任意売却で配当表(配分案)を作成する方法

任意売却で不動産の買受人が見つかり、買付証明書を貰ったら、売却価格をもとに各債権者(抵当権者)への配分表を作成します。配分案には特に決まったフォーマット(書式)があるわけではありませんが、記載する項目は概ね以下のようになります。

任意売却の配当表(配分案)の書式例

任意売却の配当表の例

(担保物件)
土地 ○○○市 ○○区 ○○番地
 地目 宅地
 地積 ○○○○平方メートル
建物 ○○○市 ○○区 ○○番地
 建物の名称 ○○○ハイツ
 家屋番号 ○○○○○
 床面積 ○○○平方メートル

(売却代金)
売却予定価格  ○○○○○○○○円
 鑑定価格 ○○○○○○○○円  

(費用控除)
諸費用  ××××××××円

[内訳]
 仲介手数料    ×××××××円 (3%)
 破産財団組入金  ×××××××円 (3%)
 司法書士手数料  ×××××円
 固定資産税生産額 ×××××××円
 マンション管理費滞納分 ×××××円
不動産鑑定費用  ×××××××円

(配当原資) ○○○○○○○円

[配分案]
担保権
 第1順位 らくだ銀行 債権額 ×××円 配分額 ×××円
 第2順位 かもめ銀行 債権額 ×××円 配分額 ×××円
 第3順位 うさぎ銀行 債権額 ×××円 配分額 ×××円

差押解除料
 ○○○税務署  ×××円

こちらの配当表では、抵当権者を第1順位から並べて記載していますが、第1抵当権者の金融機関に宛てた配当表の作成では、(第2抵当権以降の)後順位抵当権者への配当額をすべて費用控除の項目に担保解除料として記載する場合もあります。

前述のように配当表に特に定まった書式はありませんので、以下の項目が全て盛り込まれていれば、どのような形で記載しても問題ありません。

配当表に記載する項目

  • 売却価格(売却予定価格)
  • 諸費用(仲介手数料、鑑定費用、破産財団組入金、他、滞納金の清算)
  • 後順位抵当権者への配当額、担保解除料、(仮)差押解除料
  • 宛先の債権者への配分金額

 
売却価格が妥当なものかどうかの目安として、競売での売却見込価格や、不動産鑑定士による物件の鑑定価格を記載することもあります。

各抵当権者への配当額はどうやって決めるの?!

各抵当権者への配分額は、基本的には競売と同じように抵当権の順位を基準として行うことになります。当然ながら、第3順位抵当権者よりも第2順位抵当権者、第2順位抵当権者よりも第1順位抵当権者への配当が優先されます。

例えば、第1抵当権者の債権額が1000万円、第2抵当権者が1500万円で、住宅の配当可能額が2000万円の場合は、第1抵当権者に1000万円、第2抵当権者に1000万円の配分をするのが原則です。

任意売却の配当図

ただし任意売却の場合は、すべての抵当権(および差押登記、仮差押登記)の設定者が合意して協力してくれなければ、住宅の売却ができません。すべての登記を抹消してからでなければ、買受人に住宅を引き渡すことができないからです。
そのため、実務上は1円も配分を得ることのできない債権者には、代わりに多少の担保解除料を払って抵当権解除に協力して貰うことになります。

ハンコ代の説明図

任意売却の場合は、競売よりも3割くらい高い値段で売却できるケースが多いため、優先債権者が自分の配分をいくらか譲っても、競売よりは得られる配当額が大きくなります。そのため、無剰余の抵当権者にハンコ代を払ってあげることで、すべての債権者に何らかのメリットがあるかたちで任意売却の配分案を作成します。

配分表の作成では、どの債権者が配分を譲歩するの?

さて、全ての債権者が何らかの配分を得られるよう配当表を作成するわけですが、そのためには優先債権者(第1抵当権者、第2抵当権者など)のうち誰かが自分の取り分を減らして、後順位抵当権者に譲らなければ任意売却が成立しません。

一般的には、以下の条件にあてはまる優先債権者が、自分の配当金のなかから後順位抵当権者への担保解除料を負担して、配分表を作成することになっています。

解除料を負担すべき債権者

  • 任意売却で配当を得ることのできる最後の抵当権者
  • 競売になった場合に配当が得られなくなる、または配当額が減る抵当権者

 
例えば、競売での売却予想価格が2500万円、任意売却での売却予想価格が3000万円だとします。
これに対して、第1抵当権者の債権額が2000万円、第2抵当権者の債権額が1500万円、第3抵当権者の債権額が1000万円だとします。

haitouhyou_kakaku

優先順位 債権額 競売での配当額 任意売却での配当額
第1抵当権者 2000万円 2000万円 2000万円
第2抵当権者 1500万円 500万円 1000万円
第3抵当権者 1000万円 0円 0円

 
この場合、第1抵当権者は、競売であろうと任意売却であろうと、自分の債務は2000万円の満額を回収できます。だからわざわざ自分の配当額を減らして、第3抵当権者に配分してあげる必要性がないわけですね。むしろ第1抵当権者の立場からすると、「私が譲歩して配分するくらいなら、競売にした方がマシじゃないか!」となってしまいます。

一方、第3抵当権者の立場からすると、任意売却であろうと競売であろうと、抵当権の順位では配分を受けることができませんね。そのため、担保解除料が貰えないなら、「別に競売でも構わない。任意売却には協力しない(抵当権は抹消しない)よ!」となってしまいます。

第一抵当権者と第三抵当権者の立場-説明図

それでは、第2抵当権者はどうでしょうか? 第2抵当権者は、任意売却であれば1000万円の配当を受けることができますが、競売になると500万円しか配当を受ける見込みがありませんね。つまり、任意売却で最もメリットが大きいのは第2抵当権者ということになります。

第2抵当権者のメリット説明図

第2抵当権者は、競売よりも任意売却にした方が、500万円多くの経済的な利益を得られるわけですから、その500万円の余裕分から第3抵当権者への担保解除料を負担するのが一番合理的で、全ての債権者にとってWin-Winな取引ということになります。

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