奨学金は過払い金請求できない?奨学金の仕組み

若者の低所得化などに伴い、奨学金の返還が困難になっていることが社会問題になっています。頑張って数百万円の奨学金を完済した方も多いと思いますが、この奨学金について過払いが発生している可能性はあるのでしょうか?

奨学金で過払い金が発生している可能性はない?!
ねえねえ、先生ー!
過去に奨学金の返済をした場合で、過払い金が発生している可能性というのはないのかなー?!
ないね、メジャーな奨学金の支援団体である日本学生支援機構(JASSO)の奨学金の貸与利率は、第一種奨学金だと無利息。第二種奨学金でも平成26年度の利率固定方式で年利0.89%だ。過去10年の貸与利率を見ても、年利3%を超えたことはない超低金利な貸付金なんだ。
なるほどー、利息制限法に違反する金利でない限り、過払い金請求(不当利得の返還請求)はできないんだったよねー。奨学金がそこまで低い金利なら、過払いが発生している可能性はなさそうだねー。
そうだね、過払い金請求の対象となるのは、基本的にはかつて無担保高金利商品を提供していたクレジットカード会社のキャッシング、または消費者金融のどちらかに限られるね。詳しくはこちらの記事でも解説しているから参考に。

 
奨学金も借金の1つなので、過去に数百万円に上る奨学金を完済したことがある方などは、「あれだけ返済したのだから、過払い金が発生していたんじゃないか?」と思われる方もいるかもしれません。しかし奨学金に関していえば、過払い金が発生している可能性はありません。

奨学金の貸与金利って一体どのくらいなの?!

奨学金と一口にいっても、その種類にはいくつかあります。まず「どこから借りるのか」という奨学金の貸付団体によっても話が変わってきます。一般的に、奨学金を借りるとなると、候補になるのは以下の支援団体からお金を借りることになるはずです。

奨学金を提供する支援母体の種類
  • 日本学生支援機構(JASSO)
  • 各大学が提供する奨学金制度
  • 地方公共団体・奨学金事業団体の奨学金制度
  • 東日本大震災の被災学生への奨学金制度(※)

 
被災学生への奨学金制度等も日本学生支援機構や、各大学が提供する奨学金制度なので、実質的な借入先はほとんどの場合、「自分の進学する各大学の奨学金」または「日本学生支援機構の奨学金」のどちらかになるはずです。

各大学の奨学金制度の貸与金利って?!

各大学が個別に提供している奨学金制度については、各大学のホームページなどを個別に参照しないと正確にはわかりませんが、基本的には成績等が優秀な大学生20~30名に対して実施される給付型(または無利息貸与型)奨学金が主なのではないかと思います。

給付型奨学金
給付型奨学金とは、その名前の通り返済の必要のない奨学金のことです。主に大学などが提供する奨学金制度に多く、入学時または在籍時の成績優秀者に対して、大学が代わりに学費を負担する形式で支給される奨学金です。

 
給付型の奨学金や、無利息貸与型(利息の付かない)奨学金の場合も、もちろん利息を支払っていませんので過払い金が発生している可能性は0です。

日本学生支援機構の奨学金制度のシェアって?!

平成19年の日本学生支援機構の奨学金に関する調査によると、奨学金制度を実施する団体は日本全体で2766団体、そのうち1053は学校法人ですが、その学校を除いても1713団体も存在します。

しかし大半の団体は奨学金枠の募集人数にかなりの制限がある(数名など)ため、実質的には大半の学生が日本学生支援機構(JASSO)から奨学金を借りていることになります。以下、少し古いデータですが平成19年の奨学生数の延べ人数です。

区分 地方公共団体 学校 その他合計 日本学生支援機構
大学 26,624人 47,647人 28,113人 754,911人
大学院 212人 13,033人 2,800人 86,305人

 
このように大学生の奨学金では約88.0%、大学院の奨学金では84.3%の大学院生が日本学生支援機構JASSOから奨学金を借りていることがわかります。(日本学生支援機構の奨学金と併用可な奨学金制度を提供する団体もたくさんあります)

このように奨学金制度では圧倒的に日本学生支援機構がメジャーであることから、ここでの金利に関する話も日本学生支援機構の貸付金利をもとに進めていきます。

日本学生支援機構の貸与金利っていくら?!

さて日本学生支援機構の奨学金の貸与金利についてですが、まずJASSOの奨学金には「第一種奨学金」と「第二種奨学金」の2つの奨学金があります。

第一種奨学金

第一種奨学金は、大学院・大学・短期大学・高等専門学校・専修学校の学生を対象に貸しだされる奨学金で、主に成績優秀な学生および経済的な理由で困窮している学生を対象に、無利息で奨学金を貸与します。

第一種奨学金
第一種奨学金は、貸与型の奨学金(返済の必要のある奨学金)ですが、貸与額に利息が付きません。貸与額は国公立の場合、自宅通学で毎月45000円、自宅外通学で毎月51000円で、私立の場合、自宅通学54000円、自宅外通学64000円です。

 
この第一種奨学金は、第二種に比べて選考基準も厳しくなりますが、利息が付きません。そのため、もちろん過払い金は発生しないことになります。

第二種奨学金の貸与利率について

第二種奨学金は、第一種奨学金に比べて選考の基準が緩く、結果として多くの方が利用している奨学金になりますが、こちらの第二種奨学金は利息付きの貸与型奨学金になります。つまり借入額に対して利息が発生します。

第二種奨学金
第二種奨学金は、第一種よりも緩やかな基準で選考された者に貸与される、利息付きの奨学金です。第二種奨学金の実質年率は、借入時期や利息方式によっても異なりますが、法令により上限を年利3%までとすることが定められています。

 
例えば以下は、平成26年度にJASSOの第二種奨学金の借入をおこなった場合の貸与利率です。第二種奨学金の利息タイプには、「利率固定方式」と「利率見直し方式」があります。

簡単にいうと、利率固定は貸与終了時に決定した利率が将来的に変動しない方式、利率見直し方式は5年ごとに利率が見直される方式のことです。詳しくはこちらの公式ページを参考にしてください。

貸与終了月 利率固定方式 利率見直し方式
4月 0.89% 0.20%
5月 0.89% 0.20%
6月 0.83% 0.20%
7月 0.79% 0.20%
8月 0.79% 0.20%
9月 0.79% 0.20%
10月 0.79% 0.20%
11月 0.69% 0.20%
12月 0.63% 0.10%
1月 0.53% 0.10%
2月 0.63% 0.10%

出典:利息付き奨学金の貸与利率(平成19年4月以降に採用された方)
 

このように日本奨学金の貸与利率は年度によっては実質年利1%を切るほどの低金利です。そもそも営利目的の団体ではないため当然ですが、法令で上限利率が3%と決まっていることもあり、利息制限法違反(年利20%以上)で過払い金が発生している可能性はこちらも全くありません。

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