クラヴィス(旧クオークローン)が破産、過払金請求は可能?
クラヴィスは、元々はプロミス傘下でクロークローンという消費者金融を営んでいましたが、2012年7月に破産申請をおこない破産手続きの開始決定がなされました。そのため過払い金の回収は極めて困難になっています。
過去にクオークローンやぷらっとなどの消費者金融(現:クラヴィス)と取引があった方は、過払い金が発生している可能性があるのかなー?!
破産してしまうと、過払い金を満額回収することはやっぱりできなくなっちゃうのかなー?
クオークローンは、当時はプロミスの金利帯(~25.5%)と差別化するために、29.2%という極めて高金利での貸付をおこなっていましたので、過払い金の金額も莫大なものになっていました。クラヴィスの破産申請時の負債額は3268億円でしたが、なんとそのうち3219億円が過払い金債務という状況でした。
クラヴィスから過払い金の配当を得る方法は?!
クラヴィスに過払い金債権がある方は、正式な配当手続きをすることで、会社の破産手続きのなかで配当を受けることができます。現在のクラヴィスが公表している配当率は1%未満、配当時期は未定ではありますが、過払い元金の1%でも回収しておきたい、という方は配当手続きを確認しておくことが必要です。
クラヴィスは過去に何度か名前が変わっています。過去には「リッチ」「ぷらっと」「クオークローン」「タンポート」という名前で消費者金融サービスを営んでおり、また「シンコウ」「東和商事」という貸金業の会社を吸収合併しています。
その為、いずれかに該当するサービスで利息制限法の上限金利(20%)を超える金利で返済していた場合には、過払い金が発生している可能性があります。
ただし当記事執筆時点(2015年4月)では、クオークローン以前の消費者金融サービスでの借入は、理論上、ほぼ時効を迎えている計算になります。またクオークローンも、2007年9月に貸金業法の改正を受けて全店舗を閉鎖していますので、この2005~2007年の期間に借入があった方のみ過払い金の対象となります。
クラヴィスは既に破産手続きが裁判所に受理されている状態のため、個別に過払い金を請求することはできません。例え、既に裁判判決や和解で支払いの約束を得ていたとしても、破産してしまった以上は配当の手続き以外で回収する方法はありません。
過払い金債権は、破産手続き上の一般債権として扱われるため、財団債権や優先債権よりも劣後的に扱われます。つまり、破産手続きの関係上では、会社の財産のうちまず財団債権や優先債権が返済され、その後、お金が余った場合、過払い金債権に配当されることになります。
わかりやすくするために、以下の図をご覧ください。
財団債権というのは、例えば破産管財人の報酬や財産の換価処分の際に生じた費用、その他、手続き上の費用が主ですが、他にも破産手続き開始前3カ月以内に発生した雇用人の給与の請求権、租税公課(税金請求権)、裁判費用の予納金、財団管理費、など多くの出費を伴うものもあります。
また優先的破産債権も似ています。雇用や給与に関する請求権、国税や地方税の請求権、共益費用の請求権など、これらの支払いがまず優先されます。その後、残った破産財団を過払い金債権者に、それぞれの過払い金の金額に応じて按分され配当されます。
現時点でクラヴィスが発表している予測配当率は1%です。つまり過払い元金が200万円発生している場合、配当手続きにより2万円は回収できることになります。
公式発表によると、過去にクラヴィス(旧クオークローン等を含む)との取引で過払い金が発生している債権者については、平成26年10月以降から順次、「破産者債権届出書」という書類が裁判所から届く手筈になっています。
破産者債権届出書とは、破産者(この場合はクラヴィス)に対して債権を有している人が、その債権額について裁判所に申告しておくための書類です。この債権届出書をもとに、清算後の配当額が決定されますので、過払い金を回収したい方はこの届出が必要です。
この債権届出書は、クラヴィス側が過去に取引のあった人を対象に、利息引き直し計算をおこない、かつ既に時効が成立しているケースを除外して選定した対象者にあてて送付されています。もし自分が過払い金の対象であるにも関わらず、破産債権届出書が届いていない場合には、クラヴィスの破産管財人室まで連絡が必要です。
※ただし破産債権届出書の裁判所への提出期限は平成26年11月28日です。現在は受理されていない可能性がありますのでご注意ください。また、こちらの破産債権についての裁判所の調査期間は、2015年4月13日以降の予定です。
クラヴィスの公式リリース 「破産債権届出書の発送について」
クラヴィスへの過払い金をプロミスに請求できる可能性は?!
一般的には、単なる債権譲渡のケースであれば、クラヴィスの過払い金をプロミスに請求できる可能性は低いです。
クラヴィスは、クオークローン時代の平成19年6月から10月にかけて、事業縮小のために貸付債権の一部をプロミスに譲渡しています。クラヴィスの債権者説明会資料によると、このプロミスに債権譲渡されたケースは7万2000件に上るようです。
クラヴィスの貸付債権がプロミスに譲渡された場合、「過払い金請求」の債務についても一緒に譲渡先に継承されるのか?という問題は、法律的にも長年、議論がされてきました。類似の例としては、マルフク、タイヘイの過払い金はCFJに請求できるか?という問題があります。
この債権譲渡のケースについては、平成24年6月29日の最高裁判決により、過払い金債務については継承されないという判例が出たことでクオークローンで発生していた過払い金を一連計算してプロミスに請求することはできなくなりました。
そのため債権譲渡の場合は、基本的には一連計算してプロミスに継承分(クオークローン時代の過払い金)を請求することはできません。ただし、クオークローン時代に既に過払いが発生していた場合は、プロミスへの返済額はそもそも全て支払う必要のなかったお金になりますので、その分(プロミスに対して過剰返済した分)は過払い請求が可能です。
一方、プロミスと正式に契約を結び直したケース(「契約切り替え」)では、過払い金請求ができる可能性があります。こちらに該当するケースは、クラヴィス債権者説明会資料では合計11万5000件になるようです。
この切り替えのケースでは、最高裁平成23年9月30日の判決で「クオークローンからプロミスへの過払い金の継承を認める」という判決がされました。これはつまり、プロミスへの返済分だけでなく、クオークローンに対して発生していた過払い金についても一連計算してプロミスに請求できる、という事案になります。
ただしこの契約切り替えによる過払い金の継承(債務継承)を主張するためには、そのための証拠書類等(クラヴィスの取引履歴など)の準備が必要です。一部には現在、入手困難な書類等も含まれる可能性があるため、この辺りは弁護士先生との打ち合わせや相談が必要になるでしょう。
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