借金の時効は何年?時効の援用って何なの?
ここまでにも借金の時効についての話はたびたび紹介してきました。例えば、「過払い金請求の完済後の消滅時効や起算点はいつ?」や「夜逃げで借金は解決する?借金の時効と中断について」でも時効について軽く説明してきました。今回は復習も兼ねて、もう一度詳しく借金の時効の仕組みについておさらいしておきましょう。
結局のところ、借金の時効って何年で成立するのーっ?つまり、何年経過すれば借金は返さなくてもよくなるのかなーっ?!
借金の時効は、ただ5年経過すれば成立するわけではありません。その間に借金の返済を1度も(1円も)行っていないことや、時効の中断がされていないことなどが要件として必要になりますが、ここが現実問題としてはなかなか難しくなってきます。
時効成立の条件には以下のようなものがあります。
- 時効までの期間経過中に一度も借金の返済がされていないこと
- 時効の中断がされていないこと
まず借金を一度でも(1円でも)返済していると、これは法律上、「債務の承認」といって債務が存在することを認めることになりますので時効は成立しなくなります。この点は、時効を考えている方であれば意識しているでしょうからあまり問題ないかもしれません。
もう1つが現実的には難しいのですが、「時効の中断がされていないこと」というのが1つのポイントになります。では時効の中断とはどういう意味なのでしょうか?
消費者金融などの貸金業者が、返済が滞った債務者について裁判を起こす(支払い督促の申立てを行う)ことができます。簡単にいうと、裁判所を通じて公的な手続きとして支払いを請求する方法のことです。
この手続きがされると、時効のカウントダウンはいったん中断してしまいます。つまり何年待っても時効は成立しないことになります。さらに支払い督促の受領後の2週間以内に異議申立てがなければ、消費者金融は「差押えの強制執行」が可能になります。
こちらについては、過去の「借金の強制執行で給与が差押えられる?」を参考にしてください。
裁判所の公的な手続きである「支払い督促」と稀に誤解されることがありますが、内容証明郵便などでおこなわれる通常の「督促」(「警告」などと表記されているものも含めて)では時効は中断しません。
時効の中断の要件となる「支払い督促」は、裁判所から債務者に宛てて直接送付されるものをいいます。消費者金融など貸金業者から直接、送られてくる督促で時効では時効は中断しない(1度目のみ6カ月時効が「停止」しますが、その間に裁判所に提訴されなければそのまま時効が進行します)のです。
時効というのは、ただ時効の日を迎えると自動的に成立するようなものではなく、「時効の効力による債権消滅」を貸主側に主張することで、はじめて成立します。このことを時効の援用といいます。
時効の援用は裁判において主張することもできますし、裁判外で主張するうことも可能です。
時効が5年というのはあくまで「商行為によって発生した債権」の消滅時効の話です。商行為ではない個人的な金銭の貸し借りで生じた債権の消滅時効は10年になりますので注意が必要です。