自己破産で資格制限を受ける職業の一覧
自己破産を申立てて、裁判所により自己破産の開始決定がされると、一部の職業や資格は制限を受けることになります。以下は、よく自己破産で資格制限を受けるかどうかが聞かれる職業や資格の一覧です。該当するものをクリックタップしてください。資格・職業制限の有無が表示されます。
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- 弁護士
- 弁理士
- 司法書士
- 土地家屋調査士
- 不動産鑑定士
- 公認会計士
- 税理士
- 社会保険労務士
- 行政書士
- 中小企業診断士
- 通関士
- 宅地建物取引士
- 旅行業務取扱管理者
- 卸売業者
- 証券外務員
- 生命保険募集人
- 警備員
- 質屋
- 教育委員会委員
- 調教師・騎手
- 医師
- 歯科医師
- 看護師
- 保健師
- 助産師
- 薬剤師
- 建築士
- 公務員
- 貸金業務取扱主任者
- 消防設備士
- 風俗営業を営む者
- 古物商
- 社会福祉士
- 介護福祉士
- 保育士
- 測量士
- 作業療法士
- 理学療法士
- ファイナンシャルプランナー
- 会社の役員
- 管理業務主任者
- マンション管理士
職業資格の一覧を再表示する
弁護士の方は自己破産による職業制限があります。
破産者で復権※を得ない者は、弁護士資格の「欠格事由」にあたりますので、弁護士になることができません。また既に弁護士登録をしている方は、日本弁護士連合会により弁護士名簿の登録が取消しになります。また弁護士法人の社員の方は、脱退になります。
根拠となる条文
【弁護士の欠格事由】
第7条 次に掲げる者は、第四条、第五条及び前条の規定にかかわらず、弁護士となる資格を有しない。
5号 破産者であつて復権を得ない者
【登録取消しの事由】
第17条 日本弁護士連合会は、次に掲げる場合においては、弁護士名簿の登録を取り消さなければならない。
1項 弁護士が第7条第1号又は第3号から第5号までのいずれかに該当するに至つたとき。
【法定脱退】
第30条の22 弁護士法人の社員は、次に掲げる理由によつて脱退する。
4号 第7条第1号又は第3号から第5号までのいずれかに該当することとなつたとき。
※参考:弁護士法(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S24/S24HO205.html)
その他のポイント
自己破産の手続きが終結して免責を得ることができれば、復権しますので、また弁護士登録をすることが可能です。司法試験の合格が取消されるわけではありませんので、あくまで一時的なものです。またこれから受験する方も、司法試験の受験資格には影響ありません。
その他、弁護士だけでなく司法修習生についても、破産者で復権を得ないものは一時的に罷免されます。(司法修習生に関する規則17条)。
弁理士の方は自己破産による職業制限があります。
破産者で復権※を得ないものは、弁理士資格の「欠格事由」にあたりますので、弁理士になることができません。また現在、既に弁理士として登録されている方は、日本弁理士会によりその登録が抹消になります。
根拠となる条文
【欠格事由】
第8条 次の各号のいずれかに該当する者は、前条の規定にかかわらず、弁理士となる資格を有しない。
10号 破産者で復権を得ないもの
【登録の抹消】
第24条 弁理士が次の各号のいずれかに該当する場合には、日本弁理士会は、その登録を抹消しなければならない。
3号 第8条各号のいずれかに該当するに至ったとき。
※参考:弁理士法(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H12/H12HO049.html)
その他のポイント
弁理士の方が「破産者で復権を得ない者」に該当することになった場合は、遅滞なく日本弁理士会にその旨を届け出る必要がある、とされています(弁理士法24条2項)。
ただし自己破産の手続きが終結して免責を得ることができれば復権しますので、また弁理士の登録をすることが可能です。弁理士試験の合格が取消されるわけではありませんので、登録抹消はあくまで一時的なものです。またこれから受験する方は、弁理士試験の受験資格には影響ありません。
司法書士の方は自己破産による職業制限があります。
破産者で復権※を得ない者は、司法書士資格の「欠格事由」にあたりますので、司法書士になることができません。また現在、既に司法書士として登録されている方は、日本司法書士連合会によりその登録が取消しになります。
根拠となる条文
【欠格事由】
第5条 次に掲げる者は、司法書士となる資格を有しない。
3号 破産者で復権を得ないもの
【登録の取消し】
第15条 司法書士が次の各号のいずれかに該当する場合には、日本司法書士会連合会は、その登録を取り消さなければならない。
4号 第5条各号のいずれかに該当するに至つたとき。
※参考:司法書士法(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S25/S25HO197.html)
その他のポイント
司法書士の方が「破産者で復権を得ない者」に該当することになった場合は、遅滞なく、所属の司法書士会を通じて日本書士連合会にその旨を届け出なければならない、とされています(司法書士法15条2項)。
ただし自己破産の手続きが終結して免責を得ることができれば復権しますので、また司法書士の登録をすることが可能です。司法書士試験の合格が取消されるわけではありませんので、登録の取消しはあくまで一時的なものです。またこれから司法書士試験を受験する方は、受験資格には影響ありません。
土地家屋調査士の方は自己破産による職業制限があります。
破産者で復権※を得ない者は、土地家屋調査士資格の「欠格事由」にあたりますので、土地家屋調査士になることができません。また現在、既に土地家屋調査士として登録されている方は、調査士会連合会によりその登録が取消しになります。
根拠となる条文
【欠格事由】
第5条 次に掲げる者は、調査士となる資格を有しない。
3号 破産者で復権を得ないもの
【登録の取消し】
第15条 調査士が次の各号のいずれかに該当する場合には、調査士会連合会は、その登録を取り消さなければならない。
4号 第5条各号のいずれかに該当するに至つたとき。
※参考:土地家屋調査士法(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S25/S25HO228.html)
その他のポイント
調査士の方が「破産者で復権を得ない者」に該当することになった場合は、遅滞なく、調査士が所属している調査士会を経由して、調査士会連合会にその旨を届け出なければならない、とされています(土地家屋調査士法25条2項)
ただし自己破産の手続きが終結して免責を得ることができれば復権しますので、また土地家屋調査士の登録をすることが可能です。土地家屋調査士試験の合格が取消されるわけではありませんので、登録の取消しはあくまで一時的なものです。また、これから土地家屋調査士試験を受験する方は、受験資格には影響ありません。
不動産鑑定士の方は自己破産による職業制限があります。
破産者で復権※を得ない者は、不動産鑑定士としての登録を受けることができません。また現在、既に不動産鑑定士として登録されている方は、国土交通大臣により、登録が削除されます。
根拠となる条文
【欠格条項】
第16条 次の各号のいずれかに該当する者は、不動産鑑定士の登録を受けることができない。
3号 破産者で復権を得ない者
【届出の義務】
第19条 不動産鑑定士が次の各号のいずれかに該当するときは、当該各号に定める者は、その日から30日以内に、国土交通大臣にその旨を届け出なければならない。
3号 第16条第3号から第5号までの一に該当するに至ったとき。(本人)
【登録の削除】
第20条 国土交通大臣は、次の各号のいずれかに掲げる場合には、当該不動産鑑定士の登録を消除しなければならない。
2号 前条第一項の規定による届出があつたとき。
3号 前条第一項の規定による届出がなくて同項各号のいずれかに該当する事実が判明したとき。
※参考:不動産の鑑定評価に関する法律(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S38/S38HO152.html)
その他のポイント
自己破産の手続きが終結して免責を得ることができれば復権しますので、また不動産鑑定士の登録をすることが可能です。不動産鑑定士試験の合格が取消されるわけではありませんので、登録削除はあくまで一時的なものです。また、これから不動産鑑定士試験を受験する方は、受験資格には影響ありません。
公認会計士の方は自己破産による職業制限があります。
破産者で復権※を得ない者は、公認会計士の「欠格事由」にあたりますので公認会計士となることができません。また現在、既に公認会計士の登録をされている方は、日本公認会計士協会により登録が抹消されます。
根拠となる条文
【欠格条項】
第4条 次の各号のいずれかに該当する者は、公認会計士となることができない。
4号 破産者であつて復権を得ない者
【登録の抹消】
第21条 次の各号のいずれかに該当する場合には、日本公認会計士協会は、公認会計士の登録を抹消しなければならない。
3号 公認会計士が第4条各号のいずれかに該当するに至つたとき。
参考:公認会計士法(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S23/S23HO103.html)
その他のポイント
上記の登録の抹消は、日本公認会計士協会の資格審査会の議決に基づいて行われます(公認会計士法21条2項)。
自己破産の手続きが終結して免責を得ることができれば復権しますので、また公認会計士の登録をすることが可能です。公認会計士試験の合格が取消されるわけではありませんので、登録抹消はあくまで一時的なものです。また、これから公認会計士試験を受験する方は、受験資格には影響ありません。
税理士の方は自己破産による職業制限があります。
破産者で復権※を得ない者は、税理士資格の「欠格事由」にあたりますので税理士となることができません。また現在、既に税理士の登録をされている方は、日本税理士連合会により登録が抹消されます。
根拠となる条文
【欠格条項】
第4条 次の各号のいずれかに該当する者は、前条の規定にかかわらず、税理士となる資格を有しない。
3号 破産者で復権を得ないもの
【登録の抹消】
第26条 日本税理士会連合会は、税理士が次の各号のいずれかに該当することとなつたときは、遅滞なくその登録を抹消しなければならない。
4号 第4条第2号から第10号までのいずれかに該当するに至ったことその他の事由により税理士たる資格を有しないこととなったとき。
※参考:税理士法(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S26/S26HO237.html)
その他のポイント
上記の「登録の抹消」の事由に該当することになった場合は、税理士は遅滞なくその旨を日本税理士連合会に届け出なければならない、とされています(税理士法26条2項)
ただし自己破産の手続きが終結して免責を得ることができれば復権しますので、また税理士の登録をすることが可能です。税理士試験の合格が取消されるわけではありませんので、登録抹消はあくまで一時的なものです。また、これから税理士試験を受験する方は、受験資格には影響ありません。
社会保険労務士の方は自己破産による職業制限があります。
破産者で復権※を得ない者は、社会保険労務士資格の「欠格事由」にあたりますので社会保険労務士となることができません。また現在、既に社会保険労務士の登録をされている方は、全国社会保険労務士会連合会により登録が抹消されます。
根拠となる条文
【欠格事由】
第5条 次の各号のいずれかに該当する者は、第三条の規定にかかわらず、社会保険労務士となる資格を有しない。
3号 破産者で復権を得ないもの
【登録の抹消】
第14条の10 連合会は、社会保険労務士が次の各号の一に該当したときは、遅滞なく、その登録を抹消しなければならない。
4号 第5条第2号から第6号まで、(略)その他の理由により社会保険労務士となる資格を有しないこととなったとき。
※参考:社会保険労務士法(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S43/S43HO089.html)
その他のポイント
上記の「登録の抹消」の4号に該当することになった場合は、社会保険労務士は、遅滞なくその旨を全国社会保険労務士会連合会に届け出なければならない、とされています(社会保険労務士法14条の10-2項)
ただし自己破産の手続きが終結して免責を得ることができれば復権しますので、また社会保険労務士の登録申請をすることが可能です。社会保険労務士試験の合格が取消されるわけではありませんので、登録抹消はあくまで一時的なものです。また、これから社会保険労務士試験を受験する方は、受験資格には影響ありません。
行政書士の方は自己破産による職業制限があります。
破産者で復権※を得ない者は、行政書士資格の「欠格事由」にあたりますので行政書士となることができません。また現在、既に行政書士の登録をされている方は、日本行政書士連合会により登録が抹消されます。
根拠となる条文
【欠格事由】
第2条の2 次の各号のいずれかに該当する者は、前条の規定にかかわらず、行政書士となる資格を有しない。
3号 破産者で復権を得ないもの
【登録の抹消】
第7条 日本行政書士会連合会は、行政書士の登録を受けた者が次の各号のいずれかに該当する場合には、その登録を抹消しなければならない。
1号 第2条の2第2号から第5号まで、(略)のいずれかに該当するに至ったとき。
参考:行政書士法(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S26/S26HO004.html)
その他のポイント
自己破産の手続きが終結して免責を得ることができれば復権しますので、また行政書士の登録申請をすることが可能です。行政書士試験の合格が取消されることはありませんので、登録抹消はあくまで一時的なものです。また、これから行政書士試験を受験する方は、受験資格には影響ありません。
中小企業診断士の方は自己破産による職業制限があります。
破産者で復権※を得ない者は、中小企業診断士の登録申請をしても、経済産業大臣により申請が拒否されることになります。また、既に中小企業診断士の登録をされている方でも、経済産業大臣により登録が取消しになる場合があります。
根拠となる条文
【登録の拒否】
第5条 経済産業大臣は、申請者が次の各号のいずれかに該当する場合には、その登録を拒否しなければならない。
3号 破産者であって復権を得ないもの
【登録の取消し】
第6条 経済産業大臣は、中小企業診断士が前条各号のいずれかに該当するに至ったとき(略)は、その登録を取り消すものとする。
参考:中小企業診断士の登録等及び試験に関する規則(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H12/H12F03801000192.html)
その他のポイント
自己破産の手続きが終結して免責を得ることができれば復権しますので、また中小企業診断士の登録申請をすることが可能です。中小企業診断士試験の合格が取消されることはありませんので、登録取消しはあくまで一時的なものです。また、これから中小企業診断士試験を受験する方は、受験資格には影響ありません。
通関士の方、および通関業者は自己破産による職業制限があります。
通関業の許可申請者が「破産者で復権※を得ない者」の場合は、税関長により通関業の許可申請が却下されます。また、通関業者が破産手続きの開始決定を受けた場合、通関業の許可は消滅します。
また、通関士試験に合格して「通関士」という名称で通関業務に従事する方は、税関長に営業所の名称等を届け出る必要がありますが、その際に「破産者で復権を得ない者」は、通関士となることができません。また、既に通関士として働いている方が、「破産者で復権を得ない者」に該当するに至ったときは、通関士の資格を喪失します。
根拠となる条文
【欠格事由】
第6条 税関長は、許可申請者が次の各号のいずれかに該当する場合には、通関業の許可をしてはならない。
2号 破産者であつて復権を得ないもの
【許可の消滅】
第10条 通関業者が次の各号のいずれかに該当するときは、当該通関業の許可は、消滅する。
3号 破産手続開始の決定を受けたとき。
【確認】
第31条 通関業者は、通関士試験に合格した者を通関士という名称を用いてその通関業務に従事させようとするときは、その者の氏名、通関業務に従事させようとする営業所の名称その他政令で定める事項を税関長に届け出て、その者が次項の規定に該当しないことの確認を受けなければならない。
2項 次の各号の一に該当する者は、通関士となることができない。
1号 第6条第1号から第7号までの一に該当する者
【通関士の資格の喪失】
第32条 通関士は、次の各号の一に該当するときは、通関士でなくなるものとする。
2号 第6条第1号から第7号までの一に該当するに至つたとき。
参考:通関業法(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S42/S42HO122.html)
その他のポイント
自己破産の手続きが終結して免責を得ることができれば復権しますので、また通関士としての仕事に就くことが可能です。通関士試験の合格が取消されることはありません。
宅地建物取引士の方は自己破産による職業制限があります。
破産者で復権※を得ない者は、宅地建物取引士の免許登録を受けることができません。また、既に宅地建物取引士の登録をされている方が「破産者で復権を得ない者」になった場合、30日以内に届け出る必要があり、都道府県知事により登録が削除されます。
根拠となる条文
【宅地建物取引士の登録】
第18条 試験に合格した者で、(略)当該試験を行つた都道府県知事の登録を受けることができる。ただし、次の各号のいずれかに該当する者については、この限りでない。
3号 破産者で復権を得ないもの
【届出】
第21条 第18条第1項の登録を受けている者が、次の各号のいずれかに該当することとなった場合においては、当該各号に定める者は、その日から30日以内に、その旨を当該登録をしている都道府県知事に届け出なければならない。
2号 第18条第1項第1号または第3号から第5号の3までに該当するに至った場合 本人
【申請等に基づく登録の消除】
第22条 都道府県知事は、次の各号の一に掲げる場合には、第18条第1項の登録を消除しなければならない。
2号 前条の規定による届出があったとき。
※参考:宅地建物取引業法(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S27/S27HO176.html)
その他のポイント
自己破産の手続きが終結して免責を得ることができれば復権しますので、また宅地建物取引士の登録をすることが可能です。宅地建物取引士の自己破産については、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。
旅行業務取扱管理者は自己破産による職業制限があります。
旅行業者は、各営業所に1人以上の「旅行業務取扱管理者」を選任することが法律で定められていますが、この旅行業務取扱管理者は「破産者で 復権※ を得ない者」に該当しないことが要件になります。
根拠となる条文
【登録の拒否】
第6条 観光庁長官は、登録の申請者が次の各号のいずれかに該当する場合には、その登録を拒否しなければならない。
5号 成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ないもの
【旅行業務取扱管理者の選任】
第11条の2 旅行業者または旅行業者代理業者は、営業所ごとに、一人以上の第5項の規定に適合する旅行業務取扱管理者を選任して、(略)管理及び監督に関する事務を行わせなければならない。
5項 旅行業務取扱管理者は、第6条第1項第1号から第5号までのいずれにも該当しない者でなければならない。
※参考:旅行業法(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S27/S27HO239.html)
その他のポイント
その他、旅行業者、または旅行業者代理業を営む方は、観光庁長官による登録を受ける必要がありますが、「破産者で復権を得ない者」がこの登録を申請した場合には、観光庁長官により登録が拒否されます(旅行業法6条)。
ただしいずれの場合も、自己破産の手続きが終結して免責を得ることができれば復権しますので、また旅行業の許可申請、および旅行業務取扱管理者の仕事に就くことが可能です。
卸売業者は自己破産による職業制限があります。
卸売業者は、農林水産大臣の許可を受けなければなりませんが、卸売業者の役員が「破産者で 復権※ を得ない者」に該当する場合には、農林水産大臣の許可を得ることができません。また、既に卸売業者の許可を得ている場合には、農林水産大臣により許可が取消しになります。
根拠となる条文
【卸売業務の許可】
第15条 中央卸売市場において卸売の業務を行なおうとする者は、農林水産大臣の許可を受けなければならない。
【許可の基準】
第17条 農林水産大臣は、第15条第1項の許可の申請が次の各号の一に該当するときは、同項の許可をしてはならない。
4号 申請者の業務を執行する役員のうちに次のいずれかに該当する者があるとき。
(イ)破産者で復権を得ないもの
【許可の取消し】
第25条 農林水産大臣は、卸売業者が第17条第1項第2号又は第4号のいずれかに規定する者に該当することとなったときは、第15条第1項の許可を取り消さなければならない。
※参考:卸売市場法(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S46/S46HO035.html)
その他のポイント
自己破産の手続きが終結して免責を得ることができれば復権しますので、また卸売業務の許可申請をすることが可能です。
証券会社の外務員は自己破産による職業制限があります。
法律で定める金融商品取引業務(有価証券の売買、勧誘、販売等)をおこなうためには、外務員資格を取得して、かつ内閣府令で定める「外務員登録原簿」に登録を受ける必要がありますが、「破産者で復権を得ないもの」に該当する場合には、この登録が拒否されます。また、既に外務員の登録を受けている場合、内閣総理大臣は、登録の取消し、または職務の停止を命じることができます。
ただし、証券外務員の登録の取消しは法律上、任意(~取消さなければならない、ではなく、~取消すことができる)になっているため、実際には必ずしも取消されるとは限りません。
根拠となる条文
【登録の拒否】
第64条の2 内閣総理大臣は、登録の申請に係る外務員が次の各号のいずれかに該当するとき、又は登録申請書若しくはその添付書類のうちに虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けているときは、その登録を拒否しなければならない。
1号 第29条の4第1項第2号イからリまでに掲げる者
第29条の4 第1項2号(ロ)破産手続開始の決定を受けて復権を得ないもの、または外国の法令上これと同様に取り扱われている者
【外務員に対する監督上の処分】
第64条の5 内閣総理大臣は、登録を受けている外務員が次の各号のいずれかに該当する場合においては、その登録を取り消し、又は2年以内の期間を定めてその職務の停止を命ずることができる。
1号 第29条の4第1項第2号イからリまでのいずれかに該当することとなったとき、または登録の当時既に第64条の2第1項各号のいずれかに該当していたことが判明したとき。
※参考:金融商品取引法(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S23/S23HO025.html)
その他のポイント
自己破産の手続きが終結して免責を得ることができれば復権しますので、また証券外務員の登録を受けることが可能です。
生命保険の募集人は、自己破産による職業制限があります。
生命保険募集人(特定保険募集人)は、内閣総理大臣の登録を受けなければなりませんが、「破産者で 復権※ を得ない者」に該当する場合は、この登録が拒否されます。また既に、保険募集人として登録を受けている場合には、内閣総理大臣は登録の取消し、または期間を定めて業務の停止を命じることができます。
ただし、保険募集人の登録の取消しは法律上、任意(~取消さなければならない、ではなく、~取消すことができる)になっているため、実際には必ずしも取消されるとは限りません。
根拠となる条文
【登録】
第276条 特定保険募集人(生命保険募集人、略)は、この法律の定めるところにより、内閣総理大臣の登録を受けなければならない。
【登録の拒否】
第279条 内閣総理大臣は、登録申請者が次の各号のいずれかに該当するとき、(略)、その登録を拒否しなければならない。
1号 破産者で復権を得ないもの又は外国の法令上これと同様に取り扱われている者
【登録の取消し等】
第307条 内閣総理大臣は、特定保険募集人が次の各号のいずれかに該当するときは、第276条の登録を取り消し、または6月以内の期間を定めて業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。
1号 特定保険募集人が第二279条第1項第1号から第3号まで、(略)、のいずれかに該当することとなったとき。
※参考:保険業法(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H07/H07HO105.html)
その他のポイント
自己破産の手続きが終結して免責を得ることができれば復権しますので、また生命保険募集人の登録を申請することが可能です。
警備員は、自己破産による職業制限があります。
法律上は、18歳未満の者や、成年被後見人、被保佐人、および「破産者で 復権※ を得ない者」は、警備員となってはならない、と定められています。また、警備業者(会社側)は、これらに該当する者を警備業務に従事させてはならない、と定められています。
根拠となる条文
【警備業の要件】
第3条 次の各号のいずれかに該当する者は、警備業を営んではならない。
1号 成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ないもの
【警備員の制限】
第14条 18歳未満の者又は第3条第1号から第7号までのいずれかに該当する者は、警備員となつてはならない。
2 警備業者は、前項に規定する者を警備業務に従事させてはならない。
※参考:警備業法(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S47/S47HO117.html)
その他のポイント
自己破産の手続きが終結して免責を得ることができれば復権しますので、また警備員の仕事に従事することができます。実質的に「破産者」に該当するのは破産手続き期間中だけなので、警備会社によっては、自分から申告しない限りは特に問題にならない場合もあります。
これから警備会社に就職する場合は、身分証明書(破産者でないことを確認する証明書)の提出を求められるので、復権を得るまでは警備員になることはできません。
質屋は、自己破産による職業制限があります。
質屋を営む場合には、営業所ごとに公安委員会の許可を受ける必要がありますが、「破産者で 復権※ を得ない者」はこの許可を得ることができません。また、既に質屋の許可を受けている場合は、公安委員会はその許可を取消し、または1年以内の営業停止を命じることができます。
ただし、質屋の許可の取消しは法律上、任意(~取消さなければならない、ではなく、~取消すことができる)になっているため、実際には必ずしも取消されるとは限りません。
根拠となる条文
【許可の基準】
第3条 公安委員会は、前条第1項の規定による許可を受けようとする者が、次の各号のいずれかに該当する場合においては、許可をしてはならない。
5号 破産者で復権を得ないもの
【許可の取消し又は停止】
第25条 公安委員会は、次の各号のいずれかに該当する場合において必要があると認めるときは、質屋の許可を取り消し、又は一年以内の期間を定めて質屋営業の停止を命ずることができる。
2号 質屋が第3条第1項第3号、第5号若しくは第8号に該当したとき
※参考:質屋営業法(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S25/S25HO158.html)
その他のポイント
質屋営業の破産による制限は、上記の条文を見てのとおり、「必要があると認めるときは~できる」という記述であり、それほど強い規定ではありません。そのため、既に質屋の営業許可を受けている場合は、それほど問題にならない可能性もあります。
また仮に取消しになった場合でも、自己破産の手続きが終結して免責を得ることができれば復権しますので、また質屋営業の許可を申請することが可能です。
教育委員会の教育長および委員は、自己破産による職業制限があります。
「破産手続開始の決定を受けて復権※を得ない者」は、教育委員会の教育長または委員になることができません。また、既に教育長または委員に任命されている場合には、その職を失います。
根拠となる条文
【任命】
第4条3項 次の各号のいずれかに該当する者は、教育長又は委員となることができない。
1号 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
【失職】
第9条 教育長及び委員は、(略)、次の各号のいずれかに該当する場合においては、その職を失う。
1号 第4条第3項各号のいずれかに該当するに至った場合
※参考:地方教育行政の組織及び運営に関する法律(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S31/S31HO162.html)
調教師または騎手は、自己破産による職業制限があります。
「破産者で 復権※ を得ない者」は、調教師または騎手の免許を受けることができません。また、既に調教師や騎手の免許を受けている場合は、競売会により免許が取消しになります。
根拠となる条文
【調教師又は騎手の欠格事由】
第22条 次の各号のいずれかに該当する者は、調教師又は騎手の免許を受けることができない。
1号 成年被後見人、被保佐人及び破産者で復権を得ない者
【免許の取消し】
第25条 競馬会は、調教師または騎手が次の各号のいずれかに該当するときは、その免許を取り消さなければならない。
3号 第22条第1号から第4号まで又は第6号から第8号までの規定のいずれかに該当することとなったとき。
※参考:競馬法施行規則(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S29/S29F00601000055.html)
その他のポイント
自己破産の手続きが終結して免責を得ることができれば復権しますので、また調教師や騎手の免許を受けることが可能です。
医師の方は、医師法上の自己破産による資格・職業制限はありません。
歯科医師の方は、歯科医師法上の自己破産による資格・職業制限はありません。
歯科医師法3条では、「未成年者、成年被後見人又は被保佐人には、免許を与えない。」とありますが、この項目に破産者の記述はありません。
看護師の方は、保健師助産師看護師法上の自己破産による資格・職業制限はありません。
保健師の方は、保健師助産師看護師法上の自己破産による資格・職業制限はありません。
助産師の方は、保健師助産師看護師法上の自己破産による資格・職業制限はありません。
薬剤師の方は、薬剤師法上の自己破産による資格・職業制限はありません。
建築士(一級建築士・二級建築士)の方は自己破産による資格・職業制限はありません。
建築士法7条、8条ではそれぞれ建築士の欠格事由が定められていますが、その中に「破産者」の記載はありませんので、自己破産の手続き中であっても免許登録を受けることは可能です。免許が取消しになることもありません。
ただし建築士事務所の開設をする場合は、建築士事務所について都道府県知事の登録を受ける必要がありますが、登録申請者が「破産者で 復権※ を得ない者」の場合は、登録が拒否されます。
根拠となる条文
【建築士事務所の登録】
第23条 一級建築士、二級建築士若しくは木造建築士又はこれらの者を使用する者は、他人の求めに応じ報酬を得て、設計、工事監理、建築工事契約に関する事務、・・・(略)を業として行おうとするときは、一級建築士事務所、二級建築士事務所又は木造建築士事務所を定めて、その建築士事務所について、都道府県知事の登録を受けなければならない。
【登録の拒否】
第23条の4 都道府県知事は、登録申請者が次の各号のいずれかに該当する場合または登録申請書に重要な事項についての虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けている場合においては、その登録を拒否しなければならない。
1号 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
参考:建築士法(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S25/S25HO202.html)
その他のポイント
自己破産をしても建築士の資格や免許には影響はありません。なので就職して働いている方の場合は、自己破産をしても関係ありません。ただし自分で事務所の開設をしたい場合は、復権を得てからでないと事務所の登録ができません。
公務員で一般職の方は、自己破産による資格・職業制限はありません。
国家公務員法では38条、地方公務員法では16条でそれぞれ官職、職員の欠格条項が定められていますが、そこに「破産者」の記載はありません。ただし国家公務員の特別職にあたる「人事官」は、破産者で 復権※ を得ない者がなることはできません。既に人事官となっている場合は、法律上、罷免されることになります。
国家公務員法の条文
【欠格条項】
第38条 次の各号のいずれかに該当する者は、人事院規則の定める場合を除くほか、官職に就く能力を有しない。
1号 成年被後見人又は被保佐人
2号 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又は執行を受けることがなくなるまでの者
3号 懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から2年を経過しない者
4号 人事院の人事官又は事務総長の職にあつて、第109条から第120条までに規定する罪を犯し刑に処せられた者
5号 日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し又はこれに加入した者
【人事官】
第5条3項 次の各号のいずれかに該当する者は、人事官となることができない。
1号 破産者で復権を得ない者
※参考:国家公務員法(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S22/S22HO120.html)
地方公務員法の条文
【欠格条項】
第16条 次の各号の一に該当する者は、条例で定める場合を除くほか、職員となり、又は競争試験若しくは選考を受けることができない。
1号 成年被後見人又は被保佐人
2号 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者
3号 当該地方公共団体において懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から2年を経過しない者
4号 人事委員会又は公平委員会の委員の職にあって、第5章に規定する罪を犯し刑に処せられた者
5号 日本国憲法施行の日以後において日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者
※参考:地方公務員法(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S25/S25HO261.html)
貸金業務取扱主任者人は、自己破産による職業制限があります。
貸金業務取扱主任者資格試験に合格した方は、内閣総理大臣に貸金業務取扱主任者としての登録(主任者登録)を申請することになりますが、「破産者で 復権※ を得ない者」に該当する場合は、この登録申請が拒否されます。また既に主任者として登録を受けている場合には、内閣総理大臣は主任者登録を取消すことができます。
ただし、後者の「登録の取消し」は法律上、任意(~取消さなければならない、ではなく、~取消すことができる)になっているため、実際には必ずしも取消されるとは限りません。
根拠となる条文
【貸金業務取扱主任者の登録】
第24条の25 資格試験に合格した者は、内閣総理大臣に対し、貸金業務取扱主任者の登録を申請することができる。
【登録の拒否】
第24条の27 内閣総理大臣は、登録申請者が次の各号のいずれかに該当するとき、又は登録申請書若しくはその添付書類のうちに虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けているときは、主任者登録を拒否しなければならない。
2号 破産者で復権を得ないもの
【登録の取消し】
第24条の30 内閣総理大臣は、貸金業務取扱主任者が次の各号のいずれかに該当する場合においては、主任者登録を取り消すことができる。
1号 第24条の27第一項各号のいずれかに該当することとなつたとき。
参考:貸金業法(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S58/S58HO032.html)
その他のポイント
既に貸金業務取扱主任者として登録を受けている方が、「破産者で復権を得ないもの」に該当することになった場合は、その旨を30日以内に届け出なければならない、とされています(貸金業法24条の29)。
自己破産の手続きが終結して免責を得ることができれば復権しますので、また貸金業務取扱主任者の登録申請をすることが可能です。資格試験の合格が取消されることはありません。また、これから貸金業務取扱主任者の資格試験を受験する方は、受験資格には影響ありません。
消防設備士の方は、消防法上の自己破産による資格・職業制限はありません。
風俗営業を営もうとする方は、自己破産による資格制限があります。
風俗営業を営む方は、種別に応じて営業所ごとに公安委員会の営業許可を受ける必要がありますが、申請者が「破産者で 復権※ を得ない者」の場合は、許可を得ることができません。また既に営業許可を受けている場合は、公安委員会は営業許可を取り消すことができます。
根拠となる条文
【許可の基準】
第4条 公安委員会は、前条第一項の許可を受けようとする者が次の各号のいずれかに該当するときは、許可をしてはならない。
1号 成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ないもの
【許可の取消し】
第8条 公安委員会は、第3条第1項の許可を受けた者について、次の各号に掲げるいずれかの事実が判明したときは、その許可を取り消すことができる。
2号 第4条第1項各号に掲げる者のいずれかに該当していること。
※参考:風営法(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S23/S23HO122.html)
その他のポイント
自己破産の手続きが終結して免責を得ることができれば復権しますので、また風俗営業の許可申請をすることが可能です。
古物商の仕事は、自己破産による職業制限があります。
中古品などの「古物」を仕事として売買したり転売する業者は、営業所ごとに公安委員会の許可を受ける必要がありますが、許可を受けようとする方が「破産者で 復権※ を得ない者」に該当する場合は、許可を受けることができません。また既に古物商の許可を受けている場合でも、公安委員会は許可を取り消すことができます。
ただし、後者の「許可の取消し」は法律上、任意(~取消さなければならない、ではなく、~取消すことができる)になっているため、実際には必ずしも取消されるとは限りません。
根拠となる条文
【許可の基準】
第4条 公安委員会は、前条の規定による許可を受けようとする者が次の各号のいずれかに該当する場合においては、許可をしてはならない。
1号 成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ないもの
【許可の取消し】
第6条 公安委員会は、第3条の規定による許可を受けた者について、次に掲げるいずれかの事実が判明したときは、その許可を取り消すことができる。
2号 第4条各号に掲げる者のいずれかに該当していること。
※参考:古物営業法(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S24/S24HO108.html)
その他のポイント
自己破産の手続きが終結して免責を得ることができれば復権しますので、また古物商の許可申請をすることが可能です。また近い業態として、「質屋」の営業にも自己破産による職業制限があります。詳しくは「質屋」の項目をご確認ください。
社会福祉士の方は、法律上の自己破産による資格・職業制限はありません。
根拠となる条文
社会福祉士及び介護福祉士法の3条では、社会福祉士の欠格事由について定める条文がありますが、ここに「破産者」は該当しません。
【欠格事由】
第3条 次の各号のいずれかに該当する者は、社会福祉士又は介護福祉士となることができない。
1号 成年被後見人又は被保佐人
2号 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して二年を経過しない者
3号 (以下略)
※参考:社会福祉士及び介護福祉士法(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S62/S62HO030.html)
介護福祉士の方は、法律上の自己破産による資格・職業制限はありません。
根拠となる条文
社会福祉士及び介護福祉士法の3条では、介護福祉士の欠格事由について定める条文がありますが、ここに「破産者」は該当しません。
【欠格事由】
第3条 次の各号のいずれかに該当する者は、社会福祉士又は介護福祉士となることができない。
1号 成年被後見人又は被保佐人
2号 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して二年を経過しない者
3号 (以下略)
※参考:社会福祉士及び介護福祉士法(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S62/S62HO030.html)
保育士の方は、児童福祉法上の自己破産による資格・職業制限はありません。児童福祉法第18条の5の欠格事由にも該当しません。
測量士の方は、測量法上の自己破産による資格・職業制限はありません。
ただし自ら会社を起こして測量業を営む場合は、測量業者としての登録を受ける必要がありますが、この際に登録申請者が「破産者で 復権※ を得ない者」に該当する場合、国土交通大臣により登録が拒否されます。
根拠となる条文
【測量業者の登録】
第55条 測量業を営もうとする者は、この法律の定めるところにより、測量業者としての登録を受けなければならない。
【登録の拒否】
第55条の6 国土交通大臣は、登録申請者が次の各号のいずれかに該当する者であるとき、又は登録申請書若しくは添付書類に重要な事項について虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けているときは、その登録を拒否しなければならない。
1号 破産者で復権を得ないもの
その他のポイント
測量士、および測量士補としての資格や、国土地理院の名簿への登録については、自己破産とは関係がありません。測量法51条の3の「欠格条項」にも該当しませんので、測量士として就職して働く場合には、何も問題はありません。
作業療法士の方は、法律上の自己破産による資格・職業制限はありません。
【根拠となる条文】
理学療法士及び作業療法士法の4条には、作業療法士の欠格事由がありますが、ここに破産者は該当しません。
(欠格事由)
第4条 次の各号のいずれかに該当する者には、免許を与えないことがある。
1号 罰金以上の刑に処せられた者
2号 前号に該当する者を除くほか、理学療法士又は作業療法士の業務に関し犯罪又は不正の行為があつた者
3号 心身の障害により理学療法士又は作業療法士の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの
4号 麻薬、大麻又はあへんの中毒者
参考:理学療法士及び作業療法士法(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S40/S40HO137.html)
理学療法士の方は、法律上の自己破産による資格・職業制限はありません。
【根拠となる条文】
理学療法士及び作業療法士法の4条には、理学療法士の欠格事由がありますが、ここに破産者は該当しません。
(欠格事由)
第4条 次の各号のいずれかに該当する者には、免許を与えないことがある。
1号 罰金以上の刑に処せられた者
2号 前号に該当する者を除くほか、理学療法士又は作業療法士の業務に関し犯罪又は不正の行為があつた者
3号 心身の障害により理学療法士又は作業療法士の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの
4号 麻薬、大麻又はあへんの中毒者
参考:理学療法士及び作業療法士法(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S40/S40HO137.html)
ファイナンシャル・プランナーの方は、自己破産による資格・職業制限はありません。
会社の役員・取締役が個人的に自己破産をした場合、民法上、一時的には役員としての委任契約が終了してしまいます。つまり一度は自動的に退任することになります。
ただし、破産者であることは会社法上の直接の欠格事由ではありませんので、破産者のまま(破産手続き期間中でまだ復権※を得ない者)であっても、すぐに再度、株主総会の選任を受けて役員に就任することは可能です。
なお、ここでいう役員は、取締役、監査役、会計参与等の会社法上の役員であり、単なる従業員の役職(呼称)としての執行役員は含まれません。
会社と取締役との関係は「委任契約」になりますが、会社と従業員との関係は「雇用契約」になります。ここで問題になるのは、委任契約となる会社法上の役員だけです。
根拠となる条文
【株式会社と役員等との関係】
会社法330条 株式会社と役員及び会計監査人との関係は、委任に関する規定に従う。
【委任の終了事由】
民法653条 委任は次に掲げる事由によって終了する。
2号 委任者又は受任者が破産手続開始の決定を受けたこと。
その他のポイント
整理すると、会社法上の役員等にあたる方は、自己破産の開始決定とともに、自動的に委任契約が終了してしまうため、退任になります。ただし、「破産者は役員になってはならない」という法律上の規定はないため、再度、株主総会で選任すれば役員に就任することができます。
管理業務主任者の方は、自己破産による職業制限があります。
管理業務主任者として主任者証の交付を受けるためには、国土交通大臣による登録を受ける必要がありますが、「破産者で 復権※ を得ない者」に該当する場合は、この登録を受けることができません。また既に登録を受けている場合は、登録が取消しになります。
根拠となる条文
【登録】
第59条 試験に合格した者で、管理事務に関し国土交通省令で定める期間以上の実務の経験を有するもの(中略)は、国土交通大臣の登録を受けることができる。ただし、次の各号のいずれかに該当する者については、この限りでない。
1号 成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ないもの
【登録の取消し】
第65条 国土交通大臣は、管理業務主任者が次の各号のいずれかに該当するときは、その登録を取り消さなければならない。
1号 第59条第1項各号のいずれかに該当するに至ったとき。
参考:マンションの管理の適正化の推進に関する法律(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H12/H12HO149.html)
その他のポイント
自己破産の手続きが終結して免責を得ることができれば復権しますので、また管理業務主任者の登録をすることが可能です。管理業務主任者試験の合格が取消されるわけではありません。またこれから試験を受験する方は、受験資格には影響ありません。
なお同じ法律で定められている「マンション管理士」については、自己破産による職業・資格制限はありません。
マンション管理士の方は、法律上の自己破産による資格・職業制限はありません。
マンションの管理の適正化の推進に関する法律の第30条では、マンション管理士として登録を受けるための要件が定められていますが、ここに「破産者でないこと」という記載はありません。ただし、同じ法律で定める「管理業務主任者」については、自己破産による資格制限があります。
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