個人再生後に再生計画の変更や延長はできる?

個人再生の再生計画が認可決定されれば、後はコツコツと真面目に倹約しながら計画通りに返済を続けていくだけです。しかし人生何が起こるかわかりません。時にはやむを得ない理由で弁済が継続できなくなってしまう、ということもありえます。 病気にかかってしまったり、職場で突然、給与を大幅にカットされることもあるかもしれません。そのような場合に、当初の再生計画を変更したり延長することはできるのでしょうか?

再生計画の変更や弁済期間の延長はできる?
ねえねえ、先生ー!
突然、会社の給与が減らされちゃったり、家族が病気になって支出が増えてしまったり、といった予想外の出来事で再生計画の継続が困難になったときって、再生計画を変更、延長する方法はあるのー?
そうだね。一応、民事再生法234条では、「やむを得ない理由」があって、かつ再生計画の継続が「著しく困難になったとき」に限り、再生計画を最大2年以内の範囲で延長することを認めているよ。給与の減額や家族の病気もこれに含まれるね。
なるほどー、再生計画の延長は可能なんだねー。
でも個人再生で定めた返済金額をさらに減らしたりすることはできないんだよねー? あと、住宅ローン特則がある場合はどうなるのかなー?
再生計画の変更では、返済金額を増やしたり減らしたりすることは一切できないね。あくまで返済期間を2年以内で延長するだけになるよ。 あと返済期間の延長は、住宅ローンには適用されないね。あくまで住宅ローンの返済は別扱いになる。
  • 変更が可能なのは、やむを得ない事情で返済が著しく困難な場合に限られる
  • 再生計画の変更により返済総額をさらに減らすことはできない
  • 再生計画の延長は、当初の最終期限から2年を超えない範囲で定める
  • 再生計画の延長は、住宅ローンにまでは適用されない
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個人再生の再生計画を変更するための条件は?!

前述のように再生計画の認可決定後に、やむを得ない理由により再生計画の継続が著しく困難になった場合には、裁判所に申し立てることで再生計画の変更(返済期間の延長)が可能です。
つまり再生計画を変更するためには、以下の2つが条件になります。

再生計画を変更するための条件
(1)やむを得ない理由があること
(2)再生計画の遂行が著しく困難であること

では、ここで条件になっている「やむを得ない理由」とはどのような場合を言うのでしょうか?

この解釈としては、再生計画の作成の段階では予想ができなかったような理由で、かつ再生債務者が自分ではコントロールできないような事情のことを指す、とされています。

やむを得ない理由とは-説明イラスト

なので例えば、会社の業績が急速に悪化して給与が減額されてしまった場合や、転職により給与が下がってしまった場合、または、家族が病気にかかってしまって治療費による支出が嵩んでしまった場合、などが主なケースとして該当します。

一方で、自分の都合で会社を辞めた場合や、ギャンブルやショッピングなどの浪費により再生計画が履行できなくなった場合は、再生計画の変更を申立てることはできません。

再生計画の変更が認められない例-浪費、キャバクラ、ショッピング等で再生計画の返済ができなくなった場合-イラスト

民事再生法234条
小規模個人再生においては、再生計画認可の決定があった後やむを得ない事由で再生計画を遂行することが著しく困難となったときは、再生債務者の申立てにより、再生計画で定められた債務の期限を延長することができる。この場合においては、変更後の債務の最終の期限は、再生計画で定められた債務の最終の期限から二年を超えない範囲で定めなければならない。(民事再生法234条

再生計画を変更する際の注意点ってある?!

再生計画変更の申立てをする際には、同時に裁判所に再生変更計画案(新しい返済プラン)を提出する必要があります。この再生変更計画案を作成するにあたっては、以下の点への留意が必要です。

  • 最初の再生計画での返済額を減らす(または増やす)ことはできない
  • 再生計画で延長できる期間は最大でも2年以内まで
  • 住宅ローン特則を利用している場合、住宅ローンは延長されない

 
個人再生では、最初の再生計画認可の段階で、大幅な借金の減額が認められていますので、再生計画の変更によってそこから更に返済額を減らすようなことはできません。あくまで返済期間を2年以内の範囲で延長することができるだけ、になります。

再生計画変更の説明図-返済額は変更されない、返済期間は最長2年の範囲で延長できる

また再生計画変更の申立てをしても、(住宅ローン特則を使用している場合)住宅ローンを延長することはできません。あくまで住宅ローンは別扱いになります。

またその他、3カ月に1回以上のペースで返済が必要な点や、債権者平等の原則に違反しない計画案の作成が必要な点、などは、個人再生の再生計画と同じです。

再生計画の変更が認められるまでにかかる期間

個人再生で再生計画の変更を申立てる方は、既に返済に行き詰って困っているケースが大半だと思います。しかし現実的には再生計画の変更を申立ててから、実際に裁判所に認可されるまでには3カ月以上の期間がかかるため注意が必要です。

再生計画変更申立書の提出後には、再度、債権者による書面決議がおこなわれます。また裁判所による債権者への意見聴取もおこなわれます。そのため、再生計画の変更が実際に認可決定されるまでの間に、最低1回は元々の再生計画にしたがって弁済をしなければならなりません。

再生計画の変更を申立てる場合には、これらをある程度、見越した上で返済資金を用意しておく必要があります。

再生計画変更の申立てで準備が必要なもの

再生計画変更が裁判所に認められるためには、前述のように「返済が著しく困難である」ことが条件です。そのため、返済が著しく困難だということを裁判所に説明するための資料が必要になります。
具体的には、以下のような書類を裁判所に提出することになります。

裁判所に提出する資料
(1)直近数カ月分の家計収支表
(2)(収入が下がった場合には)給与明細表

個人再生の再生計画では、元々節約倹約の生活をしながら返済をすることは当然に求められていますので、「ちょっと返済が苦しくなってきた」というだけでは再生計画の変更は認められません。そのために、わざわざ「著しく困難」という表現が用いられています。

そのため再生計画の変更の申立てでは、直近の家計収支表などを元に、実際にどの程度、支払いが困難なのかが客観的に判断されることになります。

再生計画の変更では、また弁護士費用が必要になるの?

再生計画の変更を弁護士に依頼する場合には、通常、また弁護士費用を支払う必要が生じます。この再生計画の変更にかかる弁護士費用は、個人再生を申立てるのにかかる費用とほとんど変わりません

個人再生の申立ての依頼費用はざっくり見積もっても30~50万円近くの費用がかかります。
再生計画を2年延長するためだけのために依頼費用を支払うことを考えると、正直いってあまり割の良い方法ではないかもしれません。

この依頼費用についても計算して考慮した上で、再生計画の変更を申立てるかどうかを決定する必要があります。(ただし実際の弁護士事務所に関しては、個人再生を申立てた事務所にまずご確認ください。もっと安くなる場合もあると思います)。

再生計画の変更(延長)ができない場合の対処法

もし再生計画変更の条件を満たすことができない、2年の延長が認められたとしても返済することができない、という場合には、違う方法を模索することになります。

具体的には、(1)個人再生を諦めて自己破産の手続きに移行する、(2)ハードシップ免責の制度を利用する、(3)債権者と個別に任意整理をする、などの方法が考えられます。

ただし(3)で債権者と個別に任意整理をする場合には、他の債権者に不利にならないような内容で、かつ、当初の再生計画で定めた弁済額を変更せずに和解案を締結する必要があります。また(2)のハードシップ免責に関しては、条件がさらに厳しいため、実際に制度が利用されることはあまりありません。

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