個人再生で2回目の再申立てはできる?!

個人再生では2度目の申立て(再申立て)は認められているのでしょうか? 例えば、(1)債権者の反対により個人再生が不認可になった場合、(2)再生計画の認可決定が降りて、履行中にもう1度、再申立てをおこなった場合、(3)再生計画の履行が完了して数年経ってから再申立てをする場合、それぞれで2回目の個人再生は可能なのでしょうか?

個人再生で2回目の申立てはできるか?

個人再生で2回目の再申立てはできる?
ねえねえ、先生ー!
個人再生で再生計画が不認可になってしまった場合や、一度こちらから取下げたような場合でも、再申立てすることってできるのかなー?!
特に問題ないよ。もちろん、不認可になった原因を解消しないと再申立ての意味がないけど。例えば良くあるのが、債権者の過半数の反対で小規模個人再生が否決になった場合に、(債権者の書面決議のない)給与所得者等再生で再申立てするようなケースだね。
なるほどー!
じゃあ、1度目の個人再生が認可決定されてから、弁済期間中に2度目の再申立てをするのはどうなのかなー? あと、1度目の個人再生が終わって、数年経ってから別の借金で再申立てする場合は?
そのどちらのケースも、小規模個人再生であれば申立ては可能だね。
もちろん、債権者による書面決議があるから、認可されるかは別問題だけどね。また、給与所得者等再生の場合は、1度目の認可決定から7年間は再申立てができないから注意が必要だ。
  • 個人再生手続きが不認可や廃止になった場合でも再申立ては可能
  • 再生計画の弁済期間中でも、再整理を目的とした小規模個人再生の申立ては可能
  • 再生計画による弁済が終了した後に、2度目の個人再生を申立てることは可能
  • 給与所得者等再生の認可決定から7年は、給与所得者等再生の再申立ては不可
個人再生でいくら借金が減るのか、他の債務整理の方が良いか診断する

個人再生が不認可になった後に再申立てをするケース

まず個人再生の申立てが、債権者の書面決議により不認可になった場合(債権額の過半数を占める債権者に反対された場合)についてです。

個人再生は一度、不認可になった場合でも再申立てを制限する規定は特にありません。そのため、例えば書面決議で反対した債権者と再度、交渉をおこない事前に根回しをしてから再申立てをおこなう、あるいは、債権者決議のない給与所得者等再生に切り替えて再申立てをする、といったことは可能です。

小規模個人再生が書面決議で否決された場合に、給与所得者等再生で再申立てする-イラスト

また裁判所が「(収入不足により)再生計画の遂行の見込みがない」として、再生計画を不認可にした場合でも、その後に就業したり収入が増えたりしたことで状況が変わった場合には、個人再生の再申立てをおこなうチャンスがあります。

ただし、裁判所から「継続的に収入を得る見込みがない」として不認可になった場合には、ある程度の時間を置いて継続的・反復的に収入を得られることを実証しない限り、再申立てをおこなっても同じ結果になる可能性があります。

1度目の再生計画の履行中に再申立てを行うケース

最初の個人再生で再生計画の認可決定が降りたものの、弁済の完了前に「返済が難しくなってしまった」「もう1度、借金を再整理したい」等の目的で個人再生の再申立てを行うことはできるのでしょうか?

これも結論からいうと、小規模個人再生であれば再申立ては可能です。給与所得者等再生の場合は、1度目が給与所得者等再生だった場合は不可能です。詳しくは以下を参考にしてください。

個人再生の認可決定後の再申立て

(1度目)小規模個人再生  ⇒ (2度目)小規模個人再生  : 可能
(1度目)小規模個人再生  ⇒ (2度目)給与所得者等再生 : 可能
(1度目)給与所得者等再生 ⇒ (2度目)小規模個人再生  : 可能
(1度目)給与所得者等再生 ⇒ (2度目)給与所得者等再生 : 7年間は不可能

 
給与所得者等再生では、一度、認可決定がおりている場合は、確定日から7年間は再度、給与所得者等再生を申立てることはできない、と定められています。(民事再生法239条5項2号イ

これは、給与所得者等再生が債権者の決議(許可)なく利用できる制度のため、何度でも無制限に申立てを許してしまうと債権者にとって著しく不利益になる可能性があるからです。

1度目の再生計画の効力はどうなるの?

1度目の個人再生の履行期間中に、2度目の個人再生の申立てをおこなった場合には、1度目の再生計画で減額された債権については、元々の債権額にいったん戻ることになります。これを法律用語では、「原状に復する」といいます。

2度目の個人再生の影響
再生計画の履行完了前に、再生債務者について破産手続開始の決定又は新たな再生手続開始の決定がされた場合には、再生計画によって変更された再生債権は、原状に復する。ただし、再生債権者が再生計画によって得た権利に影響を及ぼさない。(民事再生法190条1項

 
もちろん原状に復する、といっても、既に弁済した分が戻ってくることはありません。
また個人再生の再申立てをおこなった場合は、債権者は1度目の個人再生の申立て時の債権額(全額)を持って、再生手続きに参加します。(民事再生法190条6項

これは1度目の再生計画の認可後に、新たに増えた債権者との間で不公平が生じないようにするための措置であり、実際に2度目の再生計画が認可された後は、(1度目の再生計画で既に弁済を受けた分については)当然、弁済を受けることはできません。

1度目の再生計画の履行期間中に、2度目の個人再生を申立てた場合の債権額の扱い

具体的には上図のように、1度目の個人再生で弁済を受けていた債権者は、2度目の個人再生では他の債権者が同じ割合の弁済を受けるまで、債務者から弁済を受けることはできません。

再生計画の完了前に、再申立てを行うメリットはあるの?!

基本的に1度目の再生計画の弁済がまだ完了しないうちに再申立てをおこなうケースというのは、「1度目の再生計画がうまくいかなくなって、もう1度、再生計画を見直したい」という場合が大半ではないかと思います。

ただし個人再生には、再生計画の変更(延長)や、ハードシップ免責という救済措置も用意されていますので、当然、そちらで対応できるのであれば、まずそちらを検討すべきです。

 
では、どのような場合に個人再生の再申立てが有効なのかというと、1度目の個人再生の時にはなかった借金(1度目の認可決定後に新たに増えてしまった債権など)を含めてもう一度、整理して減額したいといったケースが主になります。

もちろん個人再生の再申立てでは、返済可能な現実的な再生計画を裁判所に提出する必要があり、履行可能性が低いと判断されると不認可になります。また小規模個人再生で再申立てをおこなった場合には、債権者による書面決議がありますので、過半数が反対をすれば再生計画は否決されることになります。

1度目の個人再生の弁済終了後、数年後の再申立て

あまり良い例ではないですが、1度目の個人再生を3年間、再生計画通りにきちんと弁済したものの、借金癖が治らずに気付いたらまた借金が増えて返済不能に陥ってしまった、というようなケースもあるかもしれません。

1度目の個人再生をちゃんと履行完了して、数年後にまた2度目の個人再生が必要になった場合-イラスト

このようなケースでも、もう一度、個人再生を利用することは可能です。

まず個人再生手続きは、自己破産とは違い、借金を作った理由そのものは問われません。自己破産の場合は、ギャンブルやパチンコなどの浪費で借金が嵩んだ場合には、2度目は免責許可がおりない可能性がありますが、個人再生の場合はそのような決まりはありません。

また前述のように、「(1回目)給与所得者等再生 ⇒ (2回目)給与所得者等再生」の場合のみ、1度目の認可決定の確定日から7年は再申立てができない、という決まりはありますが、小規模個人再生であれば、そのような期間による制限もありません

そのため、通常の個人再生の要件を満たすことができるのであれば、2回目でも3回目でも個人再生の申立ては可能になります。

 

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