過払い金請求は弁護士と司法書士、どちらに依頼すべき?

過払い金請求を専門の法律家に依頼するときに、弁護士と司法書士、どちらに依頼すべきなのかで迷われる方も多いと思います。この記事では、弁護士と司法書士の職務権限の違いや報酬額の違いについて解説します。

過払い金を請求は、弁護士と司法書士どっちが良い?!
ねえねえ、先生ー!
過払い金を請求するには、弁護士と司法書士のどっちに依頼するのがおススメなのかなー?!
基本的には、過払い金請求に関しては弁護士に依頼するのが間違いなくおすすめだね。理由は主に2つある。1つは司法書士には業務内容に一部の制限があること。そしてもう1つは報酬額があまり変わらないことだ。
なるほどー。過払い金請求に関しては、弁護士事務所でも司法書士事務所でも、あまり報酬システムに違いはないんだねー。納得・・。もう1つの、「業務内容に一部の制限がある」っていうのは具体的には何なの?!
司法書士の場合は、過払い金の請求額が140万円を超える案件については、業者との交渉権や訴訟の代理権がないんだ。また地方裁や高等裁での代理権がないから、もし相手に控訴されたら代理訴訟ができなくなってしまう問題もあるね。
  • 過払い金請求の依頼は、原則、司法書士より弁護士がお勧め
  • 司法書士は1社140万円を超える案件の交渉、訴訟代理ができない
  • 司法書士は、控訴審(地方裁、高等裁)の訴訟代理ができない

 
“140万円以下”の解釈には、1社あたりの過払い金140万円以下説と、合計総額の過払い金140万円以下説があり、弁護士と司法書士会でも解釈が割れるケースが見受けられますが、ここでは1社あたり140万円以下として説明しています。

弁護士と司法書士の過払い金業務における違いって?!

過払い金請求の広告や専門家ページを見ていると、弁護士と司法書士の両方が過払い金請求の依頼募集をしていることがわかります。 一般の方からすると、弁護士と司法書士の違いは非常にわかりにくいのではないでしょうか?





弁護士と司法書士では交渉・代理できる金額が違う

まず覚えておきたいのは、弁護士と司法書士では受任できる過払い金の金額が違う、ということです。司法書士の場合は1社あたりの過払い金金額が140万円を超える案件については、訴訟代理、または裁判外の和解交渉のいずれも行うことができません

これが最も大きな違いです。

弁護士と司法書士の違い

これを定めているのは、司法書士法3条です。

元々は司法書士は、不動産や会社などの登記業務や供託業務を主とする士業でしたが、弁護士数の不足に伴い、2002年の司法書士法改正で、法務省の研修を受けた認定司法書士のみ、簡易裁判所における訴額140万円以下の訴訟や裁判外和解の代理が可能になりました。

司法書士法3条6項(業務)

6.簡易裁判所における次に掲げる手続きについて代理すること。
 イ)民事訴訟法の規定による手続きであって、訴訟の目的の価額が裁判所法33条1項1号に定める額(訴額140万円)を超えないもの
7.民事に関する紛争であって紛争の目的の価額が裁判所法第33条1項1号に定める額(訴額140万円)を超えないものについて、相談に応じ、又は仲裁事件の手続きもしくは裁判外の和解について代理すること

しかし、上記のように過払い金の請求額(元本)が1社あたり140万円を超える場合には、司法書士には和解交渉をおこなう権限がありません。和解書を作成することもできません。

訴訟の場合は、過払い金額(訴額)140万円以下であれば、簡易裁判所のみ提起できます。しかし、もし法律上の争点などの問題で判決に納得できず、控訴する場合(または相手方に控訴された場合)、司法書士は簡易裁判所以外での代理訴訟ができないため、控訴審で一緒に戦うことができません。

控訴審
簡易裁判所での第一審判決に対して不服がある場合に、原告または被告は、地方裁判所に再審請求することができます。これを控訴審といいますが、簡易裁判所以外で訴訟代理ができない司法書士は、この控訴審に出ることができません。

 
消滅時効の問題や、取引の分断の問題など、法律上の争点がある場合には、アイフルなど一部の貸金業者では積極的に控訴をおこなってきます。

本人訴訟(司法書士が代理人として訴訟するのではなく、本人が前面に出て司法書士は書類作成補助をするだけ)であれば、地方裁判所や高等裁判所での訴訟も可能ですが、わざわざ大変な想いをして本人訴訟をするのであれば、最初から訴訟代理が可能な”弁護士”に依頼した方がいいのではないかと思います。

過払い金請求では、弁護士も司法書士も報酬金は変わらない?!

上記の理由から、職務権限でいえば弁護士に依頼した方が得です。弁護士であれば、過払い金の額に関係なく交渉代理、訴訟代理ができますし、地方裁判所でも高等裁判所でも代理人になることが可能です。

これで、司法書士のほうが依頼報酬が安いのであれば、まだ司法書士を検討する意味があるといえますが、実際のところ過払い金請求においては弁護士も司法書士も、報酬の相場はほとんど変わりません





弁護士と司法書士の報酬規定について

弁護士と司法書士の報酬額の上限は、それぞれ弁護士会と司法書士会の規程で定められています。弁護士会では「債務整理事件処理の規律を定める規程」の施行規則(PDF)で、司法書士会の「債務整理事件における報酬に関する指針」(PDF)で、定められています。

過払い金報酬規程 弁護士の返還報酬 司法書士の返還報酬
訴訟によらず回収した場合 20% 20%
訴訟により回収した場合 25% 25%

 
大半の弁護士事務所、司法書士事務所がこの規程に則った上限金額を、報酬金として設定しているため、実質的には司法書士に依頼しようと、弁護士に依頼しようと、訴訟の有無にかかわらず費用はあまり変わらないことになります。

世間一般的には、弁護士事務所の方が敷居が高く費用が高額で、司法書士事務所の方が手軽というイメージがあるかもしれませんし、実際に分野やジャンルによってはその可能性もありますが、過払い金に関しては司法書士だから安いというイメージは持たない方がいいでしょう。

よくある”法律事務所”って弁護士と司法書士どっちなの?!

ただ広告やホームページなどでは「○○法律事務所」として、法律事務所という名称が用いられることも多いのではないでしょうか?この法律事務所というのは、弁護士なのでしょうか、それとも司法書士なのでしょうか?

「法律事務所」と記載されていれば、一般的には弁護士

結論からいうと、「法律事務所」という表記がされている場合、一般的には弁護士が少なくとも1名以上代表として所属する事務所の可能性が高いです。これは弁護士法20条で、以下のように定められているからです。

弁護士法20条
 弁護士の事務所は、法律事務所と称する。

私たちは普段よく「弁護士事務所」と呼んでいますが、これは通称であり正式な呼称ではありません。弁護士法では、弁護士の事務所を「法律事務所」と称するように定めているんですね。

一方で司法書士に関しては、司法書士法での決まりはありません。司法書士が「法律事務所」を名乗ってはいけない、という法律も特にないはずですが、通常は慣習として「○○司法書士事務所」を称することが多いです。

 

もし過払い金が発生していなくても、任意整理で月々の借金の返済額を減らすことは可能です。過払い金がないか知りたい方、任意整理で借金がいくら減るか知りたい方は、「アヴァンス法務事務所」に無料で初回相談してみましょう。銀行カードなど金利が18%以下の方でも、任意整理なら相談できます。

ページの先頭に戻る