今回の登場人物白浜 玲子さん(仮名)

1986年生まれの31歳。 某出版社に正社員として勤務。 東京都小金井市在住、年収400万円。
ピーク時は、銀行カードローン・クレジットカードなど合計260万円の借金を抱え、2014年2月に任意整理。 現在、返済中~。

私が任意整理することに決めた理由

友達付き合いや見栄から、高級ブランドの靴やバッグの購入、化粧品などの浪費を繰り返し、20代後半で260万円の借金を作ってしまった白浜さん。まずは白浜さんが借金を作るまでの経緯を聞いていきます。

ピーク時の借金360万円の内訳

ピーク時で360万円もの借金を抱えたとのことですが、その大体の内訳を教えて貰ってもいいですか?
えーっと、クレジットカードが160万円くらい、銀行カードローンが90万円くらい、消費者金融が20万円くらい、です。

それとは別に、実は親にも110万円の借金があります。

あ、そうなんですね。
実は…26歳のときにも、1度、どうにも返済できなくなって泣きついたことがあるんです。

そのときは、110万円ほどの借金を立て替えて貰ったんですけど…。
めちゃくちゃ怒られました(笑

うん、
そりゃそうですよね(笑
父親は公務員ですが、決して実家も裕福なわけではないので…、

月2万円ずつ返済する、という約束で借りて、それは今も返済しています

なるほど。

でも、それに懲りずにまた借金が膨らんでしまった、ということですか?

そうなんです。
さすがにもう親には相談できないので…
ふむふむ。

それで、カード会社、銀行カードローン、消費者金融で合計260万円の借金をさらに重ねてしまったと。

月々の返済額はどのくらいだったんですか?

ピーク時で月8万円くらいです。

返済のために、毎月空いた分の枠から新規で2~3万円借りる、という生活が続いていました。

リボ払いの恐怖!返済額が低いこと

借金が200万円になるまですぐには債務整理には踏み切らなかったんですね。
そうですね。
リボ払いで最低返済額に設定してたんですけど…、

リボ払いの返済額はすごく安いので、月々の支払い自体はできてしまうんです。

なるほど。
借金残高は減らないのに、月々の支払いはできるから、何となくそのままにしてしまって…

それで気付けば、借金が200万円以上に膨らんでしまいました。

リボ払いの支払額ってそんなに低く設定できるんですか。
そうですね。

大体、どこで借りても100万円借りたくらいだと、月々の返済額は2~3万円で済むと思います。

※ 例)とある銀行カードローンのリボ返済額

借入残高 毎月の最低返済額
1円~10万円以下 2,000円
10万円超~20万円以下 4,000円
20万円超~30万円以下 6,000円
30万円超~40万円以下 8,000円
40万円超~50万円以下 10,000円
50万円超~60万円以下 12,000円
60万円超~70万円以下 14,00円
70万円超~80万円以下 16,000円
80万円超~90万円以下 18,000円
90万円超~100万円以下 20,000円
100万円超~110万円以下 22,000円
110万円超~120万円以下 24,000円
120万円超~130万円以下 26,000円
130万円超~140万円以下 28,000円
140万円超~150万円以下 30,000円
150万円超~160万円以下 32,000円
160万円超~170万円以下 34,000円
170万円超~180万円以下 36,000円
180万円超~190万円以下 38,000円
190万円超~200万円以下 40,000円
200万円超~210万円以下 42,000円

 

なるほど。

でもクレジットカードや銀行カードローンの金利って年利15%くらいしますよね。

借金が200万円もあると、金利だけで毎月、結構な金額になるんじゃないですか?

そうですね。
当時は、支払額の半分くらいは利息だったかもしれないです。

利息をいくら支払ってるかとか、あんまりよくわかってなかったんですけど…。

正直いって、あまり気にしないようにしてました。

ついに返済を滞納するようになって債務整理を決意

すると…、
債務整理を決意されたのは何がキッカケだったんですか?
えーっと、
それは新規で借りれるところが無くなってきて…、

月々のカードの支払額を滞納するようになってしまったからです。

なるほど。

何年もずっと、滞納をせずにやり繰りしていたのが、ついに限界にきたということですね?

もう既に持っているカードは全部、天井まで借りていたので…。

今までは、そのたびに新しいクレジットカードを契約したりしてたんですけど、

ついに新規カードの審査でキャッシング枠が付かなくなってしまって。

なるほど。
「総量規制」などの関係で、これ以上は借りれなくなってしまったんですね。
総量規制とは

総量規制とは、貸金業法で定められた「年収の3分の1までしか貸してはいけない」というルールのことで、消費者金融とクレジットカード会社のキャッシングに対して適用されます(ショッピング枠と銀行カードローンは対象外です)。白浜さんの場合は年収400万円なので、総量規制による限度額は133万円までになります。

それで、自転車操業が続けらなくなったわけですか…。

それがいつ頃ですか?

2014年2月頃だったと思います。

滞納によって電話やハガキで督促が!

滞納したことで、厳しい取り立てとかはあったんですか?
いえ…、
ただ自宅に督促のハガキが届いたり、カード会社から頻繁に電話がかかってくるようになりました。

来月には支払うので待ってほしいと伝えました

電話に出るのはストレスではなかったですか?
携帯が鳴るたびにドキっとしました。

放置して無視したいとも思いましたが…、

携帯に連絡が付かないと、職場に電話がかかってくるかも、と思ったので、電話には出ていました。

なるほど。
職場に電話かかってきたらヤバいですもんね。
そうですね。
ただ「待ってください」と言ったはいいものの、来月も支払える筈ないのはわかっていたので…。

それで債務整理することを決めました。

「債務整理」という選択肢があることは、そのとき知ったんですか?
いえ、
一応、債務整理のことは知っていました。

でも債務整理をしたら、信用情報でブラック扱いになってクレジットカードが使えなくなる、と聞いたのでずっと躊躇してたんです。

なるほど。
やはり、そこを気にする方が多いんですね。
でもどっちみち、支払いを2カ月延滞したら信用情報ブラックになる、と知ったので。

もうこれ以上、自転車操業を続けるのも無理でしたし…、「任意整理」なら職場にもバレないって聞いたので。

泥沼に嵌る前に、ここで債務整理しよう、と決意しました。

破産ではなく「任意整理」を選んだ理由

債務整理といっても、色々あると思いますが、「任意整理」にしようと決めたのは、なぜですか?
えーっと…、
1つは、親に絶対にバレたくなかったからです。

自己破産だと、親からの借金も破産手続きに含めないとダメだと思います。

なるほど。
たしかに微妙なところですね。

任意整理ならどの債権者を対象にするかは自分で選べますからね。

はい、
それに万が一にも、職場にバレるのも困ると思いました。

自己破産だと、官報に載る可能性があると調べて知ったので…。
ちょっと不安でした。

なるほど。
あと私の場合、借金の理由がほとんど買い物とか浪費なので、相談した弁護士さんに「破産だと免責不許可事由になるかもしれない」と言われたのもあります。

免責不許可事由っていうのは、破産法で定められた「借金が免責されないケース」のことですね。

はい、
免責不許可事由があると、借金が帳消しにならない可能性がある、と言われました。
※補足
免責不許可事由とは、破産手続きをしても借金が免責にならない可能性のある事由のことです。具体的には、以下のような行為がある場合に、問題となります。
主な自己破産の免責不許可事由

  • 財産を隠したり破産前に財産を減らした場合
  • 自己破産の直前に、義務のない返済した場合
  • 自己破産する予定を隠してお金を借りた場合
  • 裁判所に虚偽の債権者一覧表を提出した場合
  • 借金をギャンブルや浪費・投機で作った場合
  • 裁判所や破産管財人の手続きに協力した場合
  • 過去7年以内に自己破産したことがある場合
ただ、免責不許可事由がある場合でも、実際には、裁量免責になることも多いと聞きます。

つまり、キチンと反省して生活を改善していれば、裁判官の判断で免責にして貰える場合が多いと思います。

はい、それも聞きました。

ただし自己破産になると弁護士さんだけでなく、裁判所にもお金を払わないといけないので、費用もかなり高額になるので。

あ、なるほど。
私のように免責不許可事由がある場合は、破産手続きをするにしても、「同時廃止」ではなく「少額管財」になるんだそうです。

そうすると、破産費用が高くなるみたいで。

少額管財とは

破産手続きには「同時廃止」と「少額管財」の2種類があります。免責について何の問題もなく、また債権者に配当するような目ぼしい財産が何もない場合は、「同時廃止」となり、裁判所に納める手続き費用は1万円で済みます。一方、免責についてトラブルがあったり、配当する財産を持っている場合は、「少額管財」になります。

少額管財になると、調査のために破産管財人が選任されますからね。

そのための費用が必要になるので、弁護士費用とは別に、最低20万円以上の予納金が必要になりますね。

そうなんです。
なるほど。
では一般的にいうと、自己破産と比べた場合の任意整理のメリットは、

1.家族や職場にバレる可能性が低い
2.家や車、財産を処分する必要がない
3.費用が安め

などの点がありますが、白浜さんの場合も、そういった理由があったんですね。

そうですね…。
あと、これはあんまり、言うのもどうかと思うんですけど…、

任意整理なら、ブランドバッグとか時計とかを処分しなくていい、というのも嬉しかったです。

そんな理由も…(笑
あとは、イメージ的に自己破産が嫌だった、というのもあります。

なんか、人生の失敗者の烙印を押されてしまうみたいで…。

一応、安定した仕事に就いてるので返せる分は返したい、と思いました。

なるほど。
気持ちの問題も大事ですよね。