妻に自己破産を理由に離婚を要求されたら?
借金が原因で離婚する夫婦というのはめずらしくありません。ですが法律的には、自己破産を理由に離婚を請求されたとき、それに応じる義務はあるのでしょうか?
結論からいうと、夫が自己破産をしたというだけで妻が一方的に離婚をすることはできません。自己破産をしたというだけでは、実は民法770条で定める離婚要件には該当しないからです。これについては賛否両論あるかと思いますが、現行の法律では自己破産は「婚姻を継続しがたい重大な事由」とはみなされないことが多いです。
自己破産は離婚の事由にはならない?
ねえねえっ、先生ーっ!
自己破産をしたことが原因で、奥さんに「別れよう」って言われたら、やっぱり離婚しなければいけないのかなーっ?!
自己破産をしたことが原因で、奥さんに「別れよう」って言われたら、やっぱり離婚しなければいけないのかなーっ?!
たしかに借金トラブルで離婚する夫婦というのは少なくないね。ただ法律上の観点でいえば、自己破産という事実だけをもって一方的に離婚することはできないね。
へえー、そうなんだーっ! 何だかイメージだと、自己破産が理由で離婚している家庭って結構ありそうな気がするんだけどーっ
もちろん夫婦双方の合意があれば、民法763条の協議離婚にあたるから自由に離婚が可能だよ。ただ夫が離婚に反対しているのに、自己破産を理由に妻が一方的に離婚することはできない、ということなんだ。自己破産は経済的な再生のための、正当な権利だからね。
婚姻を継続しがたい重大な事由
婚姻を継続しがたい重大な事由とは、民法770条で定められる法律上、離婚の要件となりうる事由のこと。配偶者の不貞、悪意の遺棄、生死不明、強度な精神病、その他、宗教対立や性的不満、暴力沙汰などがあります。
婚姻を継続しがたい重大な事由とは、民法770条で定められる法律上、離婚の要件となりうる事由のこと。配偶者の不貞、悪意の遺棄、生死不明、強度な精神病、その他、宗教対立や性的不満、暴力沙汰などがあります。
裁判上の離婚要因とは?
民法770条で一方的に離婚を要求できる要因としては以下のようなものがあります。
- 浮気や過度な風俗通いなどの不貞行為
- 同居や協力・扶助の義務を怠り、長期間に渡っての別居があるとき
- 失踪などにより3年以上安否や消息が不明な場合
- 配偶者が強度な精神病にかかって回復の見込みがないとき
- その他、婚姻の継続が困難な事由があるとき
自己破産が離婚の要因にあたるかどうか、の一番のポイントになるのが(5)の「婚姻の継続が困難な事由があるとき」に該当するかどうかですが、こちらは該当しないとするのが一般的です。
ただし自己破産そのものは離婚要因になりませんが、過度なギャンブル癖や浪費癖で生活費を家庭に入れない場合(扶助義務違反)などは、婚姻が継続できない事由として認められる場合があります。この場合は離婚が成立します。
双方の合意による離婚は可能
一方的な離婚の要因にならない、といっても、もちろん双方の合意であれば離婚は可能です。これは民法763条で定める「協議離婚」というものになります。
協議離婚
民法763条では、(協議上の離婚)として、「夫婦は、その協議で離婚をすることができる」と定められています。つまり本人同士の合意があれば、理由の如何を問わず離婚が可能ということになります。
民法763条では、(協議上の離婚)として、「夫婦は、その協議で離婚をすることができる」と定められています。つまり本人同士の合意があれば、理由の如何を問わず離婚が可能ということになります。
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