自己破産で裁判所に支払う予納金などの費用は?

自己破産手続きでは弁護士費用の他にも、裁判所に納める予納金が必要になります。ただし破産手続きで裁判所に納める予納金というのは、全員一律に金額が決まっているわけではありません。例えば、同時廃止の場合は裁判所への予納金は数万円程度で済みますが、少額管財の場合は、最低20万円以上の費用が必要になります。また、本人申立ての場合は50万円以上の費用が必要です。

自己破産での裁判所への予納金(費用)はいくら?
ねえねえ、先生ー!
自己破産の手続きって、裁判所に支払う予納金の額もたしか結構、高額だよねー? 大体、いくらぐらいの費用がかかるのー?
ケースによるね。まず、破産者がほとんど財産を持っていなくて、財産の処分や清算手続きをする必要がない場合は、同時廃止(※)になる。この同時廃止の場合は、予納金は東京地裁で15,000円だね。他の裁判所でも概ね1万円程度だから、大した費用じゃない。
なるほどー・・・、
たしか個人の自己破産では、財産を持ってない破産者が大半だから、ほとんど同時廃止になるんだよね? じゃあ、多くのケースでは実はそんなに裁判所の予納金はかからないんじゃないの?
うーん、まあね。ただ一昔前(平成20年頃)までは8割以上が同時廃止だった頃もあったんだけど、最近の傾向はそうでもないね。今は少額管財(※)っていう簡易制度もできたから、3~4割くらいは管財事件になる。少額管財の場合は、予納金は最低20万円~だね。
げっ! 最低20万円以上もかかるの!
同じ自己破産でも、同時廃止になるか管財事件になるかだけで全然、費用が違うんだねー・・・。やっぱり少額管財の場合は、手続きが複雑だからその分、費用が高くなるのかなー?
そうだね。少額管財の場合は、破産管財人っていう役職の人が裁判所から選ばれる。破産者の財産を調査したり売却して、債権者に配当する役割の人なんだけど、この破産管財人の報酬が最低20万円~なんだ。破産管財人は弁護士さんが選ばれるから、費用も高いんだね。
なるほど・・・。つまり、自己破産をお願いする弁護士さんとは別に、裁判所から選ばれる破産管財人さんの費用も払わないといけないから、実質、2人分の弁護士報酬を負担するようなものなんだねー。だから自己破産は高いのか・・・。
うん。でも弁護士に依頼せずに自分で本人申立てをした場合には、少額管財が利用できないから裁判所の費用はもっと高くなるよ。通常の管財事件だと、裁判所への予納金は最低50万円~になるね。あと、個人事業主や法人の破産も、最低50万円~になる。
  • 裁判所への予納金(費用)は、同時廃止、少額管財、通常管財で金額が異なる
  • 同時廃止だと1万円程度、少額管財だと最低20万円~、通常管財だと50万円~
  • 個人の自己破産の場合は、少額管財が3~4割程度、同時廃止が6割程度。
  • 予納金の大半は、破産管財人のための報酬費用。あとは官報公告費用が1万円
  • 予納金以外にも、申立てのための印紙代、郵便切手代がかかる。1万円程度
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自己破産で裁判所に支払う費用(予納金)について

自己破産で裁判所に支払う費用の項目は3つあります。(1)申立て手数料、(2)予納金、(3)郵便切手代です。とはいえ(1)の申立て手数料と(3)郵便切手代の料金は大した金額ではありません。

申立て手数料、予納金、郵便切手代の3つ-図

後述しますが、申立て手数料(印紙代)はどの地方裁判所でも1500円程度ですし、郵便切手代もせいぜい数千円~1万円程度です。つまり裁判所費用のほとんどは予納金になります。

なので、まずは裁判所の予納金について解説します。

裁判所に支払う予納金の額について

この予納金が、自己破産手続きにかかる実費のことです。

破産者にほとんど処分できる財産がない場合は、破産手続きは開始と同時に終了します。これを同時廃止といいますが、同時廃止の場合は、特に手続きらしい手続きはありませんので、裁判所への予納金もほとんど掛かりません。

一方、「車を持っている」「家を持っている」「多額の保険金(解約返戻金)がある」といった場合には、その財産を処分して清算する必要があります。これを管財事件といいますが、管財事件の場合は、数十万円以上の予納金が必要になります。

同時廃止と管財事件の図

なぜ管財事件になると、裁判所への予納金が高くなるのでしょうか?

この裁判所への予納金の大半は、要は「破産管財人への報酬費用」です。自己破産手続きをすると、裁判所側からも破産手続きを進めるために「破産管財人」という役職の弁護士が選任されます。

少額管財事件にかかる予納金の大半は、破産管財人への報酬なので高くなる-図

自己破産手続きでは、破産者に隠し財産や申告漏れがないかどうかを調べたり、破産者の財産を競売で売却して現金に換えたり、債権者の意見を聞いて公平に分配する役割の人が必要です。それが破産管財人です。

破産管財人は債権者のために配当することが仕事なので、どちらかというと破産者の味方ではなく、債権者側の味方となる弁護士ですが、その破産管財人の報酬も破産者が負担する必要があります。

以下は、東京地裁の予納金の金額です。

同時廃止の予納金

即日面接の場合 ・・・ 10,290円
それ以外の場合 ・・・ 15,000円

少額管財の予納金

破産管財人の報酬  ・・・ 最低20万円~(引継予納金)
官報公告費用    ・・・ 16,090円

通常管財の予納金

負債総額 個人 法人
~5000万円未満 50万円 70万円
5000万円~1億円未満 80万円 100万円
1億円~5億円未満 150万円 200万円
5億円~10億円未満 250万円 300万円

※負債額10億円以上の予納金について省略しています。

これは東京地裁の例ですが、他の地方裁判所もほとんど同じです。

「少額管財と通常管財は何が違うの?」と思う方もいるかもしれませんが、個人の自己破産のケースで、弁護士に依頼している場合はほとんどが少額管財だと思ってください。

逆に通常管財になるのは、弁護士に依頼せずに自分で自己破産を申立てたり、司法書士に依頼していたり、個人事業主や法人で自己破産した場合です。

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少額管財って何なの? 同時廃止と少額管財の割合は?

少額管財は、「さすがに個人の破産手続きで、予納金50万円は高すぎないか?」という声により、個人向けの簡易的な手続きとして平成11年4月に東京地裁、平成16年4月に名古屋地裁で開始された制度です。今では全国の多くの裁判所で利用されています。

【少額管財が利用できる裁判所】

東京地裁、横浜地裁、名古屋地裁、札幌地裁、静岡地裁、大阪地裁、神戸地裁、京都地裁、奈良地裁、高松地裁、千葉地裁など、全国多数の裁判所。(※本庁と支部とで運用が異なる場合もあります)

大阪地裁では、少額管財ではなく「一般管財」という名前ですが、これも少額管財と同じ手続きです。

昔、まだ少額管財の制度ができる前までは、何でもかんでも「同時廃止」で処理されていた時代がありました。平成17年の司法統計では、なんと個人破産のうち88%が同時廃止で、管財事件はわずか9%しかありませんでした。

そのため、今でも「個人の自己破産はほとんど同時廃止になる」と思いこんでいる方も多いです。

しかし同時廃止では十分な財産調査ができないため、財産隠しや申告漏れを見逃してしまう可能性がありました。そのため、同時廃止の基準を以前よりも厳しく判断する代わりに、簡易手続きである「少額管財」を導入する裁判所が全国的に増えたのです。

同時廃止の割合の図(司法統計)

また近年は、(以前の消費者金融の全盛期に比べると)破産者そのものが減ってきていることもあり、少額管財になる割合が非常に増えてきています。平成26年の司法統計では、同時廃止の割合は全体の65%にまで減っており、少額管財等が全体の32%となっています。

裁判所への予納金はいつ払うの?分割払いはできるの?

裁判所への予納金は、原則、全額を申立て時に支払います。そのため、弁護士に自己破産を依頼している場合には、申立てまでに破産費用の全額を弁護士に預けることになります。

破産管財人への報酬は、裁判所に予納金として支払うのではなく、依頼している弁護士から直接、破産管財人に引き継がれる場合もあります(そのため、引継予納金ともいいます)。ただ、どちらにしても破産手続きが開始する前に弁護士に支払うのが一般的です。

裁判所への予納金の支払いは分割払いはできる?

裁判所によっては、「どうしても一括で破産費用を払うのは厳しい」という破産者の方を対象に、予納金の分割払いを認めているところもあります。

例えば東京地裁では、最大4回まで分割払いが認められています。東京地裁の少額管財は、予納金は最低20万円からなので1カ月あたり5万円ずつ、4カ月かけて分割納付することになります。

東京地裁では、最大4回(4カ月)での分割納付が認められる可能性がある。-予納金分割納付の図

裁判所によって分割払いが認められる場合は、予納金を納付するまでの間は破産手続きがストップすることになりますので、その分、スケジュールが伸びることになります。

もう少し具体的にいうと、少額管財の場合、破産手続きの開始決定から2カ月で「債権者集会」が開かれますが、まだ予納金を完納していない場合はこの債権者集会の日程が遅れます。
分割払いが終わるまで債権者集会は保留されることになり、予納金を全額支払った後に債権者集会が開かれます。

※分割納付の場合でも、債権者集会の1週間前までには予納金を完納している必要があります。

予納金の分割納付ができない場合は、事前に積み立てる

裁判所によっては、予納金の分割納付を認めていないところもあります。そういった場合には、まず数カ月間かけて破産費用を貯めてから、自己破産の申立てをするのが一般的です。

予納金の分割納付が認められない場合は、申立て前に積み立てて準備する。-説明図

流れとしては、まず弁護士に「自己破産する」ことを依頼します。弁護士に自己破産を依頼すると、弁護士事務所から各債権者宛に「破産します」という通知(受任通知※)が送付されますので、債権者からの取立てがすべてストップします。

債権者からの取立てや催告が止まりますので、破産者の家計にも多少の余裕が生じるはずです。そこで、実際にはすぐに申立てをせずに、数カ月かけてまず予納金を積み立ててから自己破産を申立てるのです。

実際の運用としては、弁護士が指定する口座に毎月5万円程度ずつ振り込んで積み立てていき、予納金が貯まった段階で自己破産の申立てをするのが一般的です。

異時廃止の場合には、裁判所への予納金は返却される?

異時廃止というのは、「破産手続きを開始したものの、債権者に配当するほどの財産がないことがわかったため、破産手続きを途中で廃止すること」です。実際の少額管財事件では、ほとんどのケースがこの異時廃止になります。

【異時廃止】
裁判所は、破産手続き開始の決定があった後、破産財団をもって破産手続きの費用を支弁するのに不足すると認めるときは、破産管財人の申立てによりまたは職権で、破産手続き廃止の決定をしなければならない。(破産法217条

異時廃止の場合は、債権者に配当することなく破産手続きを廃止するわけですから、結論としては同時廃止と同じです。そのため、「少額管財で払った20万円の一部は返却されないの?」という疑問を持たれる方もいます。

しかし異時廃止の場合でも、やはり破産管財人が選任されて、財産調査が進められるわけですから、やはり破産管財人への報酬は必要になります。そのため、原則として異時廃止の場合でも、一度おさめた予納金20万円は戻ってきません。

東京地裁では、予納金が余った場合には一部の額が返金されることはあるようですが、稀なケースです。基本的には「異時廃止でも返却されない」と思っておいた方がいいでしょう。

予納金以外の費用(申立て手数料、郵便切手代)は?

最初にも少し触れましたが、裁判所への破産費用のほとんどは予納金であり、破産管財人への報酬です。そのため、申立て手数料や郵便切手代というのは、金額としては大した額ではありませんが、一応、最後に解説しておきます。

申立て手数料

自己破産手続き開始申立ての手数料 ・・・ 1000円
免責許可申立ての手数料 ・・・ 500円
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合計 ・・・ 1500円

郵便切手代(※東京地裁)

(1)同時廃止、少額管財の場合

200円切手 × 8枚
80円切手 × 29枚
10円切手 × 8枚
合計 4000円

(2)通常管財の場合

420円切手 × 10枚
350円切手 × 10枚
200円切手 × 10枚
80円切手 × 50枚
10円切手 × 50枚
合計 14,200円

申立て手数料(合計1500円)は大体、全国どの裁判所も共通です。郵便局で金額分の収入印紙を購入して、申立て用紙に貼りつけて提出します。

郵便切手代は、どの裁判所に申し立てるかによっても異なるはずですが、同時廃止や少額管財の場合はいずれにしても数千円程度です。
 

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