個人再生後に一括返済や繰り上げ返済はできる?

個人再生の開始後に、例えば遺産相続をした、給与や年収が上がったなどの理由で資金に余裕ができた場合、再生計画の途中でも残りの借金を一括で支払ったり、繰り上げ返済することはできるのでしょうか?

結論からいうとケースバイケースではありますが、全ての債権者の債権を平等に一括返済するのであれば法的には問題ない、と解釈されるケースが多いようです。
 

個人再生後に繰り上げ返済できる?
ねえねえっ、先生ーっ!
個人再生の再生計画開始後に、何かの理由でまとまった資金ができた場合ってーっ、再生計画通りに3年間かけて返済しなくても、途中で残りをまとめて一括返済することはできないのかなーっ?!
基本的には、すべての債権者に平等に一括返済するのであれば問題ないだろうね。もちろん債権者が同意することが前提になるけど、個人再生の弁済には利息がつかないから債権者としても「嫌だ」という理由がないだろうね。
ふーんっ、じゃあ資金に余裕ができたうちに、ちゃんとまとめて返済しちゃったほうが安心だよねーっ!
ただし本来の個人再生は、借金を減額して貰うかわりに3年間かけて支払える分だけはしっかり弁済する、という趣旨のはずだから、例えば再生計画からまだ半年も経ってないうちに一括返済を希望するのは、債権者からすると納得いかないかもしれないね。
つまり、そんな簡単に支払えるなら全額支払ってくれよ、と。

 
一括返済や繰り上げ返済を検討する場合、このように原則として全ての債権者を平等に扱うことが必須になります。これは民事再生法229条で定められている債権者平等の原則によるものです。

債権者平等の原則
民事再生法229条1項では、「小規模個人再生における再生計画の権利変更の内容は、別除権などのある債権を除き、再生債権者の間では平等でなければならない」と定められています。これを債権者平等の原則といいます。

 
債権者にとって借金や債権を減額されてしまって不利益を受けているのは皆、同じです。なので特定の一部の債権者だけに優先して全額を弁済したり、優遇して返済するようなことは法律で禁止されています。

 

すべての債権者に平等に一括返済すれば問題ないの?

実務上は原則、問題ないとされていることが多いです。これは民事再生法や個人再生の制度でそれが認められているということではなく、一括で返済することに反対したり、嫌がる貸金業者や債権者が通常あまりいないからです。

というのも個人再生の弁済計画には利息が付きません。なので貸金業者側としては同じ金額を弁済して貰えるなら、ゆっくり時間をかけて返して貰うメリットは何もなく、いま一括で返済して貰ったほうがメリットが大きいからです。この場合は単に、再生債務者が期限の利益を放棄しただけになります。

期限の利益
期限の利益とは、借金があっても約束の期日が来るまでは返済しなくてもいいという消費者側の権利。通常はこの権利の見返りとして債権者側は金利を取ることができる。ただし個人再生の場合は金利は発生しない。

 
なので、このように債権者に反対されない限り、すべての債権者に平等に返済するのであれば一括返済や繰り上げ返済は問題ないと解釈されます。民事再生法上の手続きで一括返済する方法は定められていませんが、逆に一括返済してはいけない、という法律もないからです。

 

ただし個人再生開始からまだ時期が浅い場合は注意

ただし個人再生の決定が下りてからまだほとんど期間が経過していないような場合には注意が必要です。例えばまだ再生計画の認可から半年も経過していないうちに一括返済を提案したような場合には、債権者側が不満におもったり、ケースによっては財産隠しを疑われるような場合もありえます。

というのも、債権者の立場からすると、そもそも「もう借金の返済が出来ない!」というから個人再生の計画を認めて借金の金額を減らしてあげたわけです。それが半年も経たないうちにケロッと「余裕ができたので再生計画の残り分を一括で支払います」では、債権者の心情としては釈然としないでしょう。

最初から借金の減額を目的に不正な方法で個人再生を申立てたのではないか、と疑われても仕方ないかもしれません。実際に、相当の退職金の積立金や保険の解約返戻金を財産として申告していなかったりすると、詐欺再生罪にあたる場合があり、不正な個人再生手続きとして再生計画が取り消されることはありえます(参考:「個人再生が不認可になる6つのケース」)。

冒頭で記述したような遺産相続や仕事での年収アップなど、再生計画時に予期しえない原因によって資金に余裕ができた場合は、法律上は問題ありません。が、このように債権者の心情を考えると、大人しく再生計画案通りに返済をおこなった方が無難なケースもあります。

ページの先頭に戻る