過払い金請求返還の訴状の書き方とテンプレート(雛型)
過払い金返還請求で訴状を検討する場合には、当サイトでは基本的には弁護士や司法書士への依頼をおすすめしています。しかし、どうしても自分で過払い金訴訟をしたいという方のために、訴状の書き方について解説します。
過払い金請求の訴訟に必要な書類って?!
自分で過払い金返還請求の訴訟をする場合には、以下の書類を準備する必要があります。主に訴状と、証拠となる証書数枚(甲第1号証、甲第2号証などと呼ばれます)になります。
- 訴状 ×3通 (正本は印紙必要)
- 利息制限法に基づく法定金利計算書 ×3通
- 取引履歴書 ×3通
- 過払い金返還請求書 ×3通
- 商業登記簿・代表者事項証明 ×2通
訴状と証拠書類(金利計算書、過払い金請求書、取引履歴書の3点)はそれぞれ3セット用意する必要があります。1つは裁判所用の正本、1つは被告用の副本、1つは原告用の控えになります。訴訟はネット上でも配布されているようなテンプレートをA4サイズの用紙でコピー・印刷すれば大丈夫です。
過払い金請求の訴状はいくつかフォーマットが弁護士会等のサイトで配布されていますので、それらのサイトから探すことでダウンロード可能です。ここでは名古屋消費者信用問題研究会様の書式資料(こちら)を紹介しておきます。
書式一覧ページ:http://kabarai.net/format/index.html
上記リンクから「訴状」という項目を探してください。直接、印刷して手書きで記載される場合はPDF形式、記入して編集してから印刷される場合はWord形式でダウンロードすると良いでしょう。
訴状の書き方ですが、訴状に書く見出しの項目は実はたった2つしかありません。「請求の趣旨」と「請求の原因」です。請求の趣旨とは、要は何を目的として訴訟を提起するのか、という概要を端的に示すものです。大体の場合、以下のように記述します。
1.被告は原告に対し、金 ○○ 円及び内金 ○○ 円に対する ○年○月○日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2.訴訟費用は被告の負担とする。との判決ならびに仮執行宣言を求める。
また「請求の原因」には、過払い金請求が発生した理由について書きます。過払い金請求は、膨大な件数が毎年訴訟提起されている案件なので、こちらの請求の原因もほぼテンプレートで対応可能です。 詳しくは上記の雛型にほぼ最初から入力してありますので、細かい部分をカスタマイズしながら記入を進めてください。
また最後の証拠方法という項目では、添付する証拠書類の一覧を示します。証拠書類は「取引履歴照合表」「法定金利計算書」「内容証明郵便(過払い金返還請求通知書)」の3つを証書として準備すれば大丈夫です。それぞれを「甲第○号証 ○○○ (原告/被告作成)」 のかたちで記述します。
1.甲第1号証 利息制限法に基づく法定金利計算書(原告作成)
2.甲第2号証 取引履歴書(被告作成)
3.甲第3号証 過払い金請求書(内容証明郵便)
またそれぞれの証拠書類の右上に赤字で「甲第1号証」「甲第2号証」などと記載してください。証拠書類も3セット必要(うち2セット提出、1セット控え)で、1つは裁判所用、1つは相手方の被告用、となります。
訴状提出の2通のうち1通は裁判所用(正本)、1通は被告用(副本)となりますが、このうち正本には収入印紙が必要になります。この印紙は、裁判所または郵便局で購入ができます。購入したら以下のように訴状の左上の部分に貼り付けます。
収入印紙は訴訟提起の申立手数料にあたるものです。購入代金は、訴額(過払い金請求をしたい金額)によって変わってきますので、詳しくは裁判所の「手数料額早見表」の訴えの提起の欄を確認してください。
手数料額が100万円を超える場合は現金で納付することもできますが、個人の過払い金請求でそのようなケースは(訴額が1億円を超えたりしない限り)まずありません。訴額が100万円の場合は印紙代は1万円、訴額が200万円の場合は印紙代は1万5千円です。
証拠書類ってどうやって用意・準備すればいいの?!
さて訴状の準備ができたら、添付する証拠書類と、必要書類(商業登記簿)を用意します。ここでは既に、書面(内容証明郵便)での貸金業者への過払い金請求通知の送付が完了していて、交渉が決裂した場合を想定しているため、過払い金請求通知書は手元にあるものとして進めます。
まず取引履歴書については、相手方の貸金業者側に請求して作成して貰う必要があります。取引履歴の開示請求の方法についてはこちらの記事を参考にしてください。
取引履歴の保存と開示は、貸金業者に義務付けられています。最近では個人で取引履歴の開示を請求しても、拒まれることはあまりありませんが、業者によっては対応が遅く時間を引き延ばされることがあります。何度も請求することが重要です。
これは利息引き直し計算書のことです。「過払い金がいくら発生しているのか」を確認するための計算書類のことで、(1)で業者側から開示された取引履歴をもとに正確な過払い額を算出します。
こちらの正確な利息引き直し計算がおそらく個人では一番大変なのではないかと思いますが、最近は便利な計算シートなども多いのでエクセル等があれば比較的、簡単に計算してみることが可能です。(利息引き直し計算のフリーソフト)
商業登記簿は、訴訟の対象となる貸金業者の本店所在地や法人名、代表者名などを記載した書類のことで、被告となる貸金業者が本当に実在することを証明するために提出が必要な書類になります。
商業登記簿を提出するためには、貸金業者の本社所在地の法務局から取り寄せる必要がありますが、その際にサラ金の本社や本店所在地を調べなくてはなりません。大抵の場合はホームページや基本契約書に記載がありますが、見つからない場合は金融庁データベースで探してください。
上は試しに金融庁の登録貸金業者情報検索で「アコム」を検索してみた結果ですが、このように金融庁登録の貸金業者であれば、本店の所在地がわかります。
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