連帯保証人が過払い金の返還を請求できるケース
実際には利息制限法に基づく引き直し計算をおこなうと債務が存在していないにも関わらず、その債務を連帯保証人が引き受けてしまい、保証人として代わりに返済をおこなってしまった場合、この返済額はまるまる過払い金として返還請求が可能です。
連帯保証人でも過払い金の返還請求ができるケースがあるって聞いたんだけどっ、これって本当なのーっ?!
債務者Aさんは利息制限法の上限を超える金利29.2%で3年間借金の返済をおこなっていたんだけど、ある日、支払いの返済が困難になってしまい、保証人Bさんに残債務100万円の支払い請求が回ってしまったとする。
その場合だと保証人Bさんが残債務を支払う必要があるってことだよねー。
- 連帯保証人や保証人でも自身が払った分の過払い金返還請求は可能
- 連帯保証人の支払い分を、債務者本人が過払い金請求する事はできない
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保証人や連帯保証人でも過払い金請求は可能なの?!
利息制限法を超える金利での返済をおこなっていた場合、それが元の債務者でも保証人でも関係なく、払いすぎた利息分については過払い金を請求することができます。
保証人に一括返済の請求がきた場合でも、その請求金額が誤ったもの(無効な金利に基づいて計算された債務)である場合には、法定金利での引き直し計算をおこなった上で差額を過払い金として返還請求できます。
連帯保証人や保証人が過払い金請求できるケースには、2つのパターンがあります。 保証人とは元の債務者が支払い不能になったときに、はじめて請求を受けるわけですが、このときに以下の2つの場合が考えられるからです。
(2)債務者が支払い不能になり、その後、保証人が代わりに弁済し始めてから過払い金が発生したケース
(1)の場合は、債務者と保証人の2人ともが過払い金返還請求をすることができます。一方、(2)の場合には、保証人だけが過払い金返還請求をすることができます。元々の債務者は過払い金請求をすることができません。
下の図が、(1)の債務者と保証人の両方が過払い金返還請求が可能な例です。保証人へ請求が回った時点で、既に実は債務者にも過払い金が発生しているケースです。
例えば、債務者さんが生活破綻して返済不能な状態に陥った時点では、額面上の残債務が50万円あり、この残債務50万円は保証人が肩代わりして返済したとします。
このときに、もし債務者が返済不能になった時点で、既に法定利息(上限金利20%)で再計算すると、20万円の過払い金が発生していたとします。この場合、債務者の方が20万円、保証人の方が50万円をそれぞれ過払い金として請求することができます。
一方で、こちらの図が(2)の保証人のみが過払い金返還請求が可能な例です。保証人への請求時点では、まだ計算上も債務が残っているため、債務者に過払い金は発生しません。
例えば、債務者さんが残債務50万円で返済不能に陥り、代わりに保証人が50万円の債務を肩代わりして返済を開始したとします。その後、20万円返済した時点で、実は法定金利で再計算した理論上の残債務が0円になっていたものの、それを知らずに残り30万円(合計50万円)を完済したとしましょう。
この場合、保証人は払う必要のない30万円を余分に支払ったことになるため、保証人のみ不当利得返還請求権に基づき、30万円の過払い請求が可能です。このケースでは、元の債務者は、特に余分な金利は支払っていませんので、取り戻せる過払い金は1円もありません。
連帯保証人の過払い金を、債務者が代わりに請求できる?!
では、連帯保証人が返済した借金で過払い金が発生している場合に、これに気付いた債務者が、保証人の代わりに過払い金返還請求をすることはできるのでしょうか?
これは結論からいうと、原則として不可能です。過払い金返還請求(不当利得返還請求)が可能なのは、本人のみです。例え契約上の債務者であったとしても、自分が返済していない分の金額について、過払い金請求を勝手にすることはできません。
この場合は、やはり保証人に連絡をとって、保証人の方から過払い金返還請求をしてもらう必要があります。
上記のケースとは逆に、連帯保証人が自分の支払い分について過払い金が発生していることに気付いた場合に、(債務者に連絡が取れないなどの都合で)債務者の許可等なしに、保証人だけで過払い金返還請求をすることは可能なのでしょうか?
こちらは保証人が実際に自分で支払った金額分のうち、過払い金と認められる部分については保証人だけで返還請求をすることが可能です。ただし、保証人が代わりに支払ったことを証明できる明細書などの証拠が必要になる場合があります。
特に、前述の(1)のケースのように、債務者と保証人との両方が過払い金請求が可能な場合に、どちらか片方だけが請求を申立てると、貸金業者側が「保証人(あるいは債務者)とも連絡が取れないと、過払い金の返還ができません」と主張される可能性があります。
こちらは1人だけでも、法律上は問題なく請求が可能なはずなので、弁護士の先生などに相談されてみるといいでしょう。
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