個人再生の「異議の留保」と一般異議申述期間について

個人再生では、裁判所への再生手続き開始の申立てにあたってすべての債権者と債権額(借金額)を記した債権者一覧表の提出が必要になります(参考:個人再生で債権者一覧表を記入する方法)。このとき、債権一覧表に記載する債権額には、「異議の留保」というチェック欄があります。

この申立てが認められて個人再生手続きが開始すると、申告のあった債権者全員にこの債権者一覧表が通知されます。債権者一覧表にある債権額をみて、その債権額について争いがある(額に納得がいかない)場合は債権者は「再生債権届出書」を提出します。もし再生債務者が前述の「異議の留保」にチェックを入れていれば、この再生債権届出書に対して、再度、異議を申し立てることができます。


異議の留保って何?
ねえねえっ、先生ーっ!
個人再生の債権一覧表の記載項目に「異議の留保」っていう欄があったよねーっ?! 債権者とのあいだで借金額について争いがあるときは、ここにチェックを入れておくと、後で異議の申立てができるって話だったけどっ、これをもう少し詳しく知りたいなーっ!
そうだね、裁判所は個人再生の開始手続きの決定と同時に、「債権届出期間」と「一般異議申述期間」という2つの期間を決定するんだ。債権届出期間は債権者側が債権一覧表に対して、一般異議申述期間は債務者側が債権届出に対して、それぞれ異議を申立てることができる期間なんだ。
む、、む、むずかしいな・・・・っ汗
わかると全然難しくはないよ。それじゃあ、少し図にしてわかりやすく説明してみようか。

 
裁判所に提出する債権者一覧表に記された債権額は、あくまで債務者側が記載している数字です。契約書にもとづいて借りている借金残高について、債権者側と争いが生じる余地なんてあるのか、と不思議に思う方もいるかもしれません。

しかし実際には過去に過払い利息(法律で定められた利息制限法を超えるグレーゾーン金利)が発生している可能性があり、通常、債権者一覧表に記載する債権額はこの過払い利息を差し引いた少ない額を申告します。この本当の借金額の利息計算の方法などについて、貸金業者側と争いが生じることはめずらしくありません。

異議の留保と一般異議申述期間って何?

一方的に再生債務者の申告に基づく借金額での再生計画を認めるのは公平ではないので、再生手続きが開始すると裁判所は、債権者(貸金業者)側に債権一覧表を通知し、数字について争いがある場合には再生債権届出書を出すように促します。この期間を「債権届出期間」といいます。

再生債権届出書は以下のようなフォーマットのものになります。なお金額について争いがない場合には、貸金業者側はこの債権届出を提出する必要はありません。

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またこの債権者側の届け出に対して、再生債務者側にも異議を申し立てる機会が用意されていないと不公平です。そのため、裁判所は再生開始手続き決定の際に、債権届出期間と同時に「一般異議申述期間」というのも定めます(民事再生法222条1項)。この期間については、債務者・債権者への通知だけでなく、官報でも公告されます。

異議の申立て方法は?

債権者側が提出する再生債権届出書に対して、この一般異議申述期間に債務者側は再度、異議を申立てることができます。ただし、異議を申し立てるためには、債権一覧表を提出する最初の段階で、債権一覧表にある「異議の留保」にチェックを入れておく必要があります。

事前に債権一覧表にある「異議の留保」の欄にチェックを入れてなかった場合には、貸金業者側から提出された再生債権届出書に記載された金額について、争うことができなくなりますので注意が必要です。異議の留保にチェックを入れ忘れたことで債権が二重に発生してしまう例(再生手続き開始後の、代位弁済に伴う原債権と求償権)なども見かけますので特に注意が必要です。

異議の留保にチェックを入れていて、かつ債権者の債権届出の金額に異議がある場合には、以下のような「異議申述書」を提出します。

WS03331

異議申述書の記載例

例:頭書事件について,再生債務者は,届出のあった再生債権について下記のとおり異議を述べます。

異議の理由例:再生債務者は相手方に対し、上記再生債権届出書記載の再生債権に対する弁済のため、平成○○年○月○○日までに合計×××××円を相手方に支払った。この弁済を利息制限法による制限利率に引き直して計算すると、上記再生債権を消滅させるに足りる。

双方の争いがある場合の債権調査について

債権者と再生債務者の双方の間で債権額について、上記のように争いがある場合には最終的に判断は裁判所に委ねるかたちになります。個人再生委員が選任されている場合には、まず個人再生委員が正しい債権額について調査をおこないます。これを債権調査といいますが、その調査の結果などをもとに裁判所が債権額を確定します。

通常の(法人の)民事再生の場合は、債権調査の結果に不服がある場合には、最終的に訴訟を提起して債権額を確定することになりますが、小規模個人再生などの個人再生手続きの場合には手続き内で裁判所が金額を確定します。これは業務手続きの簡略化のためです。

 

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