自己破産ができないケースってどんな場合?

自己破産はいわば、借金がある人からすれば最後の砦のような法律手続きです。ですが、なかにはその自己破産すらできないケースがあります。

自己破産ができないケースには、

  • そもそも自己破産手続きそのものが出来ない場合
  • 自己破産手続きが出来ても免責が降りない「免責不許可事由」に該当する場合

の2つがあります。後者は厳密には「自己破産ができないケース」ではありませんが、免責がおりないと自己破産をする意味がありませんので弁護士の方も後者に該当する場合は自己破産の依頼を受けてくれないこともあります。

自己破産ができない場合って?!
ねえねえねえっ、先生ーっ!
自己破産手続きができないケースっていうのもあるって聞いたんだけどっ、そこのとこはどうなのっ?! 自己破産ができないと困るんだけどっ!!
うーん、基本的には、借金が返済困難な程度に多くて、かつ資産をほとんど持っていない場合では自己破産手続きは認められるけどね。もちろん、借金がそれほど多くなくて1~2年で返済できそうな額だったり、返済資源となる資産がある場合には自己破産が認められない場合があるね
ふーんっ、自己破産ができない場合ってどれだけなのーっ?! 借金の支払い不能が明らかであれば、どんな場合でも自己破産はできるのかなーっ?!
まず、詐欺にあたるようなズルはしていない、というのが前提になるね。例えば、破産手続き直前に、一部の財産の名義を他人に書き換えて隠匿しようとしたりとか、あるいは自己破産の費用調達のために、破産することを隠してお金を借りたりするのは非常にマズイね。
なるほどっ、詐欺にあたる行為をしてたら自己破産ができない場合があるってことね。うん、それはそーだよねっ
他には前も説明したけれど、自己破産手続きはできても免責が降りない「免責不許可事由」というのがまた別にあるからね。自己破産は免責許可を貰うためにやる人がほとんどだと思うから、免責の許可が下りない場合も広い意味では「自己破産ができない場合」にあたるかな。

 

支払い不能または債務超過
破産法による破産手続きの申立てを行うには債務者が支払不能、または債務超過に陥っている必要があります。ここでいう支払不能または債務超過の状態にあることを「破産手続き開始の原因」といいますが、この原因となる事実が認められないと、破産手続きの開始決定が認められません。

 
そもそも自己破産は、「支払不能」な状態に陥っている債務者を経済的に救済するための法律措置です。そのため、支払不能な状態に陥っていない場合は自己破産開始手続きの申立てをしても認可されない場合があります。

支払不能に陥っていない状態、というのは、財産の一部を売却することで明らかに借金が十分返済可能な場合や、給与収入の可処分所得で1~2年以内に十分に返済が可能な場合、を指します。例えば以下の図のようなケースだと「支払不能」とは認められず、自己破産ができない可能性があります。

支払不能なケース

  • 月収が手取りで18万円。借金合計が430万円。
  • 可処分所得の月8万円を全て返済に充てても3年以上かかる
  • 処分可能な目ぼしい財産が特にない
  • 生活保護で暮らしているのに100万円以上の借金がある
支払不能とはいえない

  • 扶養家族なし、一人暮らしで収入は月60万円
  • 贅沢を慎めば、月30万円程度の可処分所得がある
  • 借金合計額は300万円、10カ月程度で完済が可能

 
また、破産法第2節「破産手続き開始の決定」の第30条では、破産手続きの開始条件について以下のように定めています。

破産手続きの開始決定

裁判所は、破産手続開始の申立てがあった場合において、破産手続開始の原因となる事実があると認めるときは、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、破産手続開始の決定をする。
一  破産手続の費用の予納がないとき(第二十三条第一項前段の規定によりその費用を仮に国庫から支弁する場合を除く。)。
二  不当な目的で破産手続開始の申立てがされたとき、その他申立てが誠実にされたものでないとき。

 

そのため、例えば予納金を準備できない場合や、はじめから明らかに返済の意志がなく借金をしている場合(実際に返済実績がほとんどない場合)などは、破産手続き開始の認可が下りない可能性があります。予納金とは、破産手続きのために裁判所に支払う費用のことです。詳しくは以前にこちらの記事「自己破産で裁判所に支払う予納金などの費用は?」を参考にしてください。

 

免責不許可事由にあたるケースの場合

以前に「自己破産は必ず免責されるとは限らない?!」という記事でも解説しましたが、自己破産手続きをしても者金が帳消しにならない(0円にならない)ケースがあります。

一般的に、自己破産をすると直ちに免責されて借金がなくなると誤解されている方が結構いますが、実際には「破産手続き申立て」と「免責許可申立て」という別々の2種類の申立てを行う必要があり、自己破産手続きが完了しても免責不許可事由にあたるケースがある場合には、免責がおりない可能性があります。

免責不許可事由
破産法で定められた免責許可の適用外条件に該当する事由のこと。例えば、財産の隠蔽や偏頗弁済、詐欺行為や一定期間内で繰り返し、免責申立てをおこなう行為など、6つくらいの事由があります。

 
実際には借金が帳消しになることを期待して自己破産する方が大半だと思いますが、明らかにこの免責不許可事由にあたる場合で、免責がおりないことが予想される場合には、弁護士に自己破産手続きの引き受けを断られる場合もあります。この免責不許可事由については、以下の別記事で詳しく解説しています。

ページの先頭に戻る