個人再生で減額できない一般優先債権、共益債権とは?

個人再生では、原則、手続き前の原因で発生した借金のすべてが減額されます。しかし一部には、個人再生の対象とすることのできない債権があります。例えば、「一般優先債権」や「共益債権」といった種類に分類される債権は、個人再生の対象とすることができず、手続き外で全額を返済する必要があります。

一般優先債権や、共益債権って何?!
ねえねえ、先生ー!
個人再生の手続きでも、「一般優先債権」とか「共益債権」にあたる借金(債務)は減額できないって聞いたんだけど、本当なのー?
減額できない債権があるなんてビックリなんだけど!
本当だね。共益債権と一般優先債権は、どちらも個人再生対象にすることができないから、手続き外で全額を弁済する必要があるんだ。だから減額もされないし、個人再生の手続き途中でも関係なく、期日が来たら支払う必要があるよ。
ふむふむ、
個人再生をしてもしなくても、変わらない債権ってことだねー。
じゃあ一般優先債権と、共益債権って何が違うのー?
それぞれの具体例があれば教えて欲しいなー!
共益債権にあたるのは、個人再生委員への報酬とか、水道光熱費や家賃などの双務契約の支払い、手続き開始以降の養育費の支払いとか色々だね。一方、一般優先債権で代表的なのは所得税や住民税などの滞納税金や保険料だね。あと未払い給料も一般優先債権だよ。
なるほどー!
そういえば非減免債権っていうのも前に聞いた気がするんだけど・・・。 非減免債権っていうのは、共益債権や一般優先債権とはまた違うのかな?(謎)
確かにややこしいね(笑) 一般優先債権や共益債権は、個人再生に関係なく手続き外で弁済するんだったよね? これに対して、非減免債権は個人再生の手続きには参加するんだ。裁判所に届出もするし、認可決定までは弁済も禁止される。ただ、減額だけされないんだね。
  • 一般優先債権と共益債権は、個人再生では減額されない
  • 一般優先債権と共益債権は個人再生開始後も、手続きに関係なく弁済する
  • 共益債権の例は、個人再生委員の報酬や、手続き開始後の水道光熱費、賃料
  • 一般優先債権の例は、税金(住民税・所得税)、保険料、未払い給料、罰金
  • 非減免債権とはまた別。非減免債権は、手続き内で減額せずに弁済する
個人再生でいくら借金が減るのか、他の債務整理の方が良いか診断する

共益債権や一般優先債権と、非減免債権の違いは何?

個人再生の手続きで減額がされない債権は3つあります。共益債権、一般優先債権、非減免債権です。このうち、共益債権と一般優先債権は、そもそも再生手続きに参加することもできませんので、再生手続き外で全額を返済することになります。

共益債権と一般優先債権は個人再生と関係なく支払いが必要-非減免債権との違い説明図

これらは個人再生と関係なく、随時弁済する必要があります(民事再生法121条、122条)ので、再生手続きの期間中であっても支払いが必要です。(その他の再生債権は、再生手続き中は返済が禁止されます。)。

一方、非減免債権は、減額こそされないものの、その他の点では一般債権と同じです。裁判所に債権の届出もしますし、最低弁済額の計算にも含めます。また再生手続き中は勝手に返済することがで禁止されます。

『共益債権』には具体的にどんな債権がある?

具体的に共益債権にあたる支払いには、以下のようなものがあります。

  • 個人再生開始後の水道光熱費、賃料の支払い(双務契約)
  • 個人再生開始後の養育費の支払い
  • 事業を継続していく上で必要な少額債権、または弁済協定
  • 個人再生委員への報酬の支払い
水道光熱費や賃料

例えば、個人再生開始後の家賃賃料、水道光熱費、などの継続的な双務契約の支払いは共益債権です(民事再生法49条4項)。なので、個人再生の手続き開始後も気にせずに支払うことができ、電気やガスのストップを避けることができます。

養育費の支払い

また、離婚協議などで定めた養育費の支払いについても、個人再生開始決定より後の支払い分はすべて共益債権になります。これをもし非減免債権にしてしまうと、前述のように再生手続き中の支払いができなくなってしまいますし、弁済期間の満了後に、将来に渡っての総額を一括払いしなくてはならなくなるため、実務上は共益債権とします。


事業を継続していく上で、必要な支払いも共益債権になります。

事業上必要な支払い

例えば個人再生の開始決定後に、どうしても支払いが必要な少額債権がある場合、裁判所の許可を得ることで特別に支払いが可能ですが、この支払いも共益債権になります。(民事再生法85条5項)。

また事業で必要な車のローンや機械リースなどで、全額を弁済しなければ、その車や機械を没収されてしまう、というようなケースに、特別に裁判所に上伸をして許可を得て、全額を弁済する協定を結ぶ場合があります(別除権協定)が、これも共益債権になります。

個人再生委員の報酬

個人再生委員への報酬の支払いも共益債権です。東京地裁で個人再生を申立てると、必ず個人再生委員が選任されます。このとき裁判所に、15万円~25万円の予納金の支払いが必要になりますが、これも共益債権になります。

『一般優先債権』には具体的にどんな債権がある?

一般優先債権には、「一般の先取特権」と「一般の優先権がある債権」の2つがあります。前者は光熱費などの滞納料金、マンション管理費や積立金、未払い給料、葬式費用、日用品供給、などがあります。後者は主に滞納税金や社会保険料、罰金などの公的な債権のことです。

なかでも実際にある主なものは、以下だと思います。

  • 住民税、所得税などの滞納税金
  • 国民年金、国民健康保険、社会保険料、罰金など
  • 従業員、被雇用人への未払い給料、賃金
  • 光熱費のうち過去6カ月までの滞納分の支払い

 
公租公課は、一般優先債権の代表的なものです。

特に所得税、住民税などの税金の滞納がある場合は、最優先で支払いが必要です。 税金には「滞納処分」という行政執行の仕組みがあり、そのまま放置していると、個人再生中だろうと何だろうと、預金や給与を差押えて回収される可能性があります。

光熱費については、前述のように手続き開始後の支払い分は共益債権になりますが、過去の滞納分は一般優先債権になります。
 

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