し、できるだけ誠実に対応して反省の態度を示しましょう。
- 破産管財人は、債務者の敵でも味方でもない。中立の立場で話を聞く
- ただし管財人弁護士の性格によっては厳しい面談になることもある
管財人との面談の内容については何となくわかったんだけど…。
この面談って何回くらい実施されるものなの? 最初に1回だけ面談すればおしまい?
個人の自己破産で、免責不許可事由(※)がないケースであれば、面談は1回の場合も多いと思う。何か追加で聞きたいことがあれば、代理人弁護士に聞くか、直接、電話で聞けばいいからね。
例えば、たまたま保険の解約返戻金が20万円を超えて、少額管財になったようなケースだと、管財人との面談は1回ってことね。じゃあ、ギャンブルみたいに免責不許可事由がある場合はどうなの?
つまり管財人の指導の下で家計簿をつけて、3~4カ月ほどの期間、月1回の面談をして経過を監督されるんだ。ちゃんと節約してるか、貯金ができてるか、などが毎月の面談で確認されるね。
自己破産の開始決定後に振り込まれた給料は、法律上は自由財産(※)だから、どう使うかは自由だと思うんだけど。それでも破産手続き中は、どういう支出で生活をしてるのか監督されるのね。
「ちゃんと反省して生活を改めてるかどうか?」「裁量免責(※)にするのが相当かどうか?」をチェックするためだから、そこに文句を言っちゃいけないよ。すべては免責許可のためだから。
※ 「免責観察型」は大阪地裁の制度です。東京地裁では「免責調査型」という類型があるなど、運用は各地の裁判所によって異なります。詳しくは「免責観察型・免責調査型の管財事件の内容」を読んでください。
個人破産の場合は、特に何度も面談するような事情がなければ、管財人面談は1回だけの場合も多いです。しかし事業を営んでいてお金の流れが複雑だったり、財産隠しや否認行為が疑われていたり、破産者の説明が不十分だったりすると、合計2~3回以上の面談が実施される可能性もあります。また免責不許可事由が理由で少額管財になった場合は、経過観察や生活指導のために、何度も面談が実施される場合があります。
参考 → 少額管財には免責調査型など10種類がある
- 管財人との面談は、特に問題なければ1回のことも多いが、ケースによる
- 免責調査型の少額管財の場合は、経過観察のため月1面談が数回実施される
「管財人との面談」についてよくある疑問を解説!
自己破産の手続きで、同時廃止ではなく管財事件 ※ になった場合は、原則として管財人との面談は避けて通れません。この記事を読んでいる方の中には、すでに面談の日時が決まっていて、不安や緊張を感じている方もいるかもしれません。
すでに大まかな内容は、先生との会話の中で説明した通りですが、ここからはさらに管財人との面談で知っておくべきことを、深く突っ込んで解説していきます。
基本的には、同行できます。司法書士に自己破産を依頼している場合でも、管財人との面談に司法書士が同行できないというルールはありません。
司法書士の法的な位置づけ
ご存知のように、司法書士は破産者の代理人にはなれません。破産手続きは地方裁判所の裁判手続きなので、法律上、司法書士には書類作成の代行までしか認められていません。代理人として裁判官とやり取りしたり、裁判に出席することはできません。
そのため、裁判所の公的なイベント(例えば、債権者集会や免責審尋 ※)の際には、司法書士が同席することが認められない場合があります。例えば、東京地裁の債権者集会では、司法書士が法廷に入ることはできません。
一方、管財人との面談は、裁判のような厳格な手続きではありません。基本的には単なる業務上の「引き継ぎ」です。そのため、できるだけ事情に精通している方が同席して説明してくれた方が、管財人としても円滑に業務に取りかかることができて助かります。
例えば、法人の破産であれば、代表者だけでなく経理担当者が同行するケースもありますし、弁護士に一般の事務スタッフが同行するケースもあります。要するに、より詳細に事件を把握している人が同行するのは当たり前なのです。その意味では、司法書士が同行できない理由はありません。
ただし管財人の考え方にもよる
ただし管財人の弁護士によっては、司法書士を敵視(毛嫌い)していて同行を拒否するケースもあるようです。弁護士と司法書士の間には、職務上の縄張り意識のようなものがあるため、司法書士が自己破産の手続きに関与してくることを、感情的に好ましく思わない先生もいます。
管財人の弁護士に「来なくていい」と言われてしまえば、司法書士の方が同行するのは難しくなります。また前述のように、どちらにしてもそもそも同行しない方針の司法書士事務所もあります。
破産者によっては、仕事が忙しくて平日に何度も休みを取るのが難しい方もいるかもしれません。
裁判所の公的なイベント日(例えば、債権者集会や免責審尋の日時)は、平日に実施されます。破産者の都合は聞いて貰えませんので、有給休暇を取るか、午前・午後のどちらかを休むしかありません。しかし管財人との面談日時は、管財人が融通を利かしてくれる可能性はあります。
もちろん管財人も弁護士なので多忙ですし、「破産手続きに誠実に取り組む気持ちがあるなら、破産者の方が都合を調整するのが当然だ」という考え方の先生もいます。
しかし弁護士事務所は、裁判所と違って平日の日中しか開いてないということはありません。別にどちらでも構わないという管財人もいるので、一応相談してみれば、平日の夕方以降の時間を指定してくれたり、土日に面談を入れてくれる可能性もあります。
どうしても平日に仕事を休むことが難しい場合には、代理人弁護士を通じて日程が調整できないか相談してみるべきでしょう。もちろん「無理だ」と言われたら、大人しく従いましょう。免責許可が欲しいのであれば、破産手続きを最優先に生活するのが正しいスタンスです。
管財人と面談するにあたって、管財人から「預金通帳を最新日まで記帳して持ってきて欲しい」と言われる場合があります。破産者としてはその意図がよくわからず、「没収されるのではないか?」と不安に感じる方も多いようです。
破産管財人の意図としては、以下の3つの可能性が考えられます。
申立書に添付した通帳コピーには、申立日までの取引しか記帳されていません。そのため、管財人は「申立時」の預金残高しか把握していません。
自己破産では、「開始決定時」に残高が20万円を超えている預金口座は、債権者への分配の対象となります(つまり没収の対象になります)。そのため、開始決定日の時点での預金残高を確認するためにチェックされるケースが多いです。
もし開始決定日の時点で口座残高が20万円を超えていれば、「通帳を預からせてほしい」と言われる可能性があります。開始決定日より後に振り込まれたお金(給与など)は自由財産なので、没収されることはありません。
これについては以下の記事で詳しく説明します。
他にも、自己破産を申立てた後に不明瞭な入金や出金が行われていたり、一部の債権者に対する優先的な返済が行われていないか(いわゆる否認行為がないかどうか)を調査するために、最新の通帳をチェックするという目的もあります。(参考「否認行為とは」)
またギャンブルなどの免責不許可事由があった場合には、「今でも浪費を繰り返していないかどうか?」「生活が改善されているかどうか?」を調査する目的で通帳がチェックされる可能性もあります。
(参考「管財人への郵便物の転送」)
(参考記事)
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