今回の登場人物中岡 寛太さん(仮名)

1972年生まれの45歳。 不動産会社に勤務。父親の事業破産により、連帯保証人として1000万円の借金を背負い、その他、住宅ローンや消費者金融などの借金、合計3000万円を抱えて、2014年に自己破産。

信用保証協会で1000万円の借金を背負う

ある日、突然、父親の破産により父親の事業の借金1000万円を代わりに背負うことになってしまった寛太さん。家計が苦しくなり、奥さんとも離婚になってしまいます。債務整理を検討するまでの過程を伺ってみました。

はじめまして。
インタビューアのノキ太と申します。
今日はよろしくお願いします。
どうも。
よろしくお願いしますわ。
寛太さんは、合計3000万円の借金を抱えて自己破産されたと聞いています。
まずは借金の内訳を教えていただけますか?
はい、
信用保証協会に1100万円の借金があり、その他に住宅ローンが1800万円、
あとクレジットカードや消費者金融の借金が40万円です。
なるほど。
それで2014年に自己破産されたんですね。
ぜひ詳しい経緯をお聞かせください。

父親の事業の失敗で1100万円の借金が

寛太さんは
普段はどういうお仕事をされてるんですか?
あ、普段は
不動産会社に勤務してます。
営業職のサラリーマンですわ。
なるほど。
ご家族はいらっしゃいますか?
はい、
子供が2人います。
ただ元妻とは2013年に離婚しました。
子供は2人とも妻が引き取ったので、現在は独り身です。
なるほど。
一見、派手な生活をしているようにも見受けられませんが、一体どういう経緯で1000万円以上もの借金を抱えられたのですか?
それが、実は…
父親が小さな工場を営んでいたんですが、2010年に倒産してしまいまして…
なるほど。
お父様の借金ですか。
はい、そうなんですわ。
父親は銀行から事業資金を借入ており、信用保証協会の保証が付いていました。
私はその連帯保証人になってまして…。
なるほど。
それはお気の毒です。
最近ちょうど、事業と関係のない第三者を連帯保証人にとることの是非が問題になってますよね。
※ 信用保証協会は、金融庁からの通知により2006年3月からは、事業と関係のない第三者を連帯保証人に取るのをやめています。また平成23年7月以降は、他の金融機関についても原則として第三者保証人の禁止が通知されています。
はい、
当時は、融資が受けれないと会社が潰れてしまうということで、父親に頼まれて仕方なく判を押しました。
まさかそれがこんなことになるとは…。
うーん、
なるほど。
父親はそのまま、会社をたたんで自身も自己破産してしもて。
それで保証人の私に、信用保証協会から全額の請求が来るようになってしもったんです。

信用保証協会の借金の返済協議

父親が自己破産して免責されたからといって、保証人の私の支払義務がなくなるわけではないんですわ。

それで、信用保証協会から手紙が届いたり、電話がかかってくるようになったんですわ。

なるほど。
法律上は、連帯保証人も主たる債務者も全く同じ支払義務を負いますもんね。
あー、そうなんです。
当時も私は普通のサラリーマンでしたので、そんな1200万円もの借金を急に支払えるはずもなく…
そりゃそうだ。
それで、信用保証協会の担当者の人とも話し合いをさせてもうて、月7万円ずつ分割払いをするという約束で、あらためて債務承認書にサインを交わすことになったんですわ
月7万円の返済ですか…。
なかなかの高額返済ですね。
もう少し低い金額には
ならなかったのですか?

信用保証協会の借金は、
人によっては月数千円~数万円の返済で済んでいるケースもあるみたいですが…。

私の場合は、
10年以内には求償金元本を全額返済して貰わないとダメだと言われました。

遅延損害金の分もあるんで、最低でも月7万円は返済して貰わんと、債務が全然減らんから、と言われて。

そうなんですね。
それに、返済ができない場合、
最悪、住宅に仮差押えが入るかもしれないとも言われました。
それで焦ってしもうて。

月7万円なら頑張れば返済できるやろうと思いました。

あ、
住宅(家)もお持ちだったんですね。
はい、32歳のときに
住宅ローンを組んで購入した物件です。

当時はまだ住宅ローンも返済してました。

そうなんですか…。
住宅ローンの返済とあわせて月7万円を信用保証協会に返すというのはかなり大変ですね。
ええ、
うちも家計に余裕があるわけではないので、正直、今後1200万円もの借金を返して行かないけんのかと思うと暗ーい気持ちになりました。

なんで
私が借りたわけでもない借金を、人生をかけて返済せなあかんのやと思いましたね。

その後、奥さんとも揉めて離婚

その当時、寛太さんの収入はどのくらいだったのですか?
あー、それが
当時は年収600万円くらいだったんですが、運の悪いことに、ちょうど諸事情で転職することになってしまい..、

年収が430万円まで下がってしまったんです。

なるほど…。
住宅ローンの返済もあったので、当時はそりゃ大変でした。

まだ娘は2人とも小学生だったので、学資保険も貯めにゃいかんし、塾にも行かせにゃいかんし…、

そうですよね…。
当時の家計の収支は一応プラスだったんですか?
それとも、既にマイナスで債務超過の状態だったんですかね?
あー、正直、
当時の家計のやりくりは全部、妻に丸投げしてたんで…。
私はようわからんです。

ただ妻が家計のやりくりでいっつもイライラしてたんは覚えてます。

なるほど。
美容院にも頻繁に行けんくなったとか、ママ友の付き合いもあるのに服も買えんとか。

そもそもアンタが連帯保証人になんかなるから、とか。
よく愚痴をこぼしてましたわ。

なるほど、
それで家庭の雰囲気も険悪になっていったんですか。
それに妻は私には内緒で、生活費のために、クレジットカードを使ったり、ときどきキャッシングしたりもしとったみたいですね。
後でわかったことなんですけど。
どれくらいの赤字だとか、
お金のことについては、あまり話し会いはされてなかったんですか?
はい。
正直、私が話し合いを避けてましたね。

私も転職したばっかりで、新しい職場がなかなかブラックな環境やったんで…。

終電ギリギリまでの残業は当たり前で、毎日家に帰ったらヘトヘトでした。
とてもその後、お金のやり繰りについて妻と話し合う気分やなかったんです。

なるほど。
いま思うと負い目もあったんやと思います。
妻はもともと父親のこともよく思ってなかったですから。

父親のせいで借金を背負うことになって、しかも私が転職したせいで年収まで下がって…、

妻がお金のやり繰りのことを心配してるんを見ると、なんや私が責められてるみたいな気分になって。

ともかく、
当時の嫁との仲は最悪でしたわ。

うーん、なかなか
難しい問題ですよね。
ある時、いつものように、
この収入じゃやり繰りできん、どうすればいいか、一緒に考えろって言われて….、

その時のやり取りで私がつい嫁にキレてしもうたんです。

といいますと?
私は子供の塾は諦めればいいやろうとか、学資保険をもう少し安いプランにしろとか、言うたんですけど、嫁がそれは絶対嫌やっていうんです。

「じゃあ、どうしようもないやないか」って言ったら、溜息ついて、
アンタが保証人なんかになるからや、とか、なんで転職なんかしたんやとか…。

家計をやり繰りする私の身にもなってくれ、とかねちねち言われて。

それでつい
怒ってしまったんですね
あー、そうです。
そこまで言うなら自分でも稼げや、お前もパートにでも出ればいいやろといってキレてしまいました。

今まで家事も育児も家計のことも全部妻に押し付けといて、終いには、お金が足りんならお前も働けですから、そりゃ怒るにきまってます。

なるほど…。
それで決定的に喧嘩になって、妻は子供2人と出ていったんで、そっから別居生活になりました。

結局、その後もいろいろあって、妻とは、別れることになりました。