個人再生の評価申立てって何?

個人再生手続きでは、まず債務者本人が裁判所に「債権者一覧表」を提出します。裁判所は、その一覧表をもとに債権者に通知をおこないますが、債権者がこの一覧表の金額について、異議がある場合には「再生債権届出書」を裁判所に提出します。もしこの「債権届出」の金額に対して、さらに債務者が異議申立てをした場合、債権者は裁判所に対して「評価申立て」をおこなうことで、裁判所に債権額の調査を依頼できます。

個人再生の評価申立てって何?!
ねえねえ、先生ー!
個人再生手続きのなかで、借金の金額について、再生債務者と債権者のあいだで言ってることが違う場合ってあると思うんだけど、これってどうやって決着するのかなー?!
両者がともに譲らずに、お互いの主張する金額に異議を申立てた場合には、最終的には債権者側が「評価申立て」をおこなうことで、裁判所が代わりに調査をおこない金額を決定することになるね。その際には、裁判所から個人再生委員が選任されて、その人が債権額の調査をおこなうんだ。
ふーん、そうなんだー!
じゃあ順番としては、まず「再生債務者の申告 ⇒ 債権者の異議 ⇒ 再生債務者の異議 ⇒ 債権者の評価申立て ⇒ 裁判所が調査、決定」という流れになるってことだね?
うん、その通りだね。 もし裁判所が調査した結果、債権者の主張の方が認められた場合には、この評価申立ての費用(相場1件2万円)の負担は再生債務者側になるから注意が必要だ。まあ債権額について、評価申立てまで縺れるケースはあまりないんだけどね。
  • 債権額について両者の主張が食い違う場合、債権者は評価申立てができる
  • 評価申立てにより裁判所は個人再生委員を選任。債権額の調査を実施する
  • 債権者側の金額が正しかった場合、評価申立て費用は債務者負担になる
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借金の金額について債権者と債務者の言い分が違う場合

個人再生の再生手続きを進めるにあたって、債権者と債務者との間で主張する債権額(借金の金額)に食い違いが発生する場合があります。

多いのが利息に関する金額が異なるケースです。例えば、消費者金融から元本100万円を借り入れているケースで、消費者金融は利息込みで140万円の借金がある、と主張する一方、再生債務者は法定利息で引き直すと120万円しか借金はない、と主張する場合があります。

借金額に異議がある場合の申立ての流れ

個人再生では、まず再生債務者が自己申告のかたちで「債権者一覧表」を作成し、裁判所に提出します。裁判所はその債権者一覧表を、記載の債権者宛に通知、送付することになります。このとき債権者一覧表の内容、金額もあわせて債権者に送付されます。

再生債務者は債権者一覧表を裁判所に提出、裁判所は債権者宛に債権者一覧表を送付して通知する-図解1

この債権者一覧表に記載された借金の金額について、債権者側で特に異議がない場合には、何も返送する必要はありません。一方で、もし金額に異議がある(争いがある)場合には、債権届出期間中に裁判所に「再生債権届出」を提出します。債権届出期間は通常、個人再生の開始決定から4週間になります。(民事再生法222条)

債権一覧表の金額に異議がある場合、債権者は再生債権届出書を提出する-図解2

この債権者からの債権届出書の金額に対して、納得がいかない場合、再生債務者は更にもう一度、異議を申し立てることができます。(ここで再生債務者が異議を申立てるためには、あらかじめ債権者一覧表にある「異議の留保」にチェックを入れておく必要があります。詳しくはこちらの記事をご参照ください。)

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個人再生の「異議の留保」と一般異議申述期間について

債権者の債権届出に対して異議がある場合、債務者は「異議書」を裁判所に提出-図解3

再生債務者が異議書を裁判所に提出した場合、それを受けて、債権者は今度は「評価申立て」を裁判所に依頼することができます。これは裁判所に債権額の調査、確定をおこなってもらうための手続きであり、この評価申立てを受けて裁判所が最終的な債権額を確定します。

債務者の異議書を受けて、債権者は裁判所に「評価申立て」ができる-図解4

このように、債権者と債務者との間で最終的に金額の合意ができなかった場合には、債権者が裁判所に「債権の評価申立て」をおこない、裁判所が債権調査を実施することで再生債権の金額を確定させます。
ただしこの確定金額は、個人再生手続き内でのみ有効な金額です(手続き内確定、ともいいます)。この金額に対して、債権者、債務者ともにどうしても納得できない場合には、別途、訴訟をおこすことが可能です。

このように債権者、債務者との合意が取れない場合、債権者の「債権届出」、債務者の「異議申立て」を経て、債権者の「評価申立て」で債権額が手続き内確定します。 ただし、現場の実務では、評価申立てまで話がややこしくなることは、ほとんどありません。 債権届出を受けて、債務者側の弁護士が債権者と事前に相談、打ち合わせをした上で異議申立てをするため、その段階で再生債権額が確定することが多いからですね。

評価申立てまでの期間とスケジュール

ここで、個人再生手続きの開始決定から評価申立てがされた場合の、その期間とスケジュールについて確認してみましょう。それぞれの異議申し立て期間は以下のようになります。

個人再生手続き 期間 主体 内容
債権届出期間 4週間 債権者 債権一覧表の金額に異議があれば、債権届出を提出
一般異議申述期間 3週間 債務者 債権届出に異議がある場合には、異議書を提出(債権者一覧表で「異議の留保」にチェックしていた場合のみ)
評価申立期限 3週間 債権者 債権額の調査・確定を裁判所に委任するための手続き
債権届出期間
期間 4週間
主体者 債権者
内容 債権一覧表の金額に異議があれば、債権届出を提出
一般異議申述期間
期間 3週間
主体者 債務者
内容 債権届出に異議がある場合には、異議書を提出(債権者一覧表で「異議の留保」にチェックしていた場合のみ)
評価申立期限
期間 3週間
主体者 債権者
内容 債権額の調査・確定を裁判所に委任するための手続き

 
上記は小規模個人再生の場合ですが、債権届出期間と一般異議申立て期間の間には2週間ほどありますので、すべてあわせると評価申立てが終わるまでに12週間(約3カ月)程度かかる計算になります。

また既に過去に確定判決などで債権額が確定している、調停で和解調書を取っている、支払督促などで仮執行宣言が付いている、など債務者が債務名義を取得している場合には、評価申立ては債権者ではなく債務者側が申立てる必要があります。

評価申立ての費用について

評価申立てを行う際には、申立てをする側の人間が、裁判所に予納金を支払います。そのため、通常は債権者側が予納金を支払うことになります。予納金は裁判所によっても異なりますが、通常2~4万円くらいが相場になります。

また、この評価申立て費用(予納金)については、最終的に評価申立てで債権者の主張する金額が確定した場合(裁判所の債権調査の結果、債権者の金額が採用された場合)には、再生債務者が負担する必要があります。逆に再生債務者側の主張する金額で確定した場合には、そのまま評価申立て費用は債権者負担になります。

評価申立ての書式について

評価申立てのための書類(再生債権の評価申立て書)は、各裁判所のホームページなどからダウンロードすることができます。例えば、名古屋地方裁判所の公式ページから入手できる評価申立て書のフォーマットは以下のようになっています。

名古屋地方裁判所-再生債権評価の申立て書

書式ダウンロード
名古屋地方裁判所公式サイト(PDF・外部リンク)
個人再生手続参考書式-日本弁護士連合会サイト(外部リンク)

 
評価申立てがなされると、裁判所は個人再生委員を選任します。個人再生委員とは、債権者、債務者のどちらの味方もしない中立な立場から、財産や債権、収入等の調査をおこない、裁判所に意見する役割の弁護士です。

東京地方裁判所などでは、最初に全ての個人再生の事件で個人再生委員が選任されますので、そういった場合には改めて個人再生委員が選任されることはありません。裁判所が選任した個人再生委員が、債権額についての調査をおこない、裁判所はその個人再生委員の意見を聞いた上で債権額の手続き内確定をおこないます。

 

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