一度も借金を返済せずに任意整理をすると詐欺になる?!

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多重債務者で借金の返済に追われている人のなかには、A社からの借金をB社かりて返済し、B社の借金をC社から借りて返済する、というようにその場凌ぎで借金をして返済に充てる方も少なくありません。(自転車操業や「まわし」ともいいます)

このようなケースだと、任意整理をするタイミングによっては、一度も借金の返済をしていない業者も出てくるかもしれません。しかし一度も返済していない業者を債務整理するのは、実は非常に難しいので注意が必要です。

一度も返済しない借金を任意整理するのは詐欺?!
ねえねえ、先生ー!
借金を一度も返済しないまま、その業者の借金を任意整理することはできるのー?!
うーん、一度も返済していない業者は任意整理できない、という取り決めはないんだけど・・・、道理的に考えると難しいよね。任意整理では相手方との和解が必要だけど、一度も返済していないのに相手業者が和解に応じる可能性はかなり低いね。
そうなんだー、
和解の見込みがないとなると、弁護士の先生にも受任を断られるケースも多そうだね。
そうだね。一度も借金を返済していないとなると、任意整理以外の個人再生や自己破産も正直難しいからね。自己破産の場合、相手方から異議申立てを受けるだけでなく、最悪の場合、詐欺罪で告訴されるケースも考えられる。

 
一度も返済していない借金を債務整理することは容易ではありません。 任意整理であれば和解が難しいですし、個人再生や自己破産でも債権者から異議申し立てがなされたり、詐害行為と認定される可能性もあります。

任意整理の場合は、弁護士の受任が得られない?!

一度も借金を返済していない状態で任意整理を弁護士に依頼しても、受任を断られる可能性が高いと思います。というのも、相手方の債権者が納得するはずがなく、和解できる見込みが著しく低いからです。

弁護士の方の報酬は、前払いによる着手金だけでなく、和解が成功した後の成功報酬や、借金の減額に成功した場合の減額報酬などの後払いの報酬を受け取ることではじめて売上になります。そのため、和解の見込みが極端に低い任意整理案件だと、弁護士にとってもあまり受任のメリットがなくなってしまいます。

弁護士の受任拒否の自由
弁護士は、事件を受任するかどうかは完全に自由で受任義務はありません。これは医者や司法書士、行政書士にはない特殊な資格です。 司法書士は司法書士法12条で、行政書士が行政書士法11条で、医者は医師法19条で受任義務が定められているからです(ただし、拒否する正当な事由がある場合は除く)

 
任意整理は法律的な根拠は何もない任意での交渉ですから、相手側の債権者もメリットがないと判断すれば応じる義務はありません。一度も返済して貰っていない借金を、減額しろ!と言われるのは、債権者にとっては非常に心外でしょう。

 

一度も返済していない借金は自己破産、個人再生ができない

任意整理であれば、単に貸金業者側は和解を拒否すればいいだけです。しかし個人再生や自己破産といった裁判所を経由する債務整理手続きの場合は、放っておくとそのまま破産手続きや再生手続きが成立してしまいかねません。

そのため、借金を一度も返済していない状態で、個人再生や自己破産手続きを申立てても、債権者側は裁判所に「異議申立て」をおこなってくる可能性が高いです。

債権者の異議申し立て
個人再生や自己破産では、債権者は異議申立てをおこなうことで手続きを無効にするよう訴えることができます。個人再生では、議決権者の総数の半数以上、または議決権金額の半分以上を有する議決権者の反対があれば再生計画案の許可が降りません。自己破産の場合は、免責に対して異議申立てや即時抗告がなされます。

 
個人再生であれば、異議申し立てにより再生計画が不許可になる場合がありますし、自己破産にしても異議申立てが斟酌されれば、免責不許可になる可能性があります。いずれにしても、一度も借金を返済しないまま債務整理をする、という行為は、法律上、著しく不利な立場にたたされてしまいます

借金を一度も返済せずに債務整理をするのは詐害行為?!

例えば自己破産の場合は、返済できないことがわかっている状態で借金をする行為は「詐害行為」(詐欺行為)として免責不許可事由に該当します。つまり、はじめから自己破産をするつもりでお金を借りたことがわかってしまうと、免責許可が降りないということです。

本件に関する自己破産の詐害行為には以下のようなものがあります。

  • 返済できないことを理解っていて借金をする行為
  • 自己破産の費用を調達するための借金
  • 近くに自己破産をすることがわかってる状態での借金

 
ここでポイントになるのは、「返済する意思があって借金をしたのか」それとも「最初から踏み倒すつもりで借金をしたのか」という部分ですが、本音でどう思っていたのか、という心理的な話になってしまうと証明が難しくなります。

そのため、態度や行動、すなわち実際に過去に返済を行っていたかどうか、で判断されてしまうことが多く、一度も過去に返済をしていないということになると、「返済の意思がない状態で借金をした」と判断されてもおかしくはありません。

最低でも数カ月~半年の返済歴は必要

任意整理にしても、あるいは個人再生や自己破産にしても、「一生懸命、返済のための努力をしたが、返済できなかった」という事実関係がある程度必要です。そうでなければ、借りるだけ借りて任意整理や破産により借金を踏み倒そうとする人が続出してしまいます。

基本的にはどのような債務整理を検討するにしても、数カ月~半年の借金の返済歴が必要になる、と考えて置いたほうがいいでしょう。少なくとも、一度も返済をしていない借金を任意整理する行為は、詐欺といわれてもおかしくありません。

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