自己破産費用を払うお金がない場合は法テラスに相談

日本には法テラスという司法支援センターがあり、経済的に貧しい方でも無料で3回まで弁護士に法律相談をすることができます。また面談や審査の結果、正式に弁護士の受任が必要だと判断されれば、費用立替制度を利用して弁護士費用を立て替えて貰うことができます。ただし、法テラスには資力基準があるため、収入や資産が一定基準以下の方でないと利用できません。また立替制度の対象は弁護士費用だけなので、裁判所に納める予納金の立替は原則できません。

自己破産費用が払えない場合の駆け込み寺
ねえねえ、先生ー!
貧乏で本当にお金に困っていて、自己破産したくても破産費用さえも全然払えない場合は、法テラスってとこに相談すればお金が借りれるって聞いたんだけど本当なのー?
本当だね、法テラスには民事法律扶助という業務があって、金銭的な余裕がない人を対象に2つの支援をおこなってるんだ。1つ目は、弁護士(または司法書士)による無料法律相談、2つ目は、弁護士(または司法書士)への依頼費用の立替、だね。
なるほど、本当なんだ・・・。
弁護士さんの無料法律相談っていうのはどういう制度なのー? 電話とかでちょっと簡単に相談できるって感じなのかな?
どのくらい本格的な相談ができるか気になるな。
無料法律相談は、法テラス事務所とかで対面で相談を受けられるよ。大体1回30分くらいだね。あと、同じ問題については3回まで無料相談が受けられる。毎回、担当弁護士さんは変わっちゃうし指名はできないけどね。
なるほど・・・、
じゃあ当たり前だけど、正式に自己破産手続きを進めるためには「費用立替制度」の方を利用しないといけないんだよね。この費用立替は、あくまで立替だけだから返さないといけないんでしょ?
そうだね、あくまでイメージは「法テラスが弁護士費用を貸してくれる」っていうだけだから、返す義務(償還義務)はある。もちろん無利息だけどね。大体、正式契約の2カ月後くらいから、銀行口座の引き落としで月々5000円~1万円ずつの償還になるよ。
ちなみに・・・、自己破産で管財事件(※)になった場合は、弁護士費用だけじゃなくて裁判所に納める予納金も必要になるよね。 この予納金は借りられないの? 同時廃止だと予納金はせいぜい1万円くらいだから何とかなるけど、少額管財だと20万円はかかるよね。
そうなんだ・・・。そこが問題だね。法テラスでは原則、立替制度の対象になっているのは弁護士費用だけだから、裁判所の予納金を立て替えて貰うことはできないんだ。例外として生活保護受給者だけは、上限20万円の範囲で予納金も立替えて貰えるけどね。
  • 法テラスの民事法律扶助には、無料法律相談と費用立替制度の2つがある
  • どちらも資力基準(収入と資産)があり、金銭的に困っている人だけが対象
  • 無料法律相談では、対面で1回30分の法律相談が受けられる。最大3回まで
  • 費用立替制度では、弁護士(司法書士)の費用を法テラスが立替えてくれる
  • 立替なので返済義務がある。また裁判所の予納金は原則、立替を受けれない

法テラスを利用できる人の条件は? 収入基準と資産基準

法テラスは、あくまでも「生活に苦しい貧困の方でも法律支援を受けられるように」という趣旨で、総合法律支援法という法律に基づいて、国が設立した支援センター(独立行政法人)です。

正式名称:日本司法支援センター。総合法律支援法に基づき、独立行政法人として設立。

そのため、普通に収入がある人が法テラスを利用することはできません。無料で弁護士の法律相談を受けたり、無利息で弁護士費用を立替えて貰えるわけですから、誰でも利用できるとなると正規で弁護士に依頼する人がいなくなってしまいます。

まず大前提として、法テラスは「法律トラブルがあるのに、弁護士に相談するお金がない人」を救済するためのセンターだということは知っておきましょう。

法テラスを利用する条件その1 「収入要件」について

法テラスの民事法律扶助には、「無料法律相談」と「費用立替制度」の2つの支援制度がありますが、どちらを利用するためにも同じ資力基準が必要とされています。

まず収入については、以下の基準を満たしていることが必要です。

東京、大阪以外の場合

世帯人数 月額収入(夫婦合計) 加算限度額
単身 18万2000円以下 4万1000円以下
2人 25万1000円以下 5万3000円以下
3人 27万2000円以下 6万6000円以下
4人 29万9000円以下 7万1000円以下

 
ここでいう「月額収入」は、家族で家計に貢献している人の全員の収入を含みます。例えば、2人家族(子供なし)で夫婦の共働きであれば、夫婦の収入を合計した金額が25万1000円以下であれば、法テラスを利用できます。

また「加算限度額」というのは、住宅ローンを負担していたり、賃貸で物件を借りて住んでいる場合の、家賃の支払い分を「基準額に加算できる」という意味です。

上記の例(夫婦2人子供なし)でいえば、夫婦でアパートを借りて住んでいて、その家賃が4万円の場合、基準額は29万1000円以下(25万1000円+4000円)になります。夫婦の月収の合計が29万1000円以下であれば、法テラスを利用できます。

東京、大阪、その他の生活保護一級地

世帯人数 月額収入(夫婦合計) 加算限度額
単身 20万200円以下 5万3000円以下
2人 27万6100円以下 6万8000円以下
3人 29万9200円以下 8万5000円以下
4人 32万8900円以下 9万2000円以下

 
東京や大阪などの生活保護一級地の場合は、地価や生活の物価水準が他の都市よりもやや高いため、収入要件の基準額が異なります。

ちなみに東京、大阪以外にも以下の市町村は、生活保護一級地になります。長くなるので非表示にしていますが、確認したい方は以下をクリックしてください。一覧が表示されます。

>>その他の生活保護一級地(市町村)の一覧を確認する(クリック)<<

なお、月収が夫婦の合算収入であることや、住宅ローンや家賃の支払いの分は基準額に加算可能であることは、先の「東京、大阪以外の場合」と同じです。

法テラスを利用する条件その2 「資産要件」について

現在、収入が少ない家庭の場合でも、既に資産を一定額以上持っている場合は、法テラスを利用することができません。資産要件については、以下のようになっています。

資産要件

世帯人数 単身 2人 3人 4人以上
資産合計額 180万円以下 250万円以下 270万円以下 300万円以下
世帯人数 資産合計額
単身 180万円以下
2人 250万円以下
3人 270万円以下
4人以上 300万円以下

 
この資産額というのは、現金や銀行預金だけではなく株などの有価証券や、自宅以外の不動産も含まれます(自宅は含まれません)。夫婦の場合は、奥さん(配偶者)の持っている財産も合計額にカウントする必要があります。

また近い将来、医療費や教育費などで高額な出費が予定されている場合は、その分は控除できる場合があります。例えば、単身で200万円の資産がある場合でも、医療費で30万円出費の予定があれば、その分が控除されて170万円になるので、法テラスを利用できます。

詳しくは最寄りの法テラスに相談して確認してみてください。

法テラスの資力要件はどうやってチェックするの?

法テラスの民事法律扶助の業務は、「法律の無料相談」と「弁護士費用の立替」の2つです。このうち、法律の無料相談については、主に電話での口頭チェックや、申込書で自己申告した内容から確認されます。

「無料法律相談」と「費用立替制度」のそれぞれの審査方法-図

ただし実際に弁護士に正式に依頼することが決まり、費用の立替制度を利用する場合は、資力要件(主に収入の基準)を満たしているかどうかを確認するために、収入を証明する書類の提出が求められます。具体的には、ケースに応じて以下のような書類の提出が求められます。

法テラスの必要書類

  • 給与明細書
  • 納税証明書(非課税証明書)
  • 確定申告書の写し
  • 生活保護受給証明書、または年金証書
  • その他、必要と指示された書類

 
全ての書類が必要なわけではありません。生活保護を受給している方の場合は、受給証明書を提出すれば、それだけで資力要件についてはクリアできることが多いです。

なお資産状況を証明するような書類の提出は求められない場合もありますが、資産状況については実際に自己破産手続きを進めるときに必ずバレますので、虚偽の申告をしていると後々問題になる可能性があります。必ず正直に申告しましょう。

詳しくは全国の最寄りの法テラスに相談してください

その他、自己破産の費用で困っている方で、「資力要件を満たしている」または「資力要件を満たしているか、よくわからない」という方は、まずは最寄りの法テラスに相談してみてください。

法テラスは、全国各地に109箇所の事務所が設置されています。

地方事務所は全国に50箇所(各県の県庁所在地47箇所に1つずつと、北海道には4箇所)ですが、その他にも人口が多い都市を中心に支部が11箇所、さらに過疎地域等をカバーするために出張所や地域事務所が多数、存在しています。(平成25年3月31日時点)

全国の法テラスの地方事務所、支部、地域事務所の図

そのため全国どこに住んでいても、基本的には法テラスに相談することは可能です。

なお、相談できる法テラスは全国どこでもいいわけではなく、原則、住んでいる場所(居住地)か、勤務地が存在する場所の都道府県にある法テラスになります。

実際の弁護士との面談や無料相談などは法テラス事務所(または提携する弁護士の事務所)でおこなわれますが、最初の予約や問い合わせは電話で簡単にできますので、まずは電話でオペレーターに相談されてみるといいでしょう。

法テラスでの費用立替制度を利用するまでの流れ

法テラスで、自己破産のための弁護士の「費用立替制度」を利用する場合は、原則、まず法テラスによる「無料法律相談」を受けなければなりません。自分で相談する弁護士を探して決めて、費用だけ借りる、ということはできません

法テラスで、自己破産の弁護士費用の立替を受けるまでの流れは、概ね以下のようになります。

法テラス利用の流れの図

まずは、最寄りの法テラスに電話するか、直接、事務所を訪問して「無料法律相談」の事前予約をします。予約の際に、収入状況や資産状況について聞かれます。また、相談日までに用意して欲しい書類等について指示があります。

法テラスの無料法律相談について

相談日が決定すると法テラスの事務所(または弁護士の事務所)で、法テラスが紹介する弁護士の方と、自己破産についての30分間ほどの無料相談をすることになります。この際も、弁護士をこちらで指定することはできません。

1回目の相談だけで納得のいく結論がでなかった場合は、同じ事案について3回まで無料相談を受けることができます。ただし、通常は3回とも違う弁護士さんにあたります。

同じ事案については、最大で3回まで相談できる。ただし弁護士は変わる。-説明図

弁護士の方々は弁護士会の職務規定に基づいて、この法テラスの相談業務にボランティアのような形で参加されている方も多いため、「1回目の弁護士さんにもう1度、無料相談したい」という依頼はできません。

相談の結果、やはり「自己破産した方がいい」ということになれば、そのまま費用立替制度(代理援助)の手続きに進むことになります。

法テラスの代理援助と費用立替制度について

法テラスを利用する場合は、単に「弁護士費用を立て替えてくれる」というだけではなく、法テラスが紹介する弁護士に自己破産の代理人を依頼することが必須になります。

弁護士を法テラスが用意するところまでが1つのパッケージなので、代理援助(司法書士の場合は書類作成援助)ともいいます。

代理援助を利用するにあたっては、以下の要件を満たしていることが必要です。

  • 資力要件を満たしていること
  • 勝訴の見込みがないとは言えないこと
  • 民事法律扶助の趣旨に適すること

 
(1)の資力要件については先ほど説明したように、収入を証明する書類を提出することで審査がおこなわれます。

(2)の判断は、自己破産の場合は「免責がおりそうかどうか?」で審査されます。例えば、明らかな免責不許可事由があり、免責される見込みがない場合(過去7年以内に自己破産をしている場合など)は、自己破産の弁護士費用の立替は難しい可能性があります。

また審査にあたっては、実際に法テラス事務所で法テラス職員と弁護士による面談が実施されます。

審査後の流れ

審査の結果に問題がなければ、法テラス職員の立ち会いのもとで弁護士との委任契約が締結され、後日、弁護士への報酬は法テラスから弁護士に直接、支払われます。

その後の自己破産手続きの流れについては、弁護士との委任契約になりますので、普通に弁護士に依頼した場合と同じです。自己破産手続きそのものには、法テラスは関与しません。

裁判所の予納金の立替はできないので注意すること

なお、法テラスの代理援助(費用立替制度)の対象になるのは、弁護士費用だけです。裁判所に納める予納金については、自己負担になります。

弁護士費用は費用の立替を受けれるが、裁判所費用は立替を受けれない。-説明図

特にめぼしい財産が何もない場合は、通常、同時廃止になりますので心配ありません。20万円を超える価値の財産を1つも持っていない場合は、破産手続きは開始と同時に終了します。その場合は、予納金はせいぜい1万円程度です。

一方、例えば処分価値が20万円を超える車を持っている場合や、解約返戻保険が20万円を超える保険(学資保険や生命保険など)に加入している場合は、それが財産と見なされて、管財事件になります。
管財事件になった場合は、最低でも20万円以上の予納金を裁判所に納める必要があるので、注意が必要です。

同時廃止と管財事件の図

生活保護受給者の場合は、唯一、特例として裁判所の予納金についても20万円を上限に法テラスの立替を受けることができます。

しかし一般の破産者の場合は、裁判所の予納金は自分で調達する必要があります。また、生活保護受給者でも20万円を超える額については、自己負担になります。

法テラスで立て替えた費用の返済(償還)の方法

自己破産の際に立替になった法テラスの弁護士費用は、契約の2カ月後から、償還(返済)を開始することになり、月々5000円~1万円ずつ償還していくことになります。利息はつきませんので、立替で借りた分だけを返済すれば終わりです。

支払いは、原則、銀行口座からの引き落としのかたちで償還することになります。

なお、この法テラスで借りた弁護士費用(立替金)については、「自己破産手続きで免責にならないのか?」という難しい議論がありますが、結論からいうと現行の制度では免責にはなりません。自己破産後も、法テラスで立替を受けた弁護士費用については、償還義務があります。

法テラスで借りた弁護士費用は免責にならないの?

自己破産でも免責されない債権(帳消しにならない債務)は、法律上は「財団債権」と「非免責債権」の2つだけです。

なかでも財団債権だけは、自己破産手続きでも免責されることがなく、また破産手続きの期間中も優先的に支払いを続けることが許されています。

財団債権と破産債権の説明図

この点、法テラスによる弁護士費用の立替金が、「財団債権にあたるのかどうか?」については、法律上、実はまだちゃんと議論がさだまっていません。

ただし一応、弁護士費用であれば「相当な範囲で財団債権として認める」という判決が過去に出ています。(神戸地裁 平成19年11月28日)

そのため、これを解釈して「弁護士費用の立替をおこなっている法テラスの債権も、実質的には弁護士費用と同じであり、財団債権に該当する」という意見があるようです。

また、実際の運用の問題としても、「法テラスで弁護士費用を借りれば、返さなくてもいい」ということになってしまうと、法テラスの仕組みそのものが成立しなくなってしまいます。法テラスに頼らずに、弁護士に依頼して自己破産している人にとっても不公平な話ですよね。

そもそも、「最初から返すつもりなく借りたお金」は破産法上も、非免責債権になります。よく「自己破産のための費用を、消費者金融等から借りてはいけない」と言われるのは、このためですね。

こういった点から考えても、やはり法テラスで立て替えて貰った弁護士費用は、「償還義務がある」と考えるのが正しいといえそうです。

なお、生活保護受給者の場合は、自己破産の終結時点(免責確定の時点)でまだ生活保護を受給している場合に限り、法テラスから借りた立替金は免除されます。この場合は、償還免除を法テラスに申請してください。
 

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